私が住んでいた地方は田舎で、九州の山奥にあります。
地方ということもあり、のどかな自然も数多く残っている場所ではありますが、のどかなイメージも崩れ去る奇妙な逸話も多く残っている地域です。
・・・と言うのも、私の地元は歴史のある城下町の中で処刑場もあった場所なのです。私の母の実家は、ちょうどその処刑場の跡地に立っており、家の前には碑石も置いてあります。
幼い頃、母から様々なエピソードを教えられてきた私ですが、今でもはっきりと記憶している奇妙な話を紹介します。
聞こえる鈴の音
私の母は、幼い頃から寝つきが悪い子どもだったようで、夜中何度も目が覚めてはトイレに行くを繰り返したそうです。そんな母が毎晩トイレに行く時に聞いていた音があります。玄関の近くでチリーン、チリーンという鈴の音。それが夜中ずっと鳴っているんだとか。
そして、恐ろしくなって自分の母親(私の祖母)を起こしに行くと、「そんな音聞こえない」と言われたそうです。子どもにしか聞こえないらしく、母の兄や弟を起こすと「聞こえる」と口を揃えて言います。
渋る父を起こして玄関まで様子を見に行くと、そこには誰もおらず飼っているネコがアクビをしているだけ。しかし、子供の頃の母には音だけははっきり聞こえています。やはり恐怖が消えない母は、その晩は家族のそばで寝たそうです。
事件が起きた朝
事件が起きたのはその翌朝でした。昨晩まではのんびりアクビをしてたネコが、何かに切り裂かれたような傷を負て死んでいたのです。
「昨日の鈴のせいだ」と確信した母ですが、もちろん両親は気にも留めず、そのまま学校へ。
すると、いつもいるはずの近所の同級生の男の子が急に行方不明になったことを知ったそうです。しかも、いなくなったことが分かったのは今朝。男の子の両親がなかなか起きてこないので起こしに行くと、布団には温かさが残っており男の子の姿はなかったんだとか。
男の子は二度と戻ってきませんでした。奇妙な鈴の音といなくなった男の子。それから鈴の音がするたびに誰かが大けがをしたり、行方不明になったりすることが続いたそうです。その地域の人は誰も信じませんが、子供だけは鈴の音が聞こえる。
そしてなぜか今でも聞こえる母は、鈴の音が聞こえる今でも鳥肌が立つことがあるようです。
なんだったのか?
母が幼い頃はまだ人買いが田舎にやって来ることがあった時代なので、人さらいだったのかもしれません。
二度と戻らない子どもたち。子どもにしか聞こえない鈴の音。
田舎ののどかさのなかに、恐ろしい何かが潜んでいるのかもしれません。
※画像はイメージです。
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