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ハードボイルド日常活劇『平和の国の島崎へ』は今が読み時!

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舐めてた〇〇が実は・・・といえば、アクションもののテッパン。
今回ご紹介する『平和の国の島崎へ』(原作: 濱田轟天/瀬下猛)も、そんな舐めてた〇〇ものの系譜に連なる漫画だ。ただ本作は従来のそれらとはひと味違う。硬質なタッチで描かれる、どこか牧歌的で、少し不穏な島崎の日常。
今回はその魅力に迫って行こう。

目次

気になるあの人は元・戦闘員?密着!島崎さんののどかな日常!

遡ること30年前、国際テロ組織によって起こされたハイジャック事件。乗客はほとんど殺害されたが、わずかに生き残った人々は誘拐され、戦闘員に仕立て上げられた。その中の一人が本作『平和の国の島崎へ』の主人公、島崎であるーー。これが今回ご紹介する漫画、『平和の国の島崎へ』のプロローグ。
テロ組織によって誘拐され、戦闘員に仕立て上げられた島崎だったが、30年ののち、組織を脱出。監視を受けながらようやく辿り着いた祖国でひっそり静かに暮らしている……。というのが、本作のざっくりしたあらすじとなる。

冒頭で『平和の国の島崎へ』は舐めてた〇〇ものの系譜につらなる、と紹介したが、舐めてた島崎は元・凄腕戦闘員だった!というのが、〇〇部分の答え合わせというわけ。
ただ、本作では戦闘員時代「霧」の異名で怖れられた島崎の、ヒロイックな活躍がガンガン描かれるかというとそうではない。まず平凡で少し風変わりな男性、島崎の日常が淡々と描かれ、その合間に「かつての戦闘員島崎」の凄腕描写が挟まれるのが本作の基本ライン。

今風の華やかな絵柄とは異なる、ややゴリゴリした硬質なタッチで描かれるそれらのストーリーにヒロイックさはなく、どこか不穏さすら感じられるが、これが本作の見どころだ。読者への媚びが少ない演出ながら、読んでいるうちにストーリーにどんどん惹き込まれていく。また、読み進めるうち、最初はどこか不気味さすら醸し出していた島崎の好感度が上がって行くのも面白い。
また島崎を取り巻く人々も、それぞれ味がありつつ善良で、読んでいて気持ちがいい。島崎の過去を知らないながら、彼を外国育ちで世慣れない少し変わったところがある人、としてフラットに接する彼らの様子を見ていると、どこか優しい気持ちになりさえする。

作中に散りばめられた、クスリとさせられるユーモラスな表現もポイントで、設定は全く「日常モノ」ではないのだが、どこか日常系ほのぼの漫画としても読めてしまう。これは、従来の舐めてた〇〇系作品にはあまり見られなかったスタイルではないだろうか。ハードボイルドと日常の同居。『平和の国の島崎へ』はそのミックス感が楽しい、不思議な作風の漫画と言えるかもしれない。

元・凄腕戦闘員に迫る不穏?島崎の日常、これからどうなる


テロ組織に誘拐され戦闘員となり、30年。やっと死と暴力から逃れ、組織を脱出。静かに暮らす男、島崎の平穏な日常をほんのひとつまみのハードボイルドを混ぜてお送りする漫画、『平和の国の島崎へ』。

本作の基本スタイルは、なんとか復帰した日常に馴染もうとする島崎の奮闘と、彼を取り巻く人々とのゆるい関係。そして周りの人々のどうにもならない困り事を島崎が「昔取った杵柄」でこっそり「解決」していくというもの。これだけでも充分面白いのだが、本作にはもう一つ重要なギミックが存在している。それが、物語のラストに挟まれる「島崎が戦場に復帰するまであと〇日」のカウントダウンだ。

不器用ながら日常生活を営もうとする島崎を見守るモードで読み進めていると、「平和に暮らすはずでは?」「また島崎は戦いに巻き込まれてしまうのか?」と不安になってしまう一文だが、このギミックが物語を確実に引き締めている。事実、島崎がかつて囚われていた組織は戦闘員の裏切りを許さない、と作中で語られており、島崎に危険が迫る展開は大いにありえる。はたして島崎は「日常」を守りきれるのか。今後の展開から目が離せないポイントとなりそうだ。

以上のように、今回ご紹介した『平和の国の島崎へ』は日常系と舐めてた〇〇ものハードボイルドが不思議な割合でミックスされた読み応えのある作品だ。作画もしっかりしていて、アクション描写も小気味いい。単行本もまだ4数巻ととっつきやすいので、気になった方はぜひ、チャレンジしてみてほしい作品だ。

平和の国の島崎へ (C) 濱田轟天 瀬下猛 講談社

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