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「HELLSING」21世紀極東から復活、新たなスタンダードを打ち立てた吸血鬼伝説

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吸血鬼・・・ヴァンパイア、ノスフェラトゥ、ノーライフキング、その呼び名は数多く、人の恐れの数ほどに幾つもの物語に語られては種々様々の姿を与えられてきた怪物界不滅の金字塔と呼んで差し支えの無い存在感を放っています。

その一大ビッグネームを、日本漫画界に突如現れた鬼才「平野耕太」氏が現代的オカルティズムとミリタリーテイストで彩った特濃怪奇ガンアクションマンガとして再構成した作品が、今回ご紹介する「HELLSING(ヘルシング)」です。

一コマ一コマ狂気を感じさせる程に書き込まれたパワフルな画調は和製ビジュアルノベルと言ってしまえる程の力強さ。
「マトモさ」などかなぐり捨てて巻き起こされる物語の顛末は21世紀のオタクコンテンツにおける教典として扱われる凄まじい存在感を放つ作品です。

目次

「銃を持つバケモノ」という説得力

世界で最も有名な怪物の一つである吸血鬼…その名を世界に知らしめた存在と言えば、かの「ドラキュラ伯爵」をおいて語る事は出来ないでしょう。
本作「HELLSING」はそのタイトルに、ブラム・ストーカー作において伯爵の仇敵となった「ヘルシング教授」の名を頂き、その世界観をリスペクトしながらも日本的サブカルチャーの感性を遺憾無く発揮するものとして再構成されています。

作中「HELLSING」とは家名であると同時に機関であり、国家に脅威を為す人外のオカルトを駆逐するべく研鑽と研究、そして戦闘を続ける存在として、オカルトから現代兵器まであらゆる戦闘手段に通じた秘密機関である…という「オタク界隈」における教科書的要素をこれでもかと詰め込んだ存在として堂々登場するのです。
そしてかの「最古にして最強の吸血鬼」はと言えばその怪物的身体能力を武器として、砲兵器もかくやと言わんばかりの巨銃を躍るように振り回し、外道魔道の領域を不敵な笑顔で踏破する、機関最強の戦力として闇夜に砲火を閃かせるバケモノとして登場します。

その優雅で洒脱、人間とは全く異なる狂気に満ちた力強く確固たるケダモノの姿は、2020年代においてなおも色褪せぬキャラクターとして君臨しています。
作品自体は未見であっても、その姿を何処かで一度は見た事があるかも・・・?

「オカルトが闊歩する現代」を描き切ったパワー

オカルト…それは本来の意味として「隠されたもの」という意味を持つ言葉とされます。
本作の世界観は本質的に現実をなぞるものとして、人が生きる世界で現実に則した武力が順当に行使される世界が表舞台として広がります。
しかし主人公たる「HELLSING」の一団が踏み締めるのは正しくその裏側…表向きには荒唐無稽、存在を語れば一笑に付され正気を疑われる「秘された世界」そのもの。

人間が紙切れより容易く引き裂かれ、影が実体を持ち、頑丈な建物は実体を失い、死者はうごめき生者が食らわれる…そこに「現実感」や「正気」と言ったものは存在せず、何処までも非現実的で荒唐無稽、言葉にすれば呆れるほどに馬鹿馬鹿しいと言わざるを得ない世界が「展開」されます。
紙面に広がるその地獄絵図と言う他無い惨憺たる有様の圧倒的な存在感たるや、文字通り「圧力」や「熱量」を感じてしまう視覚の暴力と表現力の応酬と言えるもの。

絵としての完成度…物理的な訴求力を感じさせてしまう程に描き込まれた一コマ一コマの完成度もさる事ながら、作品構成における原典となるもの…ブラム・ストーカーの作品は元より他の作品や吸血鬼伝説、都市伝説の類いに加え、果ては作者である平野耕太氏が個人的に影響を受けたと思しきアレコレに至るまでの幅広い知識趣味嗜好を、狂気にも似た愛情と執念によって惜しげ無く詰め込まれたパワーによって成立している作品だと言えます。

最後に

見る者を釘付けにしてやまないパワフルな作品世界で、2010年代の日本漫画シーンを牽引し、今なおその作品が注目される漫画家となった平野耕太氏の出世作。
そのケレン味溢れるド派手バトルシーンだけでも一見の価値は十二分です!

著:平野 耕太
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出演:中田譲治, 出演:折笠富美子, 出演:榊原良子, 出演:清川元夢, 出演:平田広明, 出演:若本規夫, 出演:速水 奨, 出演:飛田展男
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HELLSING (C) 平野耕太 少年画報社 / ヤングキングアワーズ

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