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人魂って

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人魂って、今はもうそんなにメジャーじゃないですかね。あの、お墓にぼうっと浮かぶ青白い火のことです。人の魂が彷徨い出るんだなんていったりしますけど、実際あれってリンか何かが空中で燃えてるんだって聞いて、長いこと信じてました。ああ、だからうちのお墓にも出るんだなって。

そう、うちは小さいけどお寺で、お墓もたくさん並んでるんですよ。それが当たり前の光景だったので怖いなんて思ったこともないです。お経の声や線香の匂いもむしろ安心するくらいで。初めて人魂を見たときも、ほら、リン化水素が空気中で雨水と反応して光るんだとかいう話を信じてましたから、うちでも見れるんだなあって半ば感動してました。

でもね、その話をしたら、そんなわけないって父が言うんです。火葬なんだからって。
考えてみたらそれもそうなんですよ。焼いて骨になったのを骨壷に納めてお墓に入れてるんだから。腐敗してリン化水素が発生するってところからまずありえないんです。

それで人魂について色々調べてみたら、やっぱり科学的根拠はまだないらしくて。ならなんでだろうねって食卓で話をして、結局は子どもが肝試しでもしてたんじゃないかって話に落ち着きはしました。お寺で肝試しをするってこの辺りじゃよくあることですから。

でも、たとえば光る腕輪か何かをつけていたり懐中電灯を持って歩いていたりしたとして、あんな高い位置にゆらゆらと青白い火が浮かぶものですかね。ちょっと無理があるんじゃないかな。
だから、案外本当に人の魂が出てきたんだったりしないかな、と今は思ってます。ちょうどあの頃は進路に悩んでいた時期だったから、あの辺りに眠っていた祖父が心配で見にきてくれたんじゃないかなあって。それか江戸時代の誰かさんとかね。

ああ、そうなんです。新しくお墓をつくるときにね、昔あったお墓の整備がしきれなくて、江戸時代からしばらくの間に埋葬された人はてんでばらばらに埋まってるんですよ。その上に今のお墓があるわけです。コンクリートの下が窮屈で人魂になって出てきたっていうのも、案外ありえる話かもしれませんね。

ペンネーム:新戸
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※画像はイメージです。

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