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2ch怖い話「一つの村が消えた話をする」をキーワードから解説

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地図には載っていない、隠された村。もしくは、何等かの要因で「無くなって」しまった村。そこで起こった何事か。こういった物事を題材とした怪談は数多く、そのほとんどが人の興味を引き付けます。

今回見ていくのは、こうした要素を多分に含んだ『一つの村が消えた話をする』という怪談です。あらすじと共に重要なキーワードを解説していきますので、本編と合わせて読んでみてください。

目次

『一つの村が消えた話をする』の概要

『一つの村が消えた話をする』は、2014年にインターネット掲示板である2chに投稿された怪談です。

物語の語り手は、タイトルになった村を故郷とする「俺」。彼とその友人たちが巻き起こし、体験した怪異と、村が崩壊していく様がセリフを交えて描かれています。セリフが恐ろしさをかなり薄めてはいるものの、物語が持つ雰囲気は日本的に不気味であり、昔ながらの伝承的要素と共にリアリティを持ち合わせています。

この物語が本物か、創作か。それは最後までわかりません。以下で簡単なあらすじをご紹介しますので、興味が湧いたら実際に読んで、あなたの目で判断してみてください。

あらすじ

語り手である「俺」は、幼馴染で友人のA・Bと共に、他の土地とは交流がしにくいような山奥にある村で育ちました。Aは頭の良い女の子で美人、Bは体格の良い頼りがいのある男の子です。

3人が暮らす村には、歴史ある神社と池がありました。その神社では、毎年お盆の時期に「辿静祭」という祭りが行われ、「鬼無踊り(盆踊り)」と「浄縁神楽(巫女神楽)」を舞うという風習がありました。そして、今年の神楽を舞う巫女、「俺」の幼馴染であるAと決められていました。

辿静祭には、3つの禁忌があります。

  1. 祭りの前日には、神主の一族以外「池(障芽池)」に近付いてはいけない
  2. 祭り当日、村人は村の外に出てはならず、村外の人を入れてもいけない
  3. 祭りが終わるまでの間に、村で自身や親兄弟、知人などに何が起ったとしても、生涯村の外で口外してはいけない

祭りが始まる数日前のこと、「俺」とA・Bがいつものように遊んでいると、Bが一つの提案をしました。その提案とは、祭りの前日の夜、神主一族によって封鎖されている池に遊びに行こうというものです。Bは両親から、池のある森の奥にある祠について聞いていました。その祠に収められた石に触れると「見える」ようになるということも。

一瞬、「俺」とAは躊躇します。しかし、好奇心には勝てませんでした。

当日Bの案内で森の中を進む3人。方位磁石を使い方角を確認するものの、池にはなかなか辿り着かず、Aは体調不良を訴えます。3人は、見つけた小屋で休憩することにしました。

小屋の中でAは椅子に座り、2人は周囲を物色します。その内、「俺」は扉を見つけ、その中から不気味な音が聞こえることに気が付きました。

「俺」が扉を開けると、そこは古い和式トイレでした。異臭の原因もここかと思いトイレから出ようとしたとき、「俺」の後ろから不気味な声が聞こえてきました。

そのときBが現れたことにより謎の声は消えました。しかし、Aの姿がありません。2人は小屋に2階があることに気が付き、Aを探しに2階へと向かいました。

2階の扉の前には、黒く変色した盛り塩と、破られたお札がありました。Bが扉を蹴破ると、Bに何等かの力が加わり階下に落ちてしまいます。そして「俺」は、両手を真横に挙げたAと、その後ろにいる影のようなものを目にしたのです。

Aを助けることはできず、恐ろしい影に追われる2人。必死で逃げて、神主一族に助けてもらうことができました。そして神主から、彼らが住む村でかつて起こった惨事を聞くことになったのです。

後日談

「一つの村が消えた話をする」には、大まかに分けて2つの後日談があります。

一つは「俺」とAが村を出てから起こった話。村を襲った災厄により、村人がどんどんといなくなる様が淡々と描かれています。そしてなにより注目すべきなのは、2人の友人であったBの遺書。詳細は後に書いていきますが、果たして「俺」とAの前に現れたBは人間だったのでしょうか。不思議な余韻が残ります。

もう一つの後日談では、「俺」とAのその後が語られています。2人は許嫁であったこと。そして、あの村で起こった出来事を手記に残し、すでに亡くなっているということ。村で起こった災厄を散らす方法。この後日談はボリュームすらないものの、「いかにも怪談」といった風で、背筋が凍る寒さがあります。真相究明には至らないものの、読む価値はあると言えるでしょう。

『一つの村が消えた話をする』をキーワードから解説

『一つの村が消えた話をする』は、最後まで読み進めたとしても、いくつもの謎が残る物語です。
この項では、そんな謎を解くきっかけとなるキーワードを集め、それぞれ解説していきます。

3つの禁

  1. 祭りの前日には、神主の一族以外「池(障芽池)」に近付いてはいけない
  2. 祭り当日、村人は村の外に出てはならず、村外の人を入れてもいけない
  3. 祭りが終わるまでの間に、村で自身や親兄弟、知人などに何が起ったとしても、生涯村の外で口外してはいけない

この物語の中で最も目立つものが、冒頭で語られる村に伝わる上記の「3つの禁」です。古来より、よく使われる数字は「3」であり、「禁忌」は破られるものでした。「3匹の子豚」や「イザナミとイザナギ」などの物語が、それを表すものでしょう。

これら2つが合わさった形で表現される「3つの禁」は、「本当にありそう」というリアリティを持ちながらも、伝承的かつ物語的です。この禁忌が冒頭にあることにより、読者は「俺」が住んでいた村が普通とは違う、ということを端的に感じとることができます。

それでは「3つの禁」が持つ役割について考えてみましょう。

物語を読み進めて行けば分かりますが、今作の禁忌は神話や昔話で見られるものとは少し違います。「イザナギとイザナミ」の神話では、「見てはいけない」という禁忌自体が重要でした。しかし、今作では禁忌そのものというよりも、「禁忌を守ろうとする心」に重きを置いています。

つまり、今作の禁忌そのものには、村に伝わる怪異を封印する力はありません。禁忌を封印しているのは、あくまでも人の心の集合体です。だからこそ、「俺」・A・Bが禁忌を破ったときには、村そのものは大丈夫だったのです。

通常「禁忌」と聞くと、そればかりに注意が行きがちです。事実、物語の冒頭では「禁忌が重要である」といった風にリードしています。しかし、よく読んでみると今作での禁忌の扱われ方は、それほど大きなものではありません。

「重要なのは禁忌ではない」ということに注意して、物語を読み進めてみましょう。

2人の障者

今作における怪異の象徴。それが「障者」と呼ばれる存在です。では、そもそも障者とはどんな存在なのでしょうか。作中での描写から考えてみましょう。

障者とは、飢饉による飢えで狂ってしまった人間とその被害者の成れの果てです。飢饉が起こったのは数百年前とのことですから、その存在はすでに人間とは言えません。しかし、Aに物理的な危害を加えていたともとれる描写がありますので、幽霊とも言い切れません(物理的に攻撃してくる幽霊がいないとは言えませんが)。幽霊と生き物の中間に位置する、「化け物」のような存在が比較的近いのではないでしょうか。

村には男女2人の障者がいます。男性の障者は共食いの果てに、女性の障者は男性障者の最初の被害者です。

ここで注目したいのは、男性障者の方です。男性障者は飢饉の際、最初に人肉食を始めた人間であり、最後まで騒乱の中生き延びた存在です。女性障者に効いた真言が男性障者には効かなかったことから、女性障者に比べ力が強いことが分かります。

古代中国に、「蟲毒」という呪いがありました。壺に大量の虫を入れ、共食いをさせた上で最後に残った毒虫を呪いの媒介とする、というものです。特に男性障者の成り立ちは、この蟲毒を思い起こさせるものです。

蟲毒を蟲ではなく人間で行ったとしたら。しかも、一つの村を丸ごと壺として扱ったらどうでしょう。それは恐ろしい呪いになるはずです。それこそ、村が丸ごと消えたとしても不思議ではありません。

Bの謎

今作で一番謎めいているのは、Bの存在です。

Bは、物語序盤から中盤にかけて「俺」を引っ張り続けますが、その後退場。障者に捕まった後に、後日談により驚愕の事実が明かされます。残されたBの遺書から考えると、Bが「俺」とAの3人で行動していたときにはすでに死んでいたのです。さらに、村の封印の重要な部分をB一族が破壊した手伝いをしたのが、「すでに人間ではないB」であることも示唆されています。

正直な所、今作を何度読んでもBの正体は掴めません。障者のように邪悪でもなく、障者からAを助ける手助けをしたB。それが人間であろうとなかろうと、邪悪な存在ではないはずです。

だとすれば、一番怪しいのはB一族でしょう。遺書を改ざんしたと考えることもできますが、B一族の目的とすれば、Bが「人間ではない存在」になっていた方が都合良いはずです。Bがいなくなったとき、B一族がさっさと村を後にしたことも、この考えを裏付けるのではないでしょうか。

一族の目的のために利用された哀しい子供。それがBなのかもしれません。

まとめ

かつて2chで語られることになった怪談『一つの村が消えた話をする』をご紹介してきました。

今作はいわゆる「結末がはっきりしていない」作品であり、読み終わった際に少しモヤモヤしたものが残るかもしれません。また、少々の自己責任描写があるため、ホラーが苦手な人にとっては、厳しい部分もあることでしょう。

しかし、今作は結末が明確に描かれていない以上、自分で考える楽しさがある作品です。自己責任は踏まえた上で、禁忌やBについて思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

※画像はイメージです。

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