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ドイツ連邦軍次期主力小銃の座、H&K HK433は奪還できるか?

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ドイツ連邦軍は2020年時点で、1996年に採用した地元ドイツの銃器メーカー・ヘッケラー &コッホ社のH&K G36を正式小銃として約24年に渡って運用してきた。このH&K G36の以前のドイツ連邦軍の正式小銃も同社製のH&K G3が1964年から1996年までの32年もその座にあり、ここから数えれば実に半世紀以上ドイツの正式小銃の座を独占している。

そもそもヘッケラー &コッホ社は第二次世界大戦時にモーゼル社に在籍していた3人の技術者が1950年に創設し、1956年のドイツ連邦軍の発足から銃器製造を開始したものだ。そのため遡れば、第二次世界大戦時のドイツ国防軍に1935年に正式採用されたモーゼルKar98k、更にその原型となったGew98の実に1898年からモーゼルの系譜がドイツの小銃だとも言える。

目次

ドイツ連邦軍のH&K G36に替わる次期主力小銃選定トライアル

前述の様にH&K G36は1996年からドイツ連邦軍の正式小銃として採用されたていたが、2012年頃からNATOの任務でアフガニスタンに赴いた部隊から連続発射時に命中精度が低下するとの声が上がった。事態を重く見たドイツ国防省はこの訴えの検証を行い、2015年3月にH&K G36の命中精度の低下は銃本体の欠陥だと指摘し、その使用を制限したが翌2016年6月にはヘッケラー &コッホ社が裁判では勝訴する。

しかしこうした一連の問題からか、H&K G36に替わる次期主力小銃を選定するトライアルが開始されることとなり、当然自社製品に自信を持つヘッケラー &コッホ社はこれに参加した。その際の次期主力小銃選定トライアル用にヘッケラー &コッホ社が用意した小銃がHK416とHK433の2種類であり、前者はアメリカ軍のM4カービンの独自改良版として実績もありよく知られている。

image source:Heckler&Koch GmbH

H&K HK433の特徴

一方のHK433は、近年拳銃から小銃まで軍用の銃器で標準的になりつつあるモジュール方式を採用した小銃で、11インチから20インチまでの6種類の銃身を使用用途に応じてその場で交換可能な構成となっている。またHK433は操作系の造りもHK416同様にAR15系の操作経験者はもちろん、従来のG36とも共通の構造であり、それぞれの使用経験があれば違和感なく取り扱いが可能な事が見て取れる。

無論左右どちらの利き手の兵士でも問題が無いアンビシステムに対応しており、G36の命中精度の問題で懲りたのか本体への強化プラスチック素材は未使用で、オーソドックスな金属パーツ製となっている。

薬室や銃身の上部に固定式のキャリングハンドル兼照準具があるG36やAR15系とは異なり、用途に応じた照準器や各種アクセサリーの装着が容易な形状であり、銃床も伸縮と折りたたみの両方が可能だ。こうした機能面の特徴とデザイン上からもG36やHK416をモダナイズしたものであると言え、ヘッケラー &コッホ社としてはこれまでの採用実績と合わせて自信を持って送り出した事が窺える。

事実、次期主力小銃選定トライアルにおいて当初はシグ・ザウエル社、FNハースタル社、ヘーネル・ディフェンス社の名前が挙がったが、ヘッケラー &コッホ社有利と見た前2社は参加しなかった。

まさかのH&K HK433敗北、ヘーネル・ディフェンスMK556勝利のドタバタ劇

しかし運命の結果発表日の2020年9月15日にドイツ国防省が下した決定は、大方の予想を裏切ってまさかのH&K HK433敗北、ヘーネル・ディフェンスMK556の勝利というものだった。これにより一時は、戦後長らく続いてきたヘッケラー &コッホ社の牙城が遂に終焉を迎えたかとも思われたが、当然納得の行かない同社は期限である9月30日に異議申し立てを申請し受理される。

ヘッケラー &コッホ社の異議申し立ての詳細は不明だが、ヘーネル・ディフェンス社のMK556が不当廉売と見られる事や、ヘッケラー &コッホ社の持つHK416の特許に抵触する点の指摘のようだ。これを受けてドイツ連邦軍装備情報技術運用庁は、一旦は出されたヘーネル・ディフェンス社のMK556採用決定を取り消しし、再度応募両者の選定をやり直すとこを表明している。

果たしてH&K HK433の逆転採用となるのか、見直した結果もヘーネル・ディフェンスMK556が勝利するのか、2020年12月時点ではその行方は未だ定まっていない。

image source:Heckler&Koch GmbH

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