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あなたは知ってる?聖遺物を解説!

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ロンギヌスの槍に聖杯・・・キリスト教の教義は知らなくても、この2つのアイテムぐらいは耳にしたことがあるかと思います。どちらともアニメやゲームでお馴染みのキーアイテムですからね。

有名どころを挙げるなら「エヴァンゲリオン」のロンギヌスの槍、「フェイト」シリーズの聖杯でしょうか?
こうしたキリストを含む、聖人たちが触れたり遺したりしたアイテムを「聖遺物」と言います。
今回はそんな「聖遺物」についてを解説しましょう。

目次

聖遺物ってなに?キリスト教的にOKなの?

「聖遺物」とは、イエスや聖母マリアをはじめとした、キリスト教の聖人たちの遺品や亡骸を指しています。

ロンギヌスの槍や聖杯は遺品に分類されますが、聖人の亡骸については「不朽体(ふきゅうたい)」とも呼ばれていますね。
主にギリシャ正教が使っている言葉で、聖人の亡骸は主の加護によって朽ちることなく、良い香りがするのだとか。

元々はコンステンティヌス帝に公認されるまで迫害されていたキリスト教が、自分たちの教えを貫いた殉教者たちを「徳がある者」として手厚く葬ったのが聖遺物礼賛の始まりだとされています。
とはいえキリスト教的には「聖遺物」はちょっとアウトです。その理由は単純明快。キリスト教は偶像崇拝を禁止しており、主以外のものに祈るのは認めていないからです。ですが今日の教会ではルルドの泉やウィーン・ホーフブルク宮殿の博物館におさめられた聖槍などさまざまな「聖遺物」を認めています。

教義的には「聖遺物を通して主に祈る」ということでOKしているからですが、その背景にはヨーロッパの長い歴史が関わっているのはご存知でしょうか。

権力者と庶民に愛された「聖遺物」

キリスト教が世界三大宗教になったきっかけは西暦313年、コンステンティヌス帝がキリスト教を公認するミラノ勅令を出したからです。

ローマ皇帝でもあるコンステンティヌス帝はロンギヌスの槍の所持者でもありました。ローマといったらキリスト教を迫害していた(当時の宗教観からすればキリスト教は新興主教でした)ことで有名です。

何故そのローマの支配者である皇帝がキリスト教を認めたのか?といったらそれほどまでにキリスト教が庶民に浸透していたこと、そしてコンステンティヌス帝が生きていたローマが分裂していたからだと考えられています。特に後者についてはかなり信憑性があり、当時のコンステンティヌス帝にはライバルが複数いました。そんなコンステンティヌス帝がキリスト教の信仰の力を借りると、見事にローマの再統一に成功します。

この偉業を達成した時に手元にあったのが「聖遺物」ロンギヌスの槍です。
以降ロンギヌスの槍には不敗神話がつくようになるばかりか、そのまま歴代のローマ皇帝たちをはじめ、カール大帝などのちのヨーロッパの王族たちにも受け継がれるように。あのヒトラーもロンギヌスの槍欲しさに、オーストリアを併合するや否や当時聖槍が保管されていたウィーンからニュルンベルクに移した話は広く知られていますね。

一方で庶民が愛した「聖遺物」とは地方の聖人たちが遺したものばかりです。
例えば現在再ブームになっているサンティアゴへの巡礼ルートにあるいくつかの教会には「聖遺物」があるのですが、そのうちの1つ、ル・ピュイのノートル・ダム大聖堂には「熱病の石」という「聖遺物」があります。

「熱病の石」は聖母マリアにちなむ「聖遺物」で、3世紀末に熱病で苦しむ女性の前に聖母マリアがあらわれて「熱病の石」で横になるがいいと告げました。女性はお告げのままに当時アニス山にあった「熱病の石」で休むと病が治った、と伝えられています。

実はこのル・ピュイは元々ガリア人の街で、ガリア人の信仰とキリスト教の教えが融合した結果に「熱病の石」が生まれた説があったりするんですよね。キリスト教の教義はどうしても土着信仰を否定しなくてはならないところがあり、そのうえ難解だったりします。
古代はともかく、比較的キリスト教が広く伝わった中世でも人々に理解してもらうために図説を使っていたほどです。そうしたキリスト教よりも人々が好んだのは「聖遺物」にまつわるストーリーと奇跡でした。

権力者であれば「聖なるものを持っている」という箔をつけて自分の権力を正当なものに、庶民であれば不思議なアイテム由来の話そのものやご利益に惹かれたのではないかと杉崎秦一郎氏は考察しています。

キリスト教にとって最も大事な教えは「産めよ増やせよ」です。それはキリスト教の教えを全世界に伝えることでもあります。よってキリスト教はその目的を達成するために権力者と庶民が愛した「聖遺物」に対し、折り合いをつけたのではないか?とも杉崎秦一郎氏は語っています。

さいごに

今回は「聖遺物」の基礎について簡単に解説しました。
「聖遺物」とはキリストや聖母マリア、そして聖人たちの遺品や亡骸を指しています。また「痕跡」であっても「聖遺物」として認められているようです。

しかしキリスト教の教義的には「聖遺物」はちょっとアウトですが、権力者と庶民に自分たちが信仰する宗教を知ってもらう&味方になってもらうために妥協した歴史があります。それにサンディエゴの巡礼のように経済効果もありますからね。

現在はアニメやゲームでお馴染みであるものの、宗教はデリケートな問題であるせいか、あんまり踏み込まれないのが残念です。機会があれば色んな「聖遺物」をご紹介いたします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

出典:
杉崎秦一郎「世界を揺るがした聖遺物」

※画像はイメージです。

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