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私達兄弟が実家に泊まらない理由

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子供の頃の恐怖体験が、怖いと言う感情を植え付け育てるのかも知れない。

私たち兄弟は高校を卒業すると同時に家を出て、それ以来里帰りは無理をしても日帰りだ。
父親の葬儀の日でさえ、通夜が終わると列車で東京に帰り、翌朝早く田舎に戻ってくる程に徹底している。
父が亡くなった後、母は農家の親戚の家で暮らすようになり、時々掃除や荷物の出し入れにやってくるぐらいで、家は誰も住んでいない。

目次

あの家に泊った

先日久しぶりに兄から電話があった。
子供の頃に実家の周りでは、珍しい昆虫が捕れたり、マスやヤマメが沢山釣れる沢があるなんて昔話をしたら、息子にせがまれて、夏休みにあの家に泊まったそうだ。

「よく泊まったね、怖くなかったの?」
「息子は大喜びだよ、知らないからね。あのさ・・・和男くんていただろ?」
兄の言葉に、一瞬で空気が冷えた。
「息子が遊んだって言うんだよ。特徴があれにそっくりでさ、まだあの家に居るみたいなんだよ。」

和男くんは、私と同じ年頃の子供で、いつも電車の模型を持っていて床の上を走らせて遊んだ。
兄もたまに一緒に遊んでいたようだ。

和男くん

和男くんは、ここまでの話だと幼馴染の近所の子供だとおもうだろうが、その子は奥の座敷から二階に上がった階段脇の部屋に居たのだ。

ある日、和男くんと兄と二人で遊びに夢中になり、夕食の時間に遅れた。父親にどこで遊んでいたのか聞かれて、二人で天井を見上げた。
その時にふっと違和感があった。我が家に二階なんかないのだ。

「お父さん、和男くんて、どこに住んでるの?」と尋ねると、
「なんで天井を見上げるんだ? 和男くんとは誰だ? 」
と父が訪ね返してくる。

「さっきまで外で遊んでた子だけど、二階にバトミントンの羽根を打ち上げちゃったから」
兄はすらすらと嘘をつき、話題を外らした。
うまくその話題から逃れたけど、兄の顔色は真っ青。

その晩並べた布団の中で、兄は「和男くんなんて、いないんだ」と呟くけれど、「いるでしょ」と・・・私はいないって言葉が理解できなかった。

いるのか?いないのか?

私達兄弟の共通した意見といえば。

「あそこの部屋は、見えない時もあるよね」
「そうだ。確かに二階に行く階段が見えない時がある」
「だから、見えた時だけ上るよね」

翌朝、兄と私は階段を確認しに行った。
「今日は見えない日なんだね」と兄に確認すると、
「おまえ、頭悪すぎだよ。和男くんだって、朝から晩までそこにいる訳ないだろ」
と窘められる。
「そんな事言わないで、怖くなっちゃうから・・・」

それからも兄と私は階段が見えるときには二階に上がり、和男くんと遊ぶことをやめなかった。
しかし、しばらくして「和男くんところには行くな」と兄が言い出した頃には、私も理由は判らないが遊んではいけない気がしていた。
それは和男くんから、子供にでも解るけれど説明ができない、なにかとてつもない悪意の様を物が感じ始めたから。

私達の理由

和男くんといつから遊ばなくなったのかは記憶にないが、この家は他にも不思議なことが幾つも起こり、高校を卒業するまでに数えきれないほどの怖い思いをした。

その理由なのだが、家の目立たない場所に焼け焦げた跡がある柱がある。
ある時に不思議に思った兄が父に聞いてみると、
「あーあれはこの家は元々、火事で焼けた旅館だからね。安く譲ってもらったから、リフォームして住んでいるんだよ」という話を聞いた。

そして何時だったかは忘れたが、夜、トイレでたまたま起きてしまった時。
「子供たちはなにか気がついているようだ?元々ここで起きたことは知っているだろ?」
「怖いって記憶を植え付けたくないから、おまえも子供たちに何か聞かれたら適当にやり過ごしてよ」
「まあ俺たちに不釣り合いな家が格安で手に入ったんだから仕方ないだろ?」
父と母の話を立ち聞きしてしまった。

二人はこの家で起きることを、だいたい知っていてグルなのだと兄と確信したのだ。
だから懐かしさより恐怖の方が強く、私達は家に泊まらないと決意したのだが・・・。

兄はいったい何を考えているのだろうか?

※画像はイメージです。

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