人体自然発火現象の一番最新の事例は、2017年、ロンドンの通りの真ん中で70歳になるジョン・ノーランという男性が、突然炎に包まれ死亡したという。消防署の職員が懸命に原因を究明しようとしましたが、あたりには火種となる物質も見当たらず、燃焼促進剤の類もみつけることができず、結局、この男性の死因は不明として扱われたそうです。
いったい、なんの原因も無く人間が突然、発火してしまうことなんてありえるんでしょうか?
過去の事例や様々な推察を見ながら人体発火現象について書いてみたいと思います。
人体自然発火現象
人体自然発火現象というのは、明らかに外部に火災になる要因がないのにも関わらず、人が突然炎上してしまう事象のことを言います。1470年にイタリアで、ヴォルスティウスという人物が突然、全身炎に包まれたという報告がおそらくは一番古い記録だと考えられています。
この記録から、今までの間に報告された事例だけでも200件以上にものぼると言うのも驚くことですが、いまだに原因究明に至ることが出来ていないというのも悩ましい限りです。
あまりにも古い記録だと真偽を確かめること自体が難しいので、20世紀に入ってからの事例を見てみます。
1951年 アメリカ
まずは1951年。アメリカで起こった事例です。
被害者はメアリー・リーサー、67歳の女性。メアリーのすむマンションを息子が訪ねると彼女はすでに焼け死んでいたそうです。
1988年 イギリス
次に1988年、イギリスでの人体自然発火現象です。
アルフレッド・アシュトンが発見された時には、下半身のみを残し、他は全て燃えつくされてました。
2010年 アイルランド
そして2010年、アイルランドで起こった事件で被害者はマイケル・フェアティという76歳の男性です。
住人の通報により消防隊が駆け付けたときには、時すでに遅くフェアティ氏は居間で黒焦げになって死んでいました。
周囲をくまなく捜査しましたが、火元となる物を特定することが出来ずにフェアティ氏の死因は人体自然発火現象であると判定されました。
2015年 インド
2015年、インドでも新生児が大火傷を負い病院に運び込まれるという事件が発生しました。
両親は自然発火であると訴えているそうですが、幼児虐待の可能性も捨て切れないということで、調査中だそうです。
原因の究明と仮説
まだ、魔女や心霊現象を当然のように受け入れていた中世の社会では、このような死に方をする人間は、大罪を犯した人物で、神が下した天罰により罪の業火によって焼かれるのだと信じられていました。
18、19世紀の近世の時代になってからでも、人体自然発火で死ぬ人間は、大酒飲みで身体全体にアルコールが染み込んでいるからだと、迷信とも言えるような考えがなされていました。そして、科学が発達した現代においては、様々な仮説がうまれ、多くの推察がされるようになりました。
例を上げますと・・・
燐(リン)による発火説
燐というのは、非金属元素の1つで骨や歯にも存在し暗所で青白い光を発するそうです。
お墓に現れる怪しい火の玉の正体が、これではないか等と言われています。しかし、生きている間に体内で発火するのは考えにくいとされていて、あまり支持は得ていません。
プラズマ発火説
気体の温度上昇により、気体の分子が解離して原子になり、さらなる温度上昇によって原子から電子が飛び出して、自由に動き回る状態をプラズマ現象といいますが、そのプラズマがなんらかの原因で移ることによって発火するという説です。
球電説
プラズマ発火説の一種で、球電と呼ばれる特殊な形態のプラズマ現象が人体に移って起こるというもの。
人体ろうそく化現象
これにはまず火種となるものが必要ですが、まず火種となるものが人間の着衣に引火して燃え上がります。それと同時にその人の皮膚が裂け脂肪層が露出することにより人体がろうそくのようになり燃え上がるというものです。
発火性遺伝子による発火説
遺伝子に組み込まれたものが、突然発火するというものですが、残念ながら今現在そのような遺伝子はみつかっていません。
人体自然発火を防ぐには
これだけたくさんの事例があって、これだけたくさんの仮説があるということはつまり、この現象の究明はまだまだ先の事で、メカニズムがわかっていない以上は、未然に防ぐことも出来ないということになります。
はたしてこの現象が自分の身に起こった時に、はっきりと意識があるとしたら。そう思っただけで身が縮んでしまいます。
できることなら、何事もなく最期をむかえたいものです。
今のところ、日本では人体自然発火現象が報告されたという記録はありません。
湿気が多い土地柄にもよるのでしょうか?
しかし、どんなに原因不明の現象にも、なにかしらの名前に当てはめたがる国民性を考えると、別の事件で処理されていることなんて充分ありそうでちょっと怖い気もします。
確率的には雷に打たれるよりも低いとはおもうのですが・・・それを救いと言うのかどうかはなんとも言えません。
※画像はイメージです。
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