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ルール無用のニセ札バトル!「ハイパーインフレーション」

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舞う札束、知力体力全てを注ぎ込んだバトル、様子がちょっとへん・・・異様なまでに特徴的なキャラクター、真剣なシーンで連発されるシュールなギャグ。
今回ご紹介する漫画『ハイパーインフレーション』(著: 住吉九)はそんな盛りすぎな要素とネタにするしかないハイパワーな表現で今SNSで話題の作品だ。

ネタ要素があまりに強烈なせいで、不条理なギャグ漫画と思われがちなこちらの作品。実は経済を真面目に扱った漫画でもある。経済、バトル、そしてギャグ……。全てが詰まったこちらの作品。今回はそんな特盛の面白さに迫ってみよう。

目次

少年よ世界を買え!ルール無用の偽札バトル開幕?

ニセ札。文字通り流通している紙幣そっくりの偽物。た流通すれば経済が混乱し、時に国すら傾ける危険な存在で、その製造・使用はもちろん厳しく禁じられ、製造者には重い罰が下される。そんな偽札が、今回ご紹介する漫画『ハイパーインフレーション』を構成する大きなファクターだ。

舞台となるのは大国、ヴィクトニアが世界を席巻する世界。主人公ルークたちが暮らす大陸も圧倒的な軍事・経済力を持つヴィクトニアの支配を受け、特にルークたちガブール人は奴隷狩りに怯える苦しい生活を余儀なくされていた。
そんなある日、主人公ルークは最愛の姉ハルを奴隷狩りによって攫われてしまう。自身も囚われの身となった絶望的な状況で神と邂逅したルークが願ったのは、「世界を買う力」。そんな彼に神が授けたのは「無限にヴィクトニア紙幣を生み出す力」だったーー。というのがざっくりしたあらすじ。
「神から授かったチートでお金を産み、姉をとりもどす……」ものすごくわかりやすく説明すると、『ハイパーインフレーション』のストーリーは以上のようになる。

ただ、みなさんもお気づきとは思うが、ルークのチートには欠点があった。ルークが産み出すことができる紙幣は「通し番号から小さな印刷の掠れまで全て同じもの」。言ってしまえば大量に使えばすぐバレる「偽札」だったのだ。
・・・だめじゃん・・・普通の人間なら諦めるところだが、ルークはへこたれない。

元々幼いころから商売に興味を持ち、独学でヴィクト語を学び、ヴィクト人と合法非合法とわない交渉をしていたルーク。自らの才覚と偽札という武器で姉を取り戻し、自分たちを苦しめたヴィクトニアの経済をかき回すと決意する。ここが本作の真のスタート地点。小さな復讐者ルークが始めた偽札バトル。
果たしてうまくいくのかどうか、続きはぜひ本編で確かめてほしい。

奇人・変人・怪人・超人大集合!世界経済を賭けたニセ札バトル!

無限に偽札を産み出すチートを授かった少年が、世界を相手に戦う『ハイパーインフレーション』。内容的にフィジカルでなく頭脳。つまり知恵を尽くした騙し合いがメインとなってくるのだが、その相手もみな「ヤバい」というかはっきり言ってみな様子がおかしい。
ルークの偽札を狙い、時に敵対し、時に手を組みさえする危ない奴ら。彼らの存在が本作をさらに面白くカオスにしている。(むしろ『ハイパーインフレーション』を少ししか知らない層にとっては「彼ら」の方が印象に残っているかもしれない)

まず、ルークの偽札を最初に見抜いた金の亡者グレシャム。強欲を絵に描いたような商人で、その欲深さで何度もルークの前に立ちはだかる。どんなに真剣なシーンでも金のことしか考えないゲスな言動と、そこから繰り出される名言(迷言?)の数々は、SNSでもよくネタになっているので、見たことがある人もいるだろう。本編でのグリシャムは、ネットでネタにされる部分の百倍はヤバいので、気になった方はぜひ本編で堪能してほしいキャラだ。

次に忘れてはいけないのが、ガブール系ヴィクトニア人レジャットだろう。初登場時からルークに対して友好的で、奴隷オークションからの脱出を手助けしたり、最初の対グリシャム戦では参謀としてアドバイスをくれたりと一見いい人?かと思いきや、全然そんなことはない。
ある任務を帯びてルークに接近した彼は、ルークの能力を探り、その手柄を我が物にせんと暗躍する。また筋が通っていると見せかけて非常に独善的な人物でもあり、自ら生み出した独特の理屈でルークに執着する、ハッキリ言って作中随一のヤバいキャラだ。能力だけ見れば、文武両道に長けた「超人」。

加えて年長者としてルークにまさる経験を持つレジャットは、ルークにとって物語通して最大の敵。二人の知恵比べの決着がどうつくのか、こちらも物語のみどころの一つだろう。
他にも幼いころ親に捨てられて森で育ち、野生の力を手に入れた少女ダウーや、レジャットの部下で変態的なガンマニアのコレット、その相棒の侍(??)ヨゼン、器用すぎる器用貧乏で主人公のピンチを幾度となく救うモルペコなど、個性が豊かすぎるメンバーがストーリーを牽引する。

本作のいちばんすごい点

だが、本作のいちばんすごい点は、こうしたむちゃくちゃな登場人物たちではない。彼らのむちゃくちゃな言動やトンデモバトルを楽しんでいるうちに、ウッカリ経済について知識が入ってくるところだ。もちろん初歩の初歩、そこまで難解なものではないのだが、紙幣が流通する仕組みや、タイトルにも使われている「インフレ」「デフレ」が起こる理由など、日々ニュースで見ても「なんとなく」知っているだけだった知識がストーリーと組み合わさって途端に解るようになってくる。これはこの漫画の地味だが最大の魅力だろう。

これにプラスして、経済だけでなく武器や戦闘など他のジャンルについての雑学が非常に多いのも、本作のおすすめポイント。本作の時代設定は私たちが暮らす世界の大体18世紀~19世紀ぐらいと推察されるが、当時の銃や大砲、船舶などの雑学は好きな人が見ればニヤニヤできるはず。また少年漫画らしく(?)意外とバトルパートが多い作品でもあるので、それらがどう使われるかにも注目だ。経済・戦闘・当時の暮らしと、モデルになった時代のあれこれに想いをはせるのも本作の楽しみ方といえそうだ。

知力を尽くした騙し合い、カオスなキャラクターから繰り出されるギャグ、フィジカルな戦闘、そこから広がる雑学の数々……と、今回紹介してきたが『ハイパーインフレーション』はネットでネタにされる以上に様々な楽しみ方ができる作品だ。作品自体は物語も現在いよいよ佳境。気になった人はぜひこの機会に楽しんでみてほしい。

著:住吉九
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ハイパーインフレーション (C) 住吉九 集英社 / 少年ジャンプ+

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