さて今回の作品は、シアルな視点での軍事、政治を扱った、壮大なスケールの漫画を描き人気を博している「かわぐちかいじ」先生の、現代の日本の現実的な起こりえる戦争をテーマにした作品「空母いぶき」を紹介したいと思います。本作は2014年に小学館の「ビッグコミック」にて連載がスタートし、2019年12月に連載終了、同年に映画化もし、いまでも大人のある作品です。
この作品のタイトルにある様に「空母いぶき」とある様に、日本が空母を持つ事になってしまった時代を描き、そしてついに起こってしまう、中国軍の領海侵犯、離島侵略と衝撃的な内容をテーマに物語は綴られていきます。現実的な問題としてある尖閣諸島問題を念頭に入れ、尖閣諸島で起きた中国漁船衝突事件に、尖閣諸島中国船領海侵犯などが本作では取り上げられ、緊張する日中情勢が誤魔化される事も無く、また誇張される事無く、ありのままに描かれています。
離島防衛および奪還作戦と現実の日本でも課題となっている、もしかしたら起きてしまうかもしれないと、そこにある戦争の機運と本来なら忌避感を持たれてしまう様な内容をテーマに、もし中国と日本が衝突する事になってしまったらという問題作でもあります。
そんな日本の姿を専門家である恵谷治先生の下でしっかりと軍事考証され、その世界観をかわぐちかいじ先生がしっかりと描き、リアルな戦争が表現されている事が見どころです。
そして注目するのが、日本初の空母となる「いぶき」の存在感であり、挑発的な領海侵犯を続ける中国政府に対して危機感を覚えた日本政府が新型護衛艦建造、艦船を旗艦とした護衛隊群の創設を計画した「ペガソス計画」によって誕生した「いぶき」。
この艦は自衛隊初の航空機搭載型護衛艦となり、軽空母として開発され、そして新設された第5護衛隊群の旗艦として活躍する事となります。
空想上の空母であるのですが、もしかしたら未完成のまま終戦になった日本海軍、幻の航空母艦「伊吹」のオマージュではないでしょうか?
より現実的な護衛艦として専守防衛を元に建造された事実上の空母、F35JBが15機配備され、もしかしたら実在するかもしれないと思わせてくれるような・・・そんな空母を描き、物語をより現実味のある雰囲気に演出していると、実に見ごたえのある漫画でもあります。
誤魔化しの無い、現実感のある、もしかしたら起きるのかもしれないと思わせてくれる、リアルな戦争を描いた本作。
見て損の無い、名作となるおススメな逸品です!・・・ちなみに最終回は賛否両論です。
(C) 空母いぶき かわぐちかいじ 講談社/ビッグコミックス
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