幼稚園の時から仲が良かったいっちゃんは、子供の頃から色が白くくりくりと動く大きな瞳がチャームポイント。
おたのしみ会の劇の主役はいつもいっちゃんだった。
いつも優しい、いっちゃん
私たちは同じ小学校に入り、同じ中学に進学して、田舎なので選択肢は多くなく、同じ高校に入学しました。
私は相変わらずいっちゃんの引き立て役で、いっちゃんはいつも優しかった。
ところが、中学、高校と進むうちに、いっちゃんから明るさが消えて行ったのです。
少しの付き合いなら、彼女は明るく見えのですが、いっちゃんと長く一緒にいたから気がついた。
高校2年の時に「悩み事なら聞くけど」と言ってみると、
「私の家系は早くに亡くなるの、お兄ちゃんが高校3年の時に自殺したのは知っているよね」
彼女は何事もなかったように振る舞っていたが、三年前に橋から飛び降りて死んでしまったのです。
従姉妹のお姉さんも焼身自殺をしたと言う。それだけじゃない、彼女の家のお墓参りに付き合わされたとき、墓石に刻まれた年齢は大体20歳ぐらいだった。
私たちはそれきりその話題には触れなくなった。
成人式を迎えた二人
高校を卒業して、それぞれ進学や就職し、それぞれに生活をおくっています。
私もいっちゃんも、学校は違うけど地元に近い大学に進学しましたが、いままで通りの仲良しです。
成人式に一緒に行って、式が終わった後に2人して写真館で撮影しました。
いっちゃんの着物は少し大人びた紫の総絞りで、きっと高価な着物だと思ってなにげなく聞くと、
「違うわよ、これおばあちゃんの時代からずっと引き継いでいるの、お古なんだ」
と少し恥ずかしそうに笑っていたのを覚えています。
それからわずか1ヵ月、いっちゃんは自殺した。
いっちゃんの着物
葬式の席の遺影には、あの晴れ着を着たいっちゃんの姿が。
そして、初七日にいっちゃんの実家に呼ばれて行くと、鴨居に同じ着物を着た女性の遺影が飾ってあり、今までは気にも留めなかったけれど、成人式の時に着ていたので改めて気がついた。
そしていっちゃんの両親が、ずっと仲が良かったからと形見に着物を渡してくれました。
家に戻り、着物を広げて眺めながら、
「悩みがあるのなら相談してほしかった」
「いっちゃんに死ぬ理由なんかない」
そんな事を悔やみながら、泣きながらいつしか眠ってしまったのです。
その晩、いっちゃんが泣きながらなにかを訴えるように、私の目の前で着物をほどいる夢をみました。
朝起きて、なにか胸騒ぎのようなものを感じ、夢と同じように着物をほどいてみると・・・。
襟の部分から小さく畳まれた紙がでてきて、紙には「ーーマツダイマデタタルーー」と赤い字で、呪いの言葉が書かれていたのです。
私は神社にお願いして祈祷し、着物は小さいサイズに仕立て直し、いっちゃんの実家に訳を話すと。
いっちゃんの両親が、いっちゃんの家にまつわる事を話してくれたのです。
私は、本物の呪いというものを初めて知りました。
※画像はイメージです。
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