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もしも早く帰りたいと思っていなかったら

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結婚する前の話です。現在の夫と付き合っていた当時、ドライブで少し遠出することになりました。
私はあまり行ったことのない場所でしたが、彼は何度か訪れていて目的地までのコースは任せていました。
途中、有料道路を通るか一般道を行くか訊かれ、急いでいなかったこともあり「一般道でいいよ」と答えてその通りに進み、そして「帰りも同じ道でいいよね~」と話したのを覚えています。

目次

目的地での出来事

目的地は観光地になっていて、地元の人なら誰でも知っている滝です。昼食を取って、いよいよ到着するところで、私は急に目眩を感じました。「車酔いでもしたかな」と思いましたが、運転をしてもらっている身でそんなことを言うのも悪いと思い黙っていることに。しかし駐車して車を降りると、頭痛まで感じるようになりました。彼はまったく気付いていない様子で、そのまま滝を観に行こうと足を進め、私も後を追いました。

一歩一歩足を進める度、頭をガンガンと叩かれている様な痛みが襲います。
階段を下り、遊歩道に出て、大きな滝が見えてきました。
「すげー迫力ー!」と言う彼の横で、私は「うん」というだけで精一杯。目の前の景色が黒っぽく霞んで見えました。
そして私達の前を歩いていたカップルが、先へと続く小道を進んでいるのを見た彼が「こっちも行く?」と訊ねてきました。
けれど私はもう限界でした。明らかに滝音ではない、ゴーという大きな音が耳から離れず、頭痛も激しいまま。


そしてこれ以上先へは進んではいけないと確信がありました。なぜその様に感じたのかはわかりません。しかし、絶対に行ってはいけないと思っていました。

「ごめん、頭が痛くてもう戻りたい」
そう言うと、彼は「大丈夫?顔色も悪いよ。早く戻ろう」と素直にきいてくれました。
滝から離れて行くほど、頭痛が引いていくのを感じました。車に乗り込む頃にはかなり良くなっていましたが、なぜかゴーという音は消えません。先程よりはボリュームは抑えられていますが、ハッキリとまだ聞こえていました。
「具合が悪いならさっさと帰った方がいいね」と彼が言い、私達は帰路につきました。

急いで帰らなければ?

私は頭痛は治まっていたものの、今度はなぜかとにかく急いで帰らなければという想いに駆られました。一刻も早くここから去らなければいけないと切羽詰まっていたのです。
そこで急に有料道路のことを思い出しました。

「帰り道なんだけど、有料道路から帰ってもらっていい?」
「うん。全然いいよ。頭痛いから早く帰りたいの?」
「もう痛くないんだけど、そっちから帰りたいなぁって」
「そっか。まぁ行きと同じ道も飽きるしね」
それから何事もなく私は自宅に送り届けてもらいました。家に着くと気持ちもすっかり落ち着き、何をあんなに焦っていたのだろうと思うほど。そして、ゴーという音も聞こえなくなっていました。

もし

帰宅後、親が見ていたニュースを見ていると、地元グルメのコーナーから突然画面が切り替わりました。
土砂崩れが起き、車が一台巻き込まれたという速報が入ってきたのです。
ヘリからの中継で映される映像には茶色い土砂が二車線の道路を覆い尽くし、土砂の端の方で軽トラが巻き込まれ、斜めに停車しているのが映っていました。
「本日午後4時頃、県道○○線で土砂崩れが発生し、軽自動車が一台巻き込まれました。運転手は自力で脱出し、無事な模様です」

アナウンサーの言葉を聞いて、私はサッと血の気が引いていくのがわかりました。
なぜならば、私達が一般道から帰っていたら、確実に土砂崩れに巻き込まれていたからです。

それからニュースを見たらしい彼から連絡があり「有料道路から帰ってよかったね。君のおかげだね」と。
「頭痛がしたからね。早く帰ってよかった」と返したところで、ふと思いました。

もしも頭痛が起きなければ、滝を観光して一般道から帰ったと思うのですが、そうなっていれば私達が帰路についた時間よりも遅い時間に出発するので、土砂崩れに巻き込まれることはなかったと思います。

謎解き

ではなぜ頭痛が起きたのでしょうか?

さらに、先へと続く遊歩道を進んではいけないと感じていましたが、あのまま進んでいれば同様に帰る時間が遅くなり、土砂崩れに巻き込まれなかったはずです。

ではなぜ進んではいけないと思ったのでしょうか?

そして、車に乗ったところで頭痛はだいぶ治まっていたので、一般道から帰っていてもおかしくありませんでした。けれど、あの時はとにかく早く帰りたいと思ったので有料道路から帰りました。

なぜすぐに頭痛は治まったのでしょうか?

これらを考えると、私には「巻き込ませたい」という何かの力が働いたような気がするのです。
なんとか巻き込まれずに済みましたが・・・このことは今でも夫に伝えていません。

※画像はイメージです。

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