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ギリシャ神話meets任侠?「イリオス」が面白い!

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「ギリシャ神話」・・・このワードで皆さんは何を思い浮かべるだろうか。
壮大な神々の叙事詩?古典の名作?それともゲームやアニメなど、ポップなサブカル作品にリライトされた姿だろうか。遠い場所の遥か昔から伝わる神話でありながら、意外と私たちの生活に溶け込んでいるのがギリシャ神話のモチーフだ。

今回ご紹介する漫画『イリオス』(著 円城寺真己)もそんなギリシャ神話を題に取った作品。これだけならありふれた漫画なのだが、こちらの作品の舞台はなんと日本の黒社会。ギリシャ神話と黒社会。モチーフ的には一番遠いところにあるような二つのテーマ・・・一体どんな作品になっているのか?さっそくその魅力に迫ってみよう。

目次

親分はアガメムノン?用心棒はアキレウス?『イリオス』は仁義なきトロイア戦争ver.2

ギリシャ神話を題にとり、日本の任侠社会を描く漫画『イリオス』。少しギリシャ神話に詳しい人ならすぐ察しがつくかもしれないが、本作のモチーフとなっているのはギリシャ神話の叙事詩『イーリアス』。「トロイの木馬」で有名なトロイア戦争を描いた物語だ。この辺はアニメや漫画、ゲームでさんざんネタにされているので名前ぐらいは聞いたことがある人も多いだろう。

そんな伝説をモチーフにした本作のストーリーは、主人公である亀山組若頭・亀山パリスが、日本最大の組織任侠組織・朱維屋会(あかいやかい)の大物の妻をさらってしまうところから始まる。パリスもまた九州を拠点とする任侠組織・亀松組の若頭であったために、小さな駆け落ち騒ぎは二つの組織の抗争の火種となっていく・・・というのがおおまかなあらすじ。
まさにVシネ!といった任侠もののテッパンのあらすじだが、意外なことに原典となった『イーリアス』の導入もほぼ同じ。いわば本作は「仁義なきトロイア戦争ver.2」といったところ。

そしてギャグに走らず、あくまで原典にそいながらノワールとして進んでいくストーリーを見ていると、「ギリシャ神話って意外とハードボイルドだな……」と不思議な感想を抱いてしまう。とりあえず3話だけ読んでみて欲しい、すでにギリシャ神話モチーフはたっぷり盛り込まれており、詳しい人なら任侠ものとの不思議な親和性を楽しむことができるだろう。

またギリシャ神話の知識が全くない人でも、作品のスピード感とインパクトがすさまじいので、勢いに身を任せて読んでいるだけでもじゅうぶん楽しめる。ぶっちゃけ「なんか変わった名前の人たちが出てくる過激な漫画だなあ……」と思いながらざっと読んでも十分楽しい。最初は予備知識ゼロで読んで後から「答え合わせ」をしてもいいだろう。『イリオス』は一粒で二度おいしい漫画と言えそうだ。

モチーフ?それとも?「半神」投入で『イリオス』はさらにエキサイティングに

異色のギリシャ神話meets黒社会漫画『イリオス』。古代ギリシャ、神話の戦争を題材にしつつ、黒社会での抗争や駆け引きをハイテンションで描くこちらの作品。これだけでもカオスな本作だが、最新話ではギリシャ神話ネタがただのモチーフではない可能性すら出てきている。

その最たる理由が最新話でついに動き出した朱維屋会(あかいやかい)の用心棒(?)アキレウスだ。元ネタは言わずと知れたギリシャ神話の大英雄アキレウス。神と人間の間に生まれ、ほぼ不死身の肉体を持つ男だ。本作のアキレウスもまた「半神」の異名を持つ屈強なキャラなのだが、作中のセリフなどをみるとこの「半神」ただのあだ名ではない様子。詳しくは本編を読んで欲しいのだが、明らかに常人ではありえない戦闘能力を持っており、ただの人間ではない可能性が示唆されている。
こうなるとただのモチーフかと思われたギリシャ神話要素も、作品世界全体を揺るがす設定のフラグという可能性すら出てくる。

もう一つ気になるのが、主人公パリスが見た夢。ギリシャ神話でトロイアの王子パリスが、三人の女神から一番美しい女神を選ぶ見返りに、国・勝利・美女のどれかを与えると持ち掛けられた伝説を元にしたこちらのエピソード。パリスはそのまま主人公 亀山パリスのモチーフとなった人物なので、この夢は本作の導入としては不自然ではない。しかし本当にそれだけだろうか?主人公パリスは夢の中でモチーフとなった神話とは全く別の決断を下しており、またこの夢を人生の指標としていて、夢に登場した不自然に大きい金のリンゴのネックレスを常に身に着けている。

戦いは「超人」投入、国を巻き込む争いに発展していくのか?

前述のガチ「半神」アキレウスの件も含め、主人公が見た不思議な夢もなんとなくこれからの展開に大きくつながるような気がしないでもない。現在はギリシャ神話モチーフの変わった任侠ものといった雰囲気の本作だが、今後の展開でそれ以上のどんでん返しが起こるかもしれない。

そもそも元となった『イーリアス』で描かれるトロイア戦争自体が、ギリシャとトロイアの10年以上にわたる戦いを描いた叙事詩。神や英雄が争い、知将同士が計略を張り巡らせるエキサイティングな物語である。事実、パリスが敵に回した朱維屋会(あかいやかい)は、任侠社会だけでなく政財界にも影響力を持つ巨大組織。Vシネ的な極道の小競り合いでおさまる話ではなさそうだ。

さらなる「超人」の投入や国を巻き込む争いに発展していくことは想像にかたくない。(この記事を書いた当時、まだ登場していないパリスの兄ヘクトールや、原典で「トロイの木馬」作戦を発案したオデュッセウスがどんな人物なのか非常に気になるところ)主人公の運命やギリシャ神話とのつながりを含め、今後の展開が気になる作品と言えるだろう。

異色の組み合わせの漫画だからこそ面白い!

今回取り上げた『イリオス』は、ギリシャ神話と任侠ものという異色の組み合わせの漫画だ。だがそれゆえに、色々な想像が膨らむ作品でもある。それを抜きにしてもテンションの高い黒社会ものとしてのおもしろさも一級品。
なにか変わった漫画をお探しの方はぜひ一度読んでみてはどうだろうか。

著:円城寺真己
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イリオス (C) 円城寺 真己 講談社 / ヤングジャンプ

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