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和風ホラーにひっぱりだこ「因習村」とは?その起源と因習村を舞台にした作品紹介

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最近和風ホラー作品でよく見聞きするようになった因習村。おぞましい因習に縛られた村を舞台にしたホラージャンルを意味する単語で、ネットミームとしてすっかり定着した感すらあります。
今回はホラー好きな人々の興味を惹き付けてやまない因習村の起源と、因習村ジャンルのおすすめ作品をご紹介していきます。

目次

「因習村」の定義とは

因習村とは古いしきたりや言い伝えが連綿と語り継がれ、村人たちがそれを根強く信じている集落の名称。多くの場合保守的・閉鎖的・排他的で、よそ者は敬遠されます。

元ネタとなった「因習」自体が「弊害を生むしきたり」の意味を兼ねたネガティブな単語である為、因習村にも仄暗いイメージが付き纏っている事実は否めません。
因習村はリアルに実在します。昭和前半に岡山県で起きた津山三十人殺し、1952年で起きた静岡県上野村村八分事件、2013年の山口連続殺人放火事件の舞台を因習村に数えてもいいかもしれません。また、その手の村を舞台にした創作物全般を指すジャンル名としても定着しています。

以下、因習村の定義です。

  • 外部の人間、または村人から「ここ(あそこ)はやばい」「村に立ち入るな」と警告される
  • 土着信仰の神(あるいは妖怪)を祀った社や祠がある
  • ダムの開発の推進派と反対派が係争中
  • 村独自の因習を調査している学者がいる
  • 村人たちが常に行動を監視している
  • 座敷牢がある
  • 謎めいたわらべ歌が伝わっている
  • 行方不明者が多い
  • 生贄を捧げる儀式がある
  • 怪奇現象が多発する etc……。

上記はほんの一部に過ぎず、他にも多々条件が挙げられていました。現代のフィクションで扱われる因習村は、スマホが圏外の陸の孤島として設定されている場所も多いです。
前時代的な封建制が生きているのも特徴で、村の庄屋が村長として、現代も権勢を維持しているパターンもあります。座敷牢は明治時代の私宅監置の名残りでしょうか。因習村の家屋の大半は伝統的な和風建築で、街灯や電柱が極端に少ないのもお約束。

「因習村」の先駆けは江戸川乱歩と横溝正史

因習村と言葉できる前から因習村を舞台にしたミステリー、ホラー作品は愛され続けてきました。その代表例が江戸川乱歩『孤島の鬼』と横溝正史の『金田一耕助』シリーズ。
前者は島民一同が秘密を守り続ける絶海の孤島、後者は地方の集落で相次ぐ怪事件を扱った話。原作小説を読んだことがない人でも、『犬神家の一族』『ハツ墓村』『悪魔の手毬歌』の映画をご覧になっていれば、想像が付きやすいと思われます。

『犬神家の一族』は、当主死亡と同時に起きた、一族の骨肉争いが騒動の発端となりました。
絶対的権力でもって下々を支配する富豪一族は因習村に不可欠な存在で、作品のラスボス・黒幕として配置されるのが主。彼等の暴力装置として暗躍する、村人の動向にも注目してください。これは村全体が共犯の場合と、『SIREN』の宮田司郎や『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 の長田幻治のような、汚れ仕事担当の一族がいる場合とがあります。
彼等には目撃者の口封じ、生贄の処刑執行の役割が与えられており、因習村の裏事情を知り尽くしています。

上記の悪役と対になる形で、何らかの禁忌を犯し、村八分の憂き目に遭っている人物も登場。
村八分とは火事と葬式を除いて一切の関わりを持たないことで、ハブるの語源でもあります。前者は延焼の険性があり、後者は放置死体が伝染病の発生源となる為、例外的に村人の手伝いが認められていました。

金田一耕助シリーズ一作目、『本陣殺人事件』が世に出たのは終戦から一年後の1946年。
当時は日本全国にリアル因習村が存在しており、その土地独自の風習や迷信がリアリティーを帯びていました。金田一耕助シリーズはほぼ全て因習村が舞台といっても過言ではなく、最初期の『本陣殺人事件』の時点で、世界観や作風が確立されています。

海外にもたくさんある因習村

ここまでは日本の因習村を紹介しました。しかし海外にも因習村やそれに準ずる場所は存在します。
1973年のイギリス映画『ウィッカーマン』は、熱心なカトリック信徒の刑事がスコットランドの島を訪れ、原始的宗教儀式に巻き込まれる話。知る人ぞ知るカルト映画として一部で注目を浴び、近年リメイクもされています。主人公が柳の枝で編み上げたウィッカーマン像に閉じ込められ、生きたまま焼き殺される衝撃的ラストは、今観ても戦慄を禁じ得ません。

アリ・アスター監督の『ミッドサマー』も因習村を扱った作品。北欧のホルガ村を訪れた主人公が夏至祭に参加するうち、村人たちに洗脳され、狂った共同体に取り込まれていきます。
村娘の経血を混ぜたジュースを惚れ薬として男に飲ませる等、子作りを村の女たちが監視する等、生理的嫌悪を催す描写が各所に織り交ぜられているのが本作の特徴。
近親相姦で産まれた奇形児が聖なる存在として崇められている内情も示唆され、闇の深さを感じさせます。

ナ・ホンジン監督の『哭声 コクソン』は韓国の因習村映画。本作のキーパーソンは國村隼演じる謎の日本人。彼が片田舎の集落に移住してきた日から様々な怪現象が相次ぎ、村人たちを脅かします。謎の日本人が元凶なのか、村自体に問題があったのか……真に悪魔に憑かれていたのはどちらなのか、視聴者の想像に委ねる結末が後味悪いです。

因習村好きにおすすめ、ヒトコワとオカルトが融合した名作

和風ホラーと相性バッチリな因習村。ここでは因習村を舞台にした、おすすめ作品を紹介していきます。

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

2023年公開の映画。もとは水木しげる生誕百周年記念に制作され、異例の大ヒットを記録しました。本作の舞台となる哭倉村は、龍賀一族が支配する旧態依然とした集落。
野心家のサラリーマン・水木がこの地を訪れたことから、おぞましい惨劇が幕を開けます。
龍賀一族の秘密や哭倉村の恐ろしい因習は勿論、水木が暗いトンネルを抜け、村に入るシーンの描写が秀逸。日常が非日常に暗転する演出が上手く生かされ、物語に引き込まれます。

TRICK

仲間由紀恵演じる自称天才マジシャン山田直子と、阿部寛演じる物理学者上田次郎のコンビが活躍するドラマ。ファンの絶大な支持を受け、続編や続々編、劇場版が制作されました。
不気味なわらべ歌を引用した見立て殺人や、地口に着想を得たトンデモ推理が好きなら必見。
このドラマ自体が因習村パロディともとれ、極上のエンターテイメントに仕上がっています。

Writer:蒔田光治, 監督:堤幸彦
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刀城言耶シリーズ

ホラーミステリー作家、三津田信三の看板シリーズ。民俗学に詳しい作家の刀城言耶が、おぞましい因習の残る集落や離島を訪れ、奇怪な殺人事件に巻き込まれます。
本シリーズの特徴はホラーとミステリーが融合した作風。タイトルはどれも村の因習に関係する妖怪からとられており、本家と分家の対立、化け物の仕業か人間の犯行か不可解な猟奇事件の数々など、横溝正史ファンにはたまらないストーリーが展開されます。終盤のどんでん返しに次ぐどんでん返しには、ページを遡りたくなることうけあい。

著:三津田信三
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因習村ブームの終焉は?派生ジャンルも続々!

以上、ホラーファンの心を掴んで離さない因習村の詳細を解説しました。SNSでは「日本因習村パーク」「因習村の老人」「トロピカル因習アイランド」などの派生ジャンルも観測され、もうしばらくブームが続きそうです。
また、因習村ブームはCoCことクトゥルフ神話TRPGと深い関わりを持っています。CoCの和風ホラーシナリオの多くは因習村を舞台に設定している為、シナリオ関係者が面白がって広めたのが、今日のブームを牽引したのではないでしょうか。

一方で横溝正史ホラーミステリー大賞に因習村テーマの投稿作が殺到し、安易に流行に乗っかって地方を茶化す風潮に、審査員が警鐘を鳴らしていました。

※画像はイメージです。

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