中古のiPhoneなんか買わなければよかった・・・

今では中学生でも携帯電話を持っている時代ですが、家庭環境が厳しく持てない子、持たせてもらえない子もいます。
今回はそんな苦学生がこれから社会に出て働こうとしている青年に起きたお話です。

パワハラ上司のススメ

私は3人兄弟の長男として生まれました。しかし父親が早くに亡くなったため母を助けるために中学では新聞配達、高校は新聞配達とコンビニでWワークをしながら高校を卒業しました。バイトばかりしていて一般的な青春はありませんでした。それでも私は兄弟の成長を見ているだけで幸せでした。

高校卒業後、正社員で働けるようになったのですが問題が起きました。それは携帯電話を持っていなかった事です。学生の時はそれほど気にならなかったのですが、社会に出ると必須アイテムといっても過言ではありませんでした。特に上司には「今どき携帯を持っていない奴なんかいるのか?」と何事にもパワハラをしてくる上司でした。

そんな事もあり初任給で初携帯を買うことにしたのですが、またパワハラ上司が「会社のパソコンと同期しやすいiPhoneを買えよ」とススメてきました。携帯自体に知識もなくパワハラ上司の言いなりに中古ですが普通よりも安くiPhoneを買えました。

iPhoneの機能に喜び

所詮は携帯電話と甘くみていた私は使ってみるといろいろな機能があり急に世界が広くなった気がするほどでした。お金がなく写真などは学校の行事の物ばかりでしたが、iPhoneを買ってからは写真だけでなく動画も撮り、今まで出来なかった家族全員での記憶を記録するようになりました。すると写真や動画を撮り過ぎたせいで容量がいっぱいになってしまいました。

その話を先輩にすると「パソコンに写真や動画を落とせばいいんだよ」といった後に「あっ!?」と顔をした先輩。先輩は私の身の上を知っていました。すると先輩は「お前最近頑張ってるからな」と使わなくなったパソコンをくれました。私はお礼をいい先輩は使い方を教えてくれました。

謎の着信と留守番電話

入社してもう少しで一年という頃、私の携帯に知らない地方局番で留守番電話が入っていることが多くなりました。内容を聞いても話し声は遠くてノイズの様な音が大きくて全然聞き取れませんでした。そんな事が数回続いた時にパソコンをくれた先輩に相談してみました。すると先輩は「その機種は結構古いから買い替えるかメンテナンスに出したら?」とアドバイスをもらい金銭面からメンテナンスに出しました。

メンテナンスから戻ってきた携帯は快適に使えましたが、帰ってくる前の日付でまた留守番電話が入っていました。もう聞く気にもなれず即録音を消去しました。しかし次の日に自分の知らない写真フォルダーがありました。抵抗はありましたが、その写真フォルダーを見る事にしました。写真は夫婦と子供一人が写った家族写真で他の写真もその家族の物でした。
私は途中でそのフォルダーを閉じました。何故なら間違えて誰かが送ってきたと思ったからです。この時、携帯に無知な自分を悔やみました。

鳴りやまない着信と電話越しに聞こえる叫び声

電話の着信と留守番電話は日に日に多くなってきました。その頃、初めての年度末を体験していて異常な忙しさで留守番電話も聞かずに消去していました。それでも留守番電話が溜まっていき消去をするのも忘れていました。
自分のデスクで仕事に追われていると先輩が「落ち着け、落ち着け。焦って仕事をしてもいいことないから」と優しい言葉をかけてくれた時です。先輩が「ほら携帯鳴ってるぞ」と渡してくれました。それはいつも気づかないうちに来ている例の地方局番でした。私はその時、どうしてかスピーカーフォンで出ました。

すると「逃げろー!…構わずいけー!」と声はノイズ交じりで聞き取れたのはこんな感じでした。一緒に聞いていた先輩は「なんの電話なのよ?」と疑問を投げかけて来たので今までの留守番電話と謎の写真フォルダーの事を話しました。先輩は「ちょっと携帯借りるな」といって持っていきました。

県外番号元とiPhoneの出所

夕方過ぎに先輩は戻ってきました。先輩は「お前、結構はずれな中古品を買ったな」と半笑いでした。私は意味が分からず先輩に説明してもらいました。先輩の話では残っていた留守番電話も全部聞いたうえで、地方局番は東北の局番でした。そして留守番電話が入るようになったのは3月の頭ぐらいで今日は3月11日でした。

そこまで聞いたら私でも想像がつきました。私が働きだしたのは4月、震災の約1か月後でした。火事場泥棒が当時のニュースでやっていたのをなんとなく新聞の折り込みチラシを入れてる時に見た気がします。多分そんな輩が携帯を中古屋に売ったんだと思いました。そしてかかってくる電話はあくまで私と先輩の想像ですが、写真フォルダーの旦那さんが奥さんにかけた電話だと思います。でも奥さんは電話に出なかった、電話に出るまでかけ続け自分も波にのまれてしまった。
だから留守電の大半が「ゴボゴボ」みたいなノイズなんだと思います。

家族の生末を暗示、悔いを残して死んでしまった。どれだけの未練を残して死んでいったのか、家族のために頑張れている自分には少しは気持ちがわかる気がします。
年度末で忙しくはありましたが、先輩とヒマを見つけてお寺に持っていき因縁物として供養してもらいそのままお寺に預けました。
お寺の帰り道に携帯がなくなった事と留守電の家族の事を考え落ち込んでいる私に先輩が「お古だけどやるよ」と当時最新だったiPhoneをくれました。
この中古品では何事も起こらないことを願います。

※画像はイメージです。

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