19世紀…人類による科学的啓蒙が西欧列強の国々において一大ムーブメントを巻き起こした時代。
夜の闇を、街の影を消し去ろうとする文明の火は明々と燃え上がり、神秘を切り裂き、隠されたものを浮かび上がらせんと人の世を照らし出す…至る所に黒々と濃く深い闇のような影を落としながら。
そんな闇を我が物顔で跳梁跋扈、遂には表へ這い上がろうとする者達を、同じく闇を駆け回り「明日を守れ」と葬り去る秘密結社が存在した!
所属するのは死んだと思われたあの人や、創作キャラクターだと思われたこんな人、果てはなんと…恐竜?!
明暗くっきり、ビジュアルノベルもかくやと独特のタッチから繰り出される重厚でポップ、セクシーでハイテンションな「マンガ・ノワール」とでも言うようなスタイルが描き出す「IFの世界」をご紹介致します!
偉人、変人、恐竜人?!ハードでキュートな面々が、歴史の闇を駆け回る!
本作のタイトルである「ジャバウォッキー」…それはルイス・キャロル原作「不思議の国のアリス」において「森の中のジャバウォック(ジャブジャブ鳥)」として語られる正体不明の怪物をもじった「影に隠れた者達」のようなニュアンスとして付けられたものとされます。
即ちそれは「恐竜人」…かつて地上を闊歩し、ヒトの世の19世紀においては化石のみが取り沙汰される「滅亡種族」だと見られていたはずの恐竜が実は絶滅を免れ、ヒトより遙かに長い歴史を以て磨き上げた知性の数々を使い影からヒトの世と関わり合っていたという「事実」を有する物語なのです。
子ども時代に一度は興味を惹かれた不思議な響きを持つ名前で呼ばれた彼ら…トリケラトプスにマメンチサウルス、ティラノサウルス、アロサウルスにオヴィラプトル・・・。
そんな彼らがまるで「人並み」な格好でちょっとおどけながら世界を影から股に掛け、受けて立つはこれまた豪華なあのヒトやこのヒト…何処かで名前を見た事のある、歴史好きや文学通ならずとも「おっ」と思わず声を上げてしまいたくなる事請け合いな面々が勢揃い!
本作を読めば、アナタの知ってる歴史観がひっくり返される…かも?
鉄砲、策謀、陰謀論!歴史の裏でやりたい放題、オトコノコってこういうの好きでしょ?
歴史の闇を駆け巡り、張り巡らされた陰謀を相手に回して立ち向かうエージェントなれば、やはり忘れてはいけないのが命を預ける武器は必須アイテムと言えるでしょう。
本作のダブル主人公、自前のワイヤーフックと至る所に隠し持った大型ナイフを使いこなして所狭しと暴れまくるデンジャラスセクシーな飲んべえ美女ミス・アプリコットの頼れる相棒(で居たい)クールでいなせ(を気取ってあんまり上手くかっこはつかない)な銃の名手、オヴィラプトルのサバタが見せるガンアクションは見せ場の一つ。
恐竜が持つ高い身体能力を引っ提げて、古めかしいスタイルの銃器を任務に応じて使い分けて見せる様はアクション映画もかくやと言うもの。
更に時は19世紀末、戦術的用途が一挙に拡大して複雑化した結果生まれる奇形的進化を遂げた銃であるコルトM1847(通称ウォーカーモデル)を「現地調達」して使ってみせるような「曲芸」を見せてくれる所なども心憎い演出の作品であると言えるでしょう。
スラップスティックコメディもかくやという暴力的展開を易々と演じながら、陰謀論としての「たしなみ」もキッチリ折り込む絶妙のバランス感覚、濃厚すぎるキャラクターとガジェット達の活躍を合わせてたっぷりお楽しみ頂ける作品です!
コミックス全7巻で完結
なお本作「ジャバウォッキー」はコミックス全7巻で完結の後、後日譚となる「ジャバウォッキー1914」が全4巻で刊行されております。
その雰囲気にハマってしまった方は、合わせて読まれるのがオススメです!
ジャバウォッキー (C) 久 正人 マガジンZKC/講談社
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