切り裂きジャックの容疑者にもされた王子様の話。

ゴシップかスキャンダル?時間がたつと歴史的事件?
有名な切り裂きジャック事件の容疑者のひとりは王子様。

その破天荒に生きて、あっけなく亡くなった、王子様の人生を紹介します。

切り裂きジャックとは?

切り裂きジャックの事件は、1888年8月31日から11月9日の約2ヶ月間にロンドンの場末のイーストエンドのホワイトチャペルで起こった猟奇的な連続殺人事件で、犯人はいまだに不明です。

少なくとも5人の娼婦が同じ手口で殺され、ばらばらに切り裂かれたうえに、犯人が署名入りの犯行予告を新聞社に送りつけたりと劇場型犯罪の元祖と言われています。

その手口から英語ではジャック・ザ・リッパーと呼ばれていますが、日本ではそこまで知られていないせいか、昔英語の解説のコラムで「ただの殺人事件を大英帝国の権威ぶって~」と書かれた記事を見たときは、もっとよく調べて書いてよね・・・とうんざりし、コラムを連載した新聞も信用できなくなったほど呆れた覚えがあります。

・・・とにかくこの事件はメスのような鋭利な刃物でのどを描き切られ、臓器を摘出されていることから、外科医とか軍人、肉屋という説もあるそうです。

思いもよらない容疑者!

当時から様々な容疑者が浮上したなかに、なんと在位中だったヴィクトリア女王の直系の孫でれっきとした王位継承者がいたのです。
この人はクラレンス公爵アルバート・ヴィクター王子で、ヴィクトリア女王の王太子のちのエドワード7世の長男。

母は美貌のデンマーク王女アレクサンドラ王太子妃ですが、祖母のヴィクトリア女王の伝記を読むと、孫の出来の悪さを心配していたようです。

というのは、アルバート・ヴィクター王子はすぐ下の弟ジョージと一緒に家庭教師について勉強していたのですが、大学へ行く年頃になり、両親やヴィクトリア女王が、ケンブリッジ大かオックスフォード大かどちらにしようと家庭教師の意見を聞くと、とてもそんな一流大学では付いて行けないほどの出来の悪さ。
それでは弟ジョージだけでもというと、弟と一緒だから辛うじて勉強しているが、弟と離すとどうなるかわからないと言ったそう。

頭を抱えた父エドワードたちは、兄弟を海軍の船に乗せて世界一周させることにしました。
当時の貴族や王族は、大学へ行くかヨーロッパや世界を旅行させて見聞を深めるのが流行していたんですよね。
尚、このときアルバート・ヴィクター王子とジョージ王子(のちのジョージ5世)は明治初期の日本に寄港しています。

W. & D. Downey / Public domain

ヴィクター王子の行く末

そういうわけで年頃になったアルバート・ヴィクター王子は、一応軍隊には入ったものの、梅毒にかかっているとか、バイセクシャルだとかで、有名なクリーブランド・ストリート・スキャンダル(ゲイは当時は犯罪で、その男娼館が摘発され貴族なども顧客として起訴された事件)にも関係していたと噂され、はては切り裂きジャック事件の容疑者とさえ言われる立派な不良青年に成長。

お妃選びとなったときも、ドイツ皇帝の娘や貴族など、ヴィクトリア女王の孫娘たちのだれかがお妃になるはずだったんだけど、全員逃げ出したということです。

アルバート・ヴィクター王子の従妹でもあり、のちにロシア皇帝ニコライ二世の皇后となったアレクサンドラも、祖母ヴィクトリア女王のお気に入りだったけど「命令ならば仕方なく従うが、絶対に嫌」と断ったと言われています。

そういうわけで、遠い親戚のメアリー(あまり美貌ではなく将来になにも夢を持っていなかったそう)を呼んできたところ、仲良くしているので彼女と婚約。
しかしアルバート・ヴィクター王子27歳、婚約したらさすがにしっかりしなくてはと、少々風邪気味なのを無理をして公式行事に出たのがもとで肺炎であっけなく亡くなってしまいました。

婚約者のメアリーはあまりに気の毒なので、そのままスライド的にアルバート・ヴィクター王子の弟のジョージと婚約、再婚しました。
このメアリーのおもしろい話もあるので、良かったらまた今度別の機会にでも。

ヴィクトリア女王も心配だった

ヴィクトリア女王は日記にも、あほなアルバート・ヴィクター王子が王位に就いたらどうなるかと心配していたようですが、その後のヴィクトリア女王の曾孫である、あのシンプソン夫人と結婚するために退位したエドワード8世も、国王にはふさわしい人ではなかったという声が多いんですよね。

詳しく歴史を見ていると、ここという歴史の節目にさっそうと登場して偉業を成し遂げる人物に注目するのはもちろんですが、王位継承が間違いないとされる人でも、周囲が心配するような愚鈍な人は、なぜか王位に就けないか短命である例が多いよう・・・自然淘汰と言うと失礼だけどそういうこともあることをご紹介してみました。

※写真はイメージです。

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