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映画や漫画で大人気!中国版ゾンビ「キョンシー」の作り方

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あなたは中国の妖怪と聞いて何を思い浮かべますか?
戦乱の世に現われ王を選ぶ麒麟、人に取り憑いて首を吊らせる縊鬼、死者の霊が鬼に化け犬にだけ見える奥若洛木など、我々日本人が知らない妖怪が大陸にはたくさんいます。
そんな魑魅魍魎の中で、今も昔も根強い人気と知名度を誇っているのが中国版ゾンビ・キョンシー。映画『霊幻道士』シリーズに夢中になった方も多いのではないでしょうか。
今回は私達の心をとらえて離さないキョンシーの作り方や、謎めいた性質をご紹介していきたいと思います。

目次

キョンシーの素体は出稼ぎ労働者だった

キョンシーは漢字で僵尸と書き、甦った死体をさします。もともと中国では埋葬前の死体を室内に安置しておくと、夜になって突然動きだすと信じられていました。
「僵」は死体、即ち「尸」の硬直をさし、両手を前に揃えて跳ねるように歩く、キョンシーの特徴的な動きから着想を得たものです。

キョンシーの起源には諸説ありますが、中でも有名なのが出稼ぎ労働者の死体説。
明・清代の中国湖南省西部では出稼ぎ労働者の死体を故郷へ帰す手段として、道士による呪術が用いられました。
この方法は「趕屍」(カンシ)、または「送尸術」(ソウシジュツ)と呼ばれます。
もし遠方から出稼ぎにしていた場合、運搬には手間と費用がかかります。その点死体を歩かせるなら安上がりで早く済むといった具合に、キョンシーが発明されました。
道士とは中国の術者で、日本における陰陽師に相当します。

もともとは道教を信仰し、道教の教義にのっとった宗教活動をする者たちの総称で、男性の道士が乾道、女性の道士が坤道と呼び慣わされていました。
現代でも中国には十万人以上の道士が存在し、庶民の心霊相談に乗っています。
彼等は主に道院や廟、洞に住み、そこで民に教えを施していたそうです。
道教のしきたりに準じた冠婚葬祭の実施ほか、各種護符制作に通じた道士の活躍は、キョンシーの存在と切っても切り離せませんでした。

キョンシーの意外な習性。空を飛んで人を食べるって本当?

キョンシーはただ直立して飛び跳ねるだけの妖怪ではありません。活動年数によって能力が変化し、その強さも増していくのです。
中国の人々は強い怨みを持って死んだ者が、キョンシーとなり甦ると信じていました。
キョンシーとして覚醒した死体は腐敗せず、髪は黒々と伸び、青ざめた肌色以外は生前と殆ど変わらないとされます。
長く活動したキョンシーは飛行能力を身に付け、「飛僵」(フェイキョン)と名付けられました。

飛僵の目撃談は清朝の野史『述異記』にも記録されており、湖南省の村に出没したそうです。
さらには爪に毒を宿し、長く伸ばして攻撃に用いります。性質は極めて凶暴・野蛮とされ、獰猛な人食い妖怪として恐れられていました。
目が退化して殆ど見えない代わりに嗅覚に優れ、人や動物の匂いを嗅ぎ付け、吸血行為に及びます。一説によると日光や鏡を嫌うそうで、吸血鬼との類似が面白いですね。

キョンシーの作り方

中国人は風水を重んじています。
冠婚葬祭の儀式の際も風水にのっとり、正しい方角を占うきまりになっており、これを怠った死体がキョンシーになる、と昔の人々は噂しました。
中国の葬儀では、以下が禁忌とされています。

  • 棺を壁などに立てかける
  • 上下逆さまに置く
  • 棺の蓋に漆喰などで封をする

このような扱いは死者への冒涜ととられ、正しく葬られなかった死体からは魂魄(こんぱく)の魄が抜けきらず、キョンシー化を招きました。
魂魄とは道教や中国医学における霊の概念で、そのまま死霊をさすこともあります。
太古より中国の民衆は、人間には三魂七魄が備わっていると信じてきました。

三魂の内分けは天魂・地魂・人魂とするのが主流ですが、胎光・爽霊・幽精、または主魂・覺魂・生魂と唱える者もおり千差万別。
天魂は死後に天へ、地魂は地底に帰り、最後の人魂だけが墓地に残るというわけです。
七魄の方は喜び・怒り・哀しみ・恐れ・愛情・憎しみ・欲など、私たちが俗に未練と呼ぶ、人間の感情の残滓をさします。
キョンシーは魂が抜けた状態の死体が魄のみで動かされている状態。故に日の光を苦手とし夜に行動します。

道士が個人の依頼を受け、埋葬前の死体に故意に魄を下ろし、キョンシーを作る事もありました。
日本の陰陽師と同じで、彼等も有力者の頼みは断れないのでしょうね。
他にはキョンシーに襲われた者がキョンシーになる事例も報告されており、吸血鬼のように感染するのがネックです。
極めて稀な例ではありますが、陰気が強い土地(処刑場、戦場跡など)に捨て置かれた死体がキョンシー化する事もあるそうです。

キョンシー対策には童貞の尿が効果的

昔の人々はキョンシーから身を守る為、様々な対策を講じました。
キョンシーはそれ自体が凶暴な怪物ですが、中でも危険なのが爪を使った攻撃。掠っただけでも全身に毒が回るときて、油断大敵です。
キョンシーの毒を緩和するには、患部にもち米やゆで卵をまぶし、雌鶏や黒い犬の血をかけるのが効果的。
この際雄鶏や黒以外の犬の血をかけると、逆に凶暴化を招くので注意してください。

一番の特効薬となるのが、なんと童貞の尿。キョンシーと戦闘を考えているなら、魔除けの効能を持った桃の木の剣、通称・桃剣を使うのがおすすめ。
浄めた銭を連ねた銭剣も同様に退魔の効果を持ちます。
日光や鏡を嫌悪するキョンシーは雷に怯える、というのも頭の隅に留めておいてください。
強力な道士の場合、額に符を貼ったキョンシーを操り、キョンシー同士を戦わせるのも可能です。

キョンシーは何故清朝の官服を着てるのか?

皆さんはキョンシーと聞いてどんな服装を思い浮かべますか?映画『霊幻道士』ファンなら、清朝の官服を想像するかもしれませんね。
実はキョンシーに決まった服装はありません。
にもかかわらず清朝の官服で登場する事が多いのは、それが随分長い間、メジャーな死に装束だったからです。

清朝において伝統的な官服を着れるのは、八旗と呼ばれる満州人の皇族や科挙に合格した高位の役人に限られ、市井の漢人は着用が禁じられていました。しかし死に装束として用いるのは許されていた為、来世は高貴な身分に生まれてこれるように、遺族が願いを込めて着せたのです。
とはいえ時代性を反映した衣装には間違いないので、現代にキョンシーが存在するなら、私たちと同じ姿で甦るかもしれません。

scanned picture, Public domain, via Wikimedia Commons

西遊記にも登場する執念深い妖怪

ソーシャルゲームや映画、漫画やアニメで大人気のキョンシー。
中国の伝説にも数多く登場しますが、16世紀明の時代に発表された『西遊記』でも、玄奘三蔵一行の旅路を阻む敵として活躍しているのをご存知ですか?

天竺を目指す旅の途中、霊峰・白虎嶺にさしかかった三蔵一行は、キョンシーに三度襲われました。
最初の二回は替え玉を用意してまんまと逃亡したものの、三度目は孫悟空の如意棒に打たれ、キョンシーの親玉の本性を現します。
彼女の名前は白骨夫人(パイフークーレン)、あるいは白骨精(パイク―チン)。
深山から発する気に感化され、霊力を高めたキョンシーでした。
白骨夫人の目的は玄奘三蔵の肉を食らい不老長寿を得ること。
変化の術の他に解屍法を得意とし、絶体絶命の窮地に陥る都度憑依した器を捨て去り逃げ延びます。

白骨夫人は最初18のうら若き娘の姿で、次に80の老婆の姿で三蔵一行を足止めします。
どちらの場合も如意棒で殴り殺されますが、既に死体なのですから痛くも痒くもありません。
そんな白骨夫人もいよいよ悪運が尽きる時がやってきました。
三度目、性懲りなく老爺の姿で接近する白骨夫人。しかし孫悟空が土地神に監視を命じていた為、魂となり空へ逃げることができず、あっさり命を落とします。
あとに残された白骨の背骨に「白骨夫人」の印が記されていた為、三蔵一行は彼女の正体を知るのです。

まとめ

以上、キョンシーの意外な習性や歴史を紹介しました。この記事がキョンシーの魅力を広めるきっかけになれば幸いです。

出演:ラム・チェンイン, 出演:マン・ホイ, 出演:ラム・マンロン, 出演:ション・ティンオー, 出演:ワン・ティンチウ, 出演:キョン・ヒウマン, 出演:マニー・マン, 監督:カン・シンハイ
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※画像はイメージです。

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