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通ってはいけない道にある地蔵

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住んでいた団地のすぐそばに公園があり、幼稚園生でも一人で遊びにいけて、あとから母が迎えにくるような事はよくあった。友達たち、つまり幼稚園生もたくさん来ていて、公園はいつも子供でにぎわっていたのでした。

目次

公園に行く道

その公園と団地の間は小さな森があって、親からは
「その森を突っ切ってはいけないよ、必ず外を回っていきなさい」
と言われておりました。
これは私の家族だけではなく、団地に住むみんながいわれていたことのようです。
回ったところでそんなに遠くなる訳でも、交通量が多く危険な道を渡る訳でもないので、みんな素直に従っていたのです。

ある日、私の友達が、「森を突っ切ってみよう」といい始めました。
私は「ビビっている」と思われるのが嫌で内心恐怖を感じながら、ついていくことに・・・。

森の中

森の中は険しいという訳でもなく、人が通れるように小道になっていて、なぜダメなのかずっと疑問に思っていました。
その日は、初夏で森の中は涼しい風が通り抜け、蝶々が飛んでいたり草むらにはバッタもいて、怖いという気持ちは無くなって楽しい気分でいっぱいです。

ちょうど森の真ん中ぐらいに差し掛かると、1体の地蔵が立っていました。
見た瞬間に寒気が走るような不気味な地蔵でしたが、何を言っていたかは忘れてましたが、突然、友達が馬鹿にするようにその地蔵を蹴り始めるのです。

私は声を出せませんでしたが、友達に蹴るのを止めさせて、ひっぱるように急いで公園へ向かいました。
その日は何事もなく、帰りは親とともに回り道をして帰ったのです。

次の日も、友達は「森を突っ切る」と言い出し、また地蔵を蹴ります。
その後、公園で鬼ごっこをしていた時に転んで、地蔵を蹴っていた足をねん挫しました。
友達の中で、あれは地蔵の祟りとなり怖くなって、公園ヘは必ず回り道をして行ったのです。

けがは地蔵のせい

しばらくして、友人の怪我が回復し、一緒に遊べるようになると、また森を突っ切ろうと言い出しました。
けがをしたのは地蔵のせいだと噂していたことを、友達は知っていて、地蔵にやり返えすと言うのです。

私は止めたのですが、むしろ強引に突き合せれて、地蔵のところまで来ると、地蔵の頭のあたりを思いっきり蹴りました。
すると地蔵の頭がとれ、ゴロゴロと転がったのです。
さすがに当人も慌てて、私は怖くなり、逃げるように家へ戻りました。

数日後、その少年は亡くなりました。
公園の近くで、ダンプカーに頭を挟まれるという事故だったようです。
それから私はしばらく公園にもいかず、二度とその森を通ることはありません。

※画像はイメージです。

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