「ジョニーは戦場へ行った」はドルトン・トランボ氏が小説を1939年に発表し、1971年に映画化された作品です。
小説が発表された当時はその内容が反政府文学として指摘されて、戦争が激化した1945年には「反政府文学」として絶版、いわゆる発禁処分となってしまっていた作品。
戦後は復刊するものの、その後のアメリカによる戦争の度に絶版と復刊を繰り返し、ベトナム戦争の最中の1971年、トランボ氏自身に脚本・監督によって映画化しました。
その後の1947年、小説の強力な反戦メッセージに危機感をもっていたアメリカ合衆国連邦政府の赤狩りにあい、逮捕されて、禁固刑の実刑判決をうけてしまい、その結果トランボ氏は映画業界から事実上追放されてしまいます。
徴兵によって恋人と別れて、兵士とり第一次世界大戦へなった出征した主人公「ジョー」が戦場で視覚、聴覚、言語、嗅覚の五体、両手、両足を失い、首と頭をわずかにしか動かせない「かって人間であった肉体」のような状態になってしまいますが、生きながらえて周囲の人間に自分の意思を伝えようとします。
周囲の人間は彼をこんな状態でも生きているなんて奇跡だと研究対象としてしか見ていません。
はじめは僅かに動く首と頭を使って意識があることを伝えようと試みますが、意識はないと思われていますので「肉体的痙攣にすぎない」と判断され、ただ鎮痛剤を注射れるだけ。
ある日「ジョー」は自らの意思を伝える手段としてモールス信号による意思の疎通を試み、運よく軍の医師団の一人が気が付き、意識がないと思われていたので全ての人が驚愕。
そして、「ジョー」は今の自分でも公衆の面前に出して見世物にしてもらえればお金を稼ぐことができると考え、モールス信号で伝えますが、「それはできない」と伝えられると、ならばもう僕の命を絶ってくれと頼み続けます。
この映画では、まだジョーが元気だったころの映像をカラーで、現実のすべてを失ってしまった映像を白黒で描くことによって、ジョーの人生を表しています。
彼は何度か元気だったころの自分を夢に見ていて、その夢では彼は本当に幸せそうな彼の姿に涙をそそり、終盤で「腕があれば表現できるのに、足があればここから逃げれるのに」といったセリフがあり、これはすべてを失ったものの悲しみのようなやるせない気持ちを感じえません。
また、この作品はアメリカのメタルバンド「メタリカ」の楽曲のプロモーションビデオにも一部の映像が使われていることでも知られます。
(C)1971 ジョニーは戦場へ行った ALEXIA TRUST COMPANY LTD.
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