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陸上自衛隊の次期機関銃候補 FN MINIMI!ミニミってどんな機関銃?

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1984年にアメリカ陸軍がM249として正式採用した事を皮切りに世界的な近代の軽機関銃の代名詞的な存在となったのが、ベルギーのFNハースタル社が開発したミニミ(MINIMI)で初期型はMk.1と呼ばれているモデルだ。
英語表記では MINIMI Light Machine Gunとなるミニミだが、その名称の大元はフランス語のミニ・ミトラィユーズの短縮形であり、これは小型機関銃の意で日本語では軽機関銃と同義と見て良いだろう。

元々FNハースタル社は1950年代に第二次世界大戦時のドイツの汎用機関銃・MG42や、第一次世界大戦時からアメリカ軍が使用していたBAR(ブローニング・オートマチック・ライフル)をモチーフとしたMAG機関銃を製造していた。
このMAG機関銃はイギリス軍に1961年に正式採用されたものがL7汎用機関銃と呼ばれるが、使用する弾薬は当時のNATOの標準である7.62x51mm NATO弾であり、これを後に5.56x45mm弾NATO弾に改めたものがミニミとなった。

目次

アメリカ陸軍がミニミM249を選定した経緯

前述のようにアメリカ陸軍がFNハースタル社のミニミを採用したのは1984年だが、これについては1960年台のベトナム戦争において敵軍の北ベトナム軍のRPK軽機関銃の火力に苦戦した経験が影響したと言われている。

RPK軽機関銃は当時のソ連の主力小銃であったAKMをベースに製造された軽機関銃であり、部隊の最小単位である分隊単位で当時の北ベトナム軍にも配備されており、その機動性の高さにアメリカ軍は苦しめられた。
と言うのも当時のアメリカ軍は分隊単位にM60汎用機関銃を装備していたものの、その重量・大きさ共にRPK軽機関銃のような軽快な運用は困難であり、廃止していた軽機関銃を再度希望する契機となる。

そこで必要とされたのは当時のアメリカ軍の正式小銃となっていたM-16と使用弾薬を共有できる5.56x45mm弾NATO弾の軽機関銃であり、同軍はこれを分隊支援火器と呼びトライアルを実施、FNハースタル社のミニミを選定した。
かつてのBAR(ブローニング・オートマチック・ライフル)もアメリカ軍は分隊支援火器と呼んでおり、一時はM60汎用機関銃のみで代替されたそのカテゴリーを再び復活させたと言ってよいだろう。

ミニミ軽機関銃の機構

ミニミ軽機関銃の撃発機構はべ―スとなったMAG機関銃や、アメリカ軍が正式化していたM60汎用機関銃等と同様のオープンボルト式で、ロータリーボルトを採用したガス圧作動方式が採用されている。
ミニミ軽機関銃はその火力を引き出すためには、200発の容量を持つベルトリンク式プラスチック製ボックスが最適のように思えるが、現場の兵士の多数は100発の布製パックを好むとされ単純な装弾数に左右されないようだ。

一説にはこれは200発のプラスチック製ボックスがその重量故か脱落するトラブルや、そこから音を発すると言う事象もあり、実際の戦場ではそうした恐れのない100発の布製パックが評価を受けていると考えられる。

軽機関銃として連続射撃を行う前提のミニミは、銃身の交換を容易に行えるようキャリング・ハンドルと兼用の交換用の大型のレバーを備えており、ガスシステム毎スムーズな取り換えが出来るよう設計されている。

ミニミ軽機関銃の採用国とヴァリエーション

最もミニミ軽機関銃の普及に貢献したであろうアメリカ軍はM249として同銃を正式採用したが、空挺部隊向けに銃身長を標準の465mmから348㎜まで切り詰め取り回しを容易にしたパラトルパーモデルの調達も行っている。
またアメリカ軍では特殊作戦軍向けにミニミの特徴であるキャリング・ハンドル等を省き、軽量化に重点を置いたSPWやその進化版にあたるMk46、そして更にその使用弾を7.62x51mm NATO弾に改めたMk48も配備している。

オーストラリア陸軍ではミニミを自国でライセンス生産したものをF89として正式採用しており、各種のアクセサリーに対応するピカニティ・レールと1.5倍の光学スコープを標準装備とするなどして分隊に各2丁を割り当てている。
またカナダ軍も同様にライセンス生産品をC9として採用しており、こちらもピカニティ・レールとスコープを備えたC9A1、折り畳みストックと短銃身のC9A2と使用用途に応じた各種のヴァリエーションが存在している。

この他にもイタリア・オランダ・ギリシャ・スイス等のヨーロッパ諸国や、アラブ首長国連邦、エジプト、インドネシア、フィリピン、台湾、更に南米のブラジルやペルーなど正に全世界でミニミは採用を勝ち得ていると言える。

日本でのミニミ軽機関銃のバッド・ニュース

世界的にも高い評価を得て多数の採用実績を誇るミニミ軽機関銃だが日本でもその実力は認められており、「5.56mm機関銃MINIMI」として住友重機械工業がライセンス生産を行って陸海空3自衛隊全てに納入されている。
しかし2013年12月、この住友重機械工業が銃身強度の数値データを改竄し要求水準を満たさない銃器類を自衛隊に納入していた事が発覚、その中の一つに「5.56mm機関銃MINIMI」も含まれており大きな問題となった。

この不祥事の発覚により住友重機械工業は銃火器のライセンス生産から手を引く事になったが、未調達の「5.56mm機関銃MINIMI」は800丁に上り、現在はミニミの最新型Mk3とドイツのH&K社のMG4とが代替輸入の候補とされている。

幸いなことに特に海外派兵等にも憲法上の制約もあり銃火器使用の可能性は限りなく低いと思しき自衛隊とは言え、こうした不祥事の発覚には他の防衛装備品にも同様の事態が起きていないかと一抹の不安を感じすにはいられない。

住友重機械工業製の「5.56mm機関銃MINIMI」に変えて採用が有力視されるMk3

強度偽装が発覚した住友重機械工業製の「5.56mm機関銃MINIMI」の未調達分の800丁は、ミニミの最新型Mk3とドイツのH&K社のMG4が直輸入と言形で代替されると思われるが、採用が有力視されているのはやはり前者のようだ。

ミニミMk3は最新型とは言うものの製造自体は2013年から行われており、同銃の使用弾は日本が採用するであろう5.56x45mm弾NATO弾からコンバージョン・キットで7.62x51mm NATO弾にも容易に変更が可能となっている。
同様の対応は従来の既存の既存のミニミ軽機関銃にも改修を施す事で可能となっており、近年の世界的な潮流では1発単位の威力が大きな7.62x51mm NATO弾を同銃に求める動きが加速している状況にある。

ミニミ軽機関銃に感じる今後

アメリカ軍のM249としての正式採用が世界的にミニミ機関銃の普及を後押しした感は大きいが、ベトナム戦争中にM-16でいち早く5.56x45mm弾NATO弾を標準弾とした同軍も7.62x51mm NATO弾の再評価をしている点は興味深い。
それまで歩兵の主力小銃は交戦時の短距離化と連射化が進んでいたものが、アメリカを始めとして中東地域に軍を派遣した多くの国の軍で、遮蔽物が少なく交戦距離が比較的長距離化した戦場では5.56x45mm弾NATO弾の威力不足が顕在化したのだろう。

実際に武力行使する事のない自衛隊ではこの先祖帰り的なトレンドをまだ実感していないようだが、ミニミ機関銃は改修でも7.62x51mm NATO弾仕様に改める事が可能なので、ゆくゆくはその対応になるのではないかと思える。

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featured image:PEOSoldier, Public domain, via Wikimedia Commons
※画像はイメージです。

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