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司法と超常現象の関りに対する考察

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別件で『実際にあった奇天烈な訴訟』を調べる機会があった。それはそれで中々に興味深かったのだが、そこでふと「心霊現象や超常現象が登場した裁判はあるのか」が気になった。
「そもそもそんな裁判はあったのか」「あったとして裁けるのか、その現象の存在を認められるのか」「説明や存在証明が難しいこれらの現象を司法がどう扱ったのか」…湧いた好奇心のまま紙面に書き散らす。

目次

司法と超常現象

かつてより、その当時の知識や常識では説明がつけられなかった現象を人々は超常現象と呼んできた。
中には科学や技術の進歩によってその仕組みが解明されたものも多くあるが、こういった超常現象と呼ばれる事象は現代でも度々その存在が確認されている。超常現象が超常現象であるには『未解明であること』が前提にあるといえる。

一方司法は事象の有無…「裁かれるべき行為が実際に行われたか」の証明から始まり、それらが証明されたなら今度は「行為によって生じた罪の重さ」を量っていく。超常現象とは違い、司法には事象や罪の所在を白黒ハッキリとさせる秤(はかり)のようなものが見える。そんな司法の場に『曖昧であることが前提』という真逆の性質ともいえる超常現象が登場した時、そこでは何が起きるのだろうか。

神の力を借りた裁判

『超常現象が絡んだ事案を司法が裁く』という、取り上げる予定の条件からやや外れるので今紙では補足に留めるが、超常的な力が登場した裁判という括りでは『神明裁判』も含まれるだろう。
大まかに説明すると「被告人が有罪か否か神に問うて決めてもらおう」という趣旨の裁判である。

「被告人を火にくべて生きていたら(神が許したとして)無罪、燃えたら有罪」など、現代では考えられないトンデモ基準で執り行われた裁判で、ヨーロッパのみならず日本でも行われた記録が残っているので興味が湧いたなら調べてみてほしいのだ。
この神明裁判の歴史を追うだけでも、「超常的な力や存在を汲んだ裁判は実は結構昔から記録があった」ということがわかる。

超常現象への裁きとは

前章では司法と超常的な力の関りを広域で捉えたので、次は『事件の中で生じた超常的な力への裁き』という視点で見ていく。
かの黒歴史として悪名高い『魔女裁判』などは知名度もあり思い浮かびやすいかもしれない。被告人が黒魔術を使い疫病をばら撒いたり農作物を不作に陥れ民衆を苦しめる魔女であるか否かを問うた裁判であるが、当時横行した「被告人が自身が魔女でない事を証明できなければ処刑」という理不尽さ極まる裁決法はどちらかといえば神明裁判に通じるものがある。

現代における裁判を見ると、超常現象と司法の関りのビジョンが比較的にだがわかりやすい事例もある。1976年に起きた通称『アンネリーゼ・ミシェル事件』。
ざっくりと説明すると、癇癪を患ったアンネリーゼに両親と神父2名が「悪魔が取り憑いている」として悪魔祓いの儀式を実施、弱った体のまま断食など過酷な行程もある儀式をこなしたアンネリーゼがそのまま衰弱死した事件だ。
神父たちの所属しているカトリック教会が数世紀前の手法の悪魔祓いを許可した点からしてもこの事件と裁判には異例が数多く存在していて、深堀するのも吝かではない興味深い内容なのだが今回は割愛する。

起訴された両親と神父2名の罪量を決めるべく「アンネリーゼに施された悪魔祓いの儀式は正当性のあるものだったか」、ひいては「アンネリーゼは本当に悪魔に取り憑かれていたのか」が問われ、この点は神父たちの証言の他に悪魔祓いの儀式の録音音源も公開・提出された。
最も重視されたのは「アンネリーゼの衰弱死は阻止できるものであったか」で、結果は「死の1週間前には阻止できたが被告人たちはそれを怠った」として過失致死傷罪で有罪となった。

現代の超常現象と司法の折り合い

アンネリーゼ・ミシェル事件では、悪魔の存在や悪魔祓いの儀式の正当性は最低限明言されず、『宗教的集団ヒステリーの末に救命活動を怠った傷害と虐待』と位置づけられた。日本でもたとえ被害者の顔写真を貼り付けた藁人形に五寸釘を打ち付け呪いの儀式を行い、その数日後に被害者がノイローゼになったとしても。釘を打った人間が問われるのは脅迫あるいは傷害の罪だ。

悪魔の存在も呪いの効果も、司法で裁くとしてもその国や国民に根付いた宗教観の影響を受ける。存在や効果を信じる心は即ち信仰心とも密接な関わりがある。ともすれば、国が保証している信仰の自由を保ちながら、かつ司法がその秤を壊さず人1人の罪を裁く絶妙な落としどころが上記の判決だったのだと言えるだろう。

ここで挙げた『超常現象が関わったとされる事件』、アンネリーゼの事件の他にも国内外問わず中々興味深い事例が多く存在する。そしてどの事件にも司法側のいわゆる『超常的存在への落としどころに対する葛藤』が滲んでいるので、気になったならぜひ調べてみてほしい。

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※画像はイメージです。

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