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小学校時代の怪談もどき

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あれは私がまだ小学生だった頃のこと、クラス内でまことしやかにとある怪談が流行っていたんですね。
内容は他愛もないもので・・・学校の地下には墓場があって、その祟りがあるというものでした。

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もう時効だと思って聞いてください

私が通っていた小学校は母や祖父、それどころか殆どの親族が通っていた小学校であります。
もしかすると、曾祖父母も通っていたかも・・・在学中に創立90周年祭なんて催しもあり、今現在も存続する古い歴史のある小学校。

古い学校といえば付きものの、怪しいいわく。母の話によると学校の敷地は、元々墓地だったそうです。
講堂の床が壊れて、下を覗いて見たら卒塔婆が転がっていたという話もあります。

そのため、校舎の床下からうめき声が聞こえるとか、手首が見えたとか、墓石のかけらが落ちていたとか。
どこまで本当なのか?よく判らない噂が独り歩きしていたのも確かなのです。

でっちあげた怪談

そんな中、ふと悪戯心を起こした私、ちょっとした怪談をでっちあげてみたんですね。

元ネタは母から聞いた「赤でんち」という話。
昔、用務員さんがでんち(ちゃんちゃんこのこと)を着て校舎内の見回りをしていたところ、階段から足を踏み外して転げ落ちてしまい、打ち所が悪くて死んでしまった。それ以来、血に染まった赤でんちを着た用務員さんが廊下を這いずり回るのを、何人もの児童が目撃したのだ。

これだけだとインパクトに欠けると、もうちょっと大袈裟な味付けをして、面白おかしく恐ろしげに友人に話したところ・・・・。
その友人が他の友人に、その友人がまた他の友人へと、意図せず、次々野火の如く広がって行ってしまったのです。

自画自賛してしまいますが、さすが30年にも渡って同人誌で小説を書き散らしていただけのことはあって、デタラメ話を作り上げるのは、この頃から得意だったようです、私。

尾ひれの付いた怪談

尾ひれの付いた怪談は、用務員さんが講堂の脇に生えている木を切ったので祟りに遭って死んでしまったのだとか、校舎の床下に「私は木を切ってしまったために死にました」と書かれた紙に包まれた死体が収められているだとか、赤でんちが黄や青色に変えられたり・・・・、かなりのバリエーションになってしまった。

自分で言い出しておきながら、なんつー想像力豊かなんだ、小学生は!と心の中で感嘆していたのは内緒です。

そして、その怪談はクラスを越えて学年中に広がり、やがては校内全体へと。と言っても、ド田舎の小学校ですので、ひと学年2クラスしかないという小規模校。

結局のところ、学校へ行きたくないという児童や、怪談をネタにいじめをする児童が出てきたため、教師が怪談の撲滅へと乗り出して来まして、この騒ぎは収束をみました。といっても、そんな大騒ぎというほどでもなかったんですが。

他の学校の怪談も最初は創作だったのかもしれませんね。

あの校舎だったから

しかし、あの古びた校舎や講堂は、今思い出しても何か出そうな雰囲気でしたね。単純に、ボロいというのもありますが、昔は墓場だったというのは確かなので、何とも独特の空気がありました。
児童が下校した後の無人の校舎内、特に廊下は床板がぼろぼろだったせいもあって、隙間から何かが覗いているような気すら感じます。

現在、その校舎は老朽化のため取り壊され、創立当初からあるという木造の職員室も玄関も取っ払われ、新しい鉄筋コンクリートの校舎が建てられております。さすがに怪しい雰囲気はなくなりましたが、不意に思い出すと、やっぱり不気味だったよなと思います。

どういうめぐり合わせか?約40年ぶりにこの小学校で仕事をする事になりました。
初日は、全くと言っていいほど面影のなくなったかつての母校を仰ぎ見て淋しさを感じましたが、理科室に40年前にも置いてあったフナとハマグリとトカゲを解剖したホルマリン漬けがそのまま置かれていて、何だかちょっと感動しました。

※画像はイメージです。

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