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妖怪 かまいたちについて

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「かまいたち」というと、日本の最も有名な妖怪の一つだと思います。
日本人なら聞いたことがない人など、いないのではないでしょうか。
「かまいたち」は、漢字では「鎌鼬」と書きます。鎌は、刃物の鎌ですね。鼬は動物のイタチでしょう。
 
かまいたちという妖怪は、風にのって現れます。ひゅうっと通り過ぎざま、人の皮膚を切り裂いて行くとされます。
かまいたちに斬られると、まるで刃物に斬られたかのような傷ができるのですが、不思議なことに血が出ないと言われています。

なんとも不気味な妖怪ですが、一体、かまいたちは何なのでしょうか。
わたしも、「かまいたち」の名は知っていますが、具体的にどんな姿をしているのか、どんな伝承を持つのかなどは、まったく知りませんでした。
調べてみましたので、ぜひお読みください。

目次

かまいたちとは?

「かまいたち」の語源です。
この呼び名は、「かまえたち」から来ているという説があります。「構え太刀」ですね。これが訛って「かまいたち」になっのではないかと言われているのです。
 
「かまいたち」と聞くと、どうしても動物のイタチを思ってしまうのですが、どうやら、イタチは関係なかったようです。
しかし、「イタチ」の文字が入っていることから、江戸時代中期以降に描かれた「画図百鬼夜行」という絵では、鎌のように鋭い爪を持つ妖怪のイタチが「かまいたち」として描かれています。
 
この「かまいたち」ですが、どうやら三体いるようです。
人を倒すもの、斬るもの、斬ったところに薬をつけて出血しないようにするものの三つで構成されているそうです。
凄いチームプレイを想像してしまいます。

竜斎閑人正澄 (Japanese), Public domain, via Wikimedia Commons

各地の民間伝承

有名なかまいたちですが、日本の各地で民間伝承があり、それぞれ違うかまいたちが語られています。
冷たい風に乗って現れる妖怪だからでしょうか、雪深い地方に言い伝えが残っていることが多いようです。
語られる伝承は様々ですが、「風に斬られて血がでない」という現象自体は、どの言い伝えでも同じものを語っています。
かまいたちの正体についても、色々な言い伝えがあり、中には、ぴゅうとふきすさぶ風そのものをかまいたちと呼ぶ地方もあるようです。
風ではなく、ただ転んだだけであっても、その傷が鎌に斬られたようなものだった場合、かまいたちの仕業とする地方もあります。
 
風に乗って現れることから、目に見えない妖怪なので、いまいちイメージが定まらないのでしょうか。
具体的にどのような伝承があるのか、代表的なものをまとめてみます。

信越地方

信越地方の伝承では、かまいたちは悪神の仕業とされています。この伝承では、暦を足で踏むと、罰としてかまいたちに遭遇するとされています。
かまいたちを神の所業と考える伝承は、飛騨にもあります。
神様と考えると、なんだか印象が変わりますね。

愛知県東部

かまいたちを神ではなく、「いづな」とする伝承もあります。「いづな」とは、人に憑りつく狐の霊のようなものです。
愛知県東部の言い伝えでは、いづなの封じ方をきちんと教わらなかったいづな使いから逃げ出したいづなが、かまいたち化したとされています。
この場合、人の生き血を吸うために風に乗って斬りつけてくることになっています。斬られた傷から血が出ないのは、吸い取られたせいなのでしょう。

かまいたち的な現象を、「野鎌」と呼んでいるのは高知県です。かまいたちで傷を作ることを「野鎌に切られる」と言っています。
野鎌とは、葬儀で墓場で使われた草刈りの鎌が変化した妖怪です。
なんとも、不気味な感じがします。

西国

西国では、かまいたちを風鎌と呼んでいます。風鎌を防ぐためには、古い暦を懐に入れるのが効果的とされています。
どうも、かまいたちと暦は、関連があるのかもしれません。

古い文献

では、古い文献では、かまいたちはどのように語られているのでしょう。
江戸時代の文献「古今百物語評判」というものには、都人や侍は、かまいたちには遭わないと書かれているそうです。
 
「耳袋」という書物には、江戸の加賀屋敷の跡地で、子供がつむじ風に巻かれた話が載っています。つむじ風に巻かれた子供の背中には、イタチの足跡が残っていたそうです。

上記以外にもかまいたちを語る文献、奇談集は残っています。
かまいたちは昔から日本人に親しまれ、また、恐れられてきた存在なのでしょう。

かまいたちの見解

様々な伝承がかまいたちを語っていますが、かまいたちは現実に起きている現象です。
そうなれば、科学的根拠があるように思われます。
 
日本人は、この不思議なかまいたち現象に、なんとか説明をつけようとしてきました。

例えば明治時代では、かまいたちは、つむじ風の中心に出来る真空や低気圧のせいで起きるという説ができました。
しかし、これはあまり科学的ではないと考える人もいて、「強い風で巻き上げられた砂や木や竹の破片などが衝突するせいで、皮膚が切られるのだ」と言う説もできました。

皮膚表面の気化熱による現象とする説があり、これはまだ納得できます。
気化熱で急激に冷やされた皮膚が裂け、これがかまいたちの正体とする説です。いわゆる「あかぎれ」ですね。
寒い場所でかまいたちの伝承が多いのは、気化熱による現象である根拠にもなりそうです。

風で巻き上げられた小石など、鋭いものによって皮膚が切り割かれたのではないかという説もあり、これも有力です。
しかし、小石などで切られた皮膚ならば、かまいたち現象による傷のように、すぐには治らないはずなので、これも確かな説ではありません。
 
かまいたちの傷の治癒が早いことを考えると、皮膚表面の気化熱による「あかぎれ」とかまいたちと同一視するのも無理があるように思われます。
「あかぎれ」は、そんなに早くは治りませんから。

色々とかまいたちの正体について、考えられてきました。
しかし、どうやら未だ、かまいたち現象の原因は定かになっていないようです。

Utagawa Toyohiro, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

作品の中のかまいたち

なんとも説明のつかない現象を起こし、正体不明。いつ遭遇するか分からない。
奇妙で怖い感じのするかまいたちですが、文学や怪談、ゲームなど、色々な作品に登場していますね。

かまいたちと聞いて、わたしが思い浮かべたのは、やっぱり「かまいたちの夜」でした。
「かまいたちの夜」は、ホラーゲームです。
閉ざされた建物の中で次々と殺人が起きるのですが、やみつきになるような怖さでした。
ミステリ要素もふんだんで、それもお気に入りです。

他にも、様々なメディアでかまいたちは登場します。
意識して、かまいたちが登場する作品を探してみるのも面白いかもしれません。

かまいたちに狙われる理由

謎めいて不気味な「かまいたち」の現象。
ぱっくりと傷ができるのに血が出ない、というのは、なんとも不思議なものです。そこに何らかの見えない力が働いていると思いたくなります。

わたしは未だ、かまいたちに遭ったことはありません。
深く切っても血がでない、という現象は、しかし、経験があります。
紙で指を切った時に、そんなことがありました。あの感触は、切れたのが分かりつつ、血もでないので、気持ちが悪いものがあります。

子供の頃、友達が「かまいたちにあった」と騒いでいたことがありました。
傷を見せてもらったら、本当にぱっくりと足が傷ついているのに、血が出ないのです。
「いたい」と聞いても「いたくない」という答えが返ってきました。本当に奇妙なことでした。

未だ科学的に説明がつかない「かまいたち」ですが、もし、見えない「何か」による現象であるならば、そこには何らかの意図があるはずです。
かまいたちに切られるのは、どういう人なのでしょう。

昔の伝承では、暦を踏みつけたらかまいたちに切られる、という説があります。
また、かまいたちを避けるために古い暦を持て、という話もありました。

暦とかまいたちの間に、何らかの関係があるのだとしたら。
 
もしかしたら、日々、だらだらとし、時間をおろそかにした生活をしていたら、かまいたちに祟られるのでしょうか。
かまいたちはいつも、どこかから、人間を見張っているのかもしれません。
そして、「暦」すなわち「月日」を無下にする者をみつけては、斬りつけてゆく。

斬られた傷から血がでないのは、かまいたちが狙った相手の命そのものを削っており、生命の源である血を吸い取られているからなのかもしれません。

そんなことを、想像してしまいました。

featured image:竜斎閑人正澄 (Japanese), Public domain, via Wikimedia Commons

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