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忘れた頃にやってくる

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それは20年ほど前、夏の出来事。
お盆も終わろうという時期の部活動帰りに起こった、何かは解らないけど残酷でゾッとする話です。

目次

あの夏の出来事

田舎に暮らしていた私は、自転車を使って学校へ登下校していました。
部活動帰りの夕方、家のそばの小さな踏切に人だかりが出来ていて、たくさんの人達が「おーい、ここだー」と叫んでいます。
「なんだろう?」と思った次の瞬間、後ろから猛スピードで救急車がやってきて、人だかりの中心にいる白いタオルケットを抱き抱えて、発狂したように取り乱している女性を乗せて走り去っていったのでした。

たまたま居合わせ知人に事情を聞くと・・・、幼い子どもを連れて帰省していた女性が、目を離した隙に子どもが電車にはねらてしまい、亡くなったと聞かされたのです。
よりによってこんなところで・・・なんだか後味が悪い感じをしばらく引きずっていました。

それから1年

それから一年が経ち、あの時と同じ、お盆の時期で部活帰りの夕方。
家のそばの小さな踏切に、白いタオルケットを抱えた女性が立っているのが見え、その瞬間、すっかり忘れていた事故の事を思い出し、直感であの女性だと解ったのです。

半分金縛りのような状態になり、睨むように見つめている女性から、目を離せなくなってしまいました。
何故か自転車の漕ぐ足を止めることができずに、体が勝手にどんどん女性の方へ近づいていきます。
こんな日に限って車も一台も通らず人も誰もいません。無音のまま時が止まっているかのような感覚でした。

女性は無表情で、青白い顔からは生気を感じません。
冷や汗が溢れて心臓が高鳴り絶望感を感じながら、横を通過した瞬間、女性はいなくなりました。
後ろを振り返ると誰もいませんでした。

なぜだろう?

毎年この時期になると、彼女の事を思い出します。
しかし翌年、高校を卒業して遠くの大学に進学しました。

幼い子供の幽霊なら解りますが彼女の存在は?
生霊?それとも、自殺をしてしまったのでしょうか?
そして私は何もしていない関係の無い私になにを伝えたかったのか?

気になりますが、もう自転車で夕方に帰宅する事はないでしょう。
それよりもあんな怖い思いをするのは絶対イヤです。

※画像はイメージです。

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