大学生の頃、家の近くのカラオケ店で夜勤のアルバイトをしていました。
給料は高くないのですが忙しくもなく、同僚とだらだら話しながら働ける最高の職場だったのです。
ところがこの店、近所では“出る”ことで有名でした。
常連さんはどこがハズレ部屋か知っていて、空いていても入ってくれなくて困る事が多々ありました。
実際、夜勤のメンバーは幽霊にいたずらされたり、誰もいない部屋の呼び出しベルが鳴ったりと、不思議な出来事にしょっちゅう振り回されていました。
ある日の事
ある日、人手不足で急遽夕方のシフトに入ることになりました。
いつもより混雑していて、仕事はひっきりなし。
ようやく休憩室でカップ麺をすすっていると、マネージャーが入ってきました。
この人、筋肉ゴリゴリスキンヘッドで、いつ見ても何か違う仕事をしていらっしゃる人に見えます。
「おー今日はありがとうな、大丈夫そうか?厳しくなったらいつでも言え。」
気を使ってくれるのですが、彼は私が夜勤担当なのを知っていて、なにか言いたげです。
「この建物、おばけ出るよな。」
ぽつりと話しかけられ、彼の一言に私は頷きます。
すると、「なぜ出るようになったか、理由を教えてあげるよ」と言い出し、カップ麺があるから逃げられない私を捕まえ話し始めました。
なぜお化けが出るのか?
マネージャーがまだ若く、店舗スタッフだった時の話で、雑居ビルを買い取り改装してオープンしたそうです。
最新機器も揃え、そこそこ繁盛していたのですが、ある時期から客足が減り、とうとう閑古鳥が鳴くほどとなりました。しかもスタッフまで辞めていくので時給をアップするからと引き止めたのですが、全員がお金の問題では無いと言うのです。
そうしたなか、一人が幽霊が出るから気持ち悪くて皆、辞める、お客さんの間でも有名になっていると話してくれました。
超現実主義のオーナーはそれを笑い飛ばし、設備不良を疑って業者に全フロアの点検を命じました。
数日後、業者が屋根裏に上がったところ、誰も知らない神棚が見つかりました。
お祓いを勧める声を無視して、オーナーは「そんなもの不気味だ」と言い、神棚を処分してしまったのです。
業者もマネージャーもお祓いを勧めたのですが全く話を効かず、屋根裏から持ってきた神棚をそのまま廃棄してしまったのでした。
するとどうでしょう、次の日から以前より幽霊が出たという話が少なくなったのです。
それに発送を逆転して「幽霊が本当に出るカラオケ店」と広告を流すと、物好きな客がやってくるようになり、客足が回復しだしたのでした。
「ゴキブリより扱いやすいじゃないか。少し出るくらいがちょうどいい」
このオーナー一言が印象的だったとおおます。
この話を聞きながら食べたカップ麺は、妙に塩辛くて不味かったのを覚えています。
卒業してから
大学を卒業するまでその店で働きましたが、結局、なぜ屋根裏に神棚があったのかはわかりません。
誰がなんのために、屋根裏に神棚を置いたのでしょう?
気になるのですがどうする事もできません。
それ以来、一度もそのお店には行っていません。
だって、歌っていると足を掴まれるんです。いつも。
※画像はイメージです。


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