知る人ぞ知る人気の奇祭!海外からの観光客も増加中?
山形県上山市で行われる奇祭、カセ鳥について紹介します。
カセ鳥とは?
江戸時代初期から山形県上山地区のみに伝わる旧暦小正月2月11日に行われる祭事です。
カセ鳥は漢字表記では加勢鳥になりますが、語源は「火勢鳥」もしくは「稼ぎ鳥」とされており、火伏や商売繁盛、五穀豊穣を祈願した祭りだと考えられています。
詳しい歴史についてはカセ鳥保存会をご覧ください。
外国の観光客に人気があるということで、地方のお祭りながらHPには英語での記載もされています。
私はおもうのですが「カセ鳥」と「なまはげ」は元は同じであったのではないか?と思います。
どちらも来訪神※1(神の使い)であり、「カセ鳥」は1896年(明治29年)に途絶えており、1959年(昭和34年)に再現された歴史があります、その間でも「なまはげ」は途切れることなく伝承されており、その間に文化面や来訪神として、理解しやすい「鬼」というイメージが定着し現代の姿になったとすれば、「カセ鳥」は原形に近いのではないでしょうか?
また「カセ鳥」と「なまはげ」両方のルーツとして、ヨーロッパ(主にドイツ)のクランプス、元々ケルト人の伝統行事のハロウィンとの類似性もみられ、伝承ルートは不明ですが、なんらからの影響があるのでは?と思います。
奇祭と言われるのはなぜか
「ケンダイ」と呼ばれる藁でできたミノをかぶった怪しい集団が町中を練り歩きます。
このゲンダイは職人によって作られます。
まるで小さな藁小屋から手足が生えているようなコミカルな見た目の集団、彼らこそが神の使いである「カセ鳥」なのです。
どんな祭りなのか
朝10:00。上山城にカセ鳥達が集合します。カセ鳥達は藁の下はさらし1枚、半ダコ1枚に足袋と草履の軽装です。
周囲の観光客はゴリゴリに厚着をしています。真冬の東北、山間部ですから気温は氷点下になることもあります。
寒さに震えながらカセ鳥達は上山城の前に立ち並び、市長挨拶やカセ鳥代表による冗談交じりの「カセ鳥宣誓」が行われ祭事がスタートします。
進行役に促されてカセ鳥達が動き出し、進行役に促されてたき火の前で輪を作ります。(ゲンダイを被ると視界が遮られ歩きづらいため)
カセ鳥が人間界に降りてきた神であるから人間のルールをつかめていない風な異世界観を高めていて非常に見ていて面白いです。
お祭りですが誰一人として伝統!ルール!規範!といった厳しいことを強要していません。非常にオープンです。
輪が完成すると進行役が「カセ鳥様のおでましだぞー!」と支配者階級らしい宣言をします。
和太鼓がどこどこと打ち鳴らされ、カセ鳥達が歌いながら踊りだします。
「ソーレッ」カッカッカーのカッカッカー、
カッカッカーのカッカッカー。「ソーレッ」もーち(望)のとーし(年)のいーわい(祝い)は、
カセ鳥、カセ鳥、お祝いだ。カッカッカーのカッカッカー、
カッカッカーのカッカッカー。「ソーレッ」ごーこくほうじょう(五穀豊穣)、火の用心、
ごーこくほうじょう(五穀豊穣)、火の用心。引用 カセ鳥保存会HPより
人々は寒い中裸で踊るカセ鳥達にさらに追い打ちをかけるように冷水をかけていきます。
バケツから柄杓でというのが一般的ですが、めんどくさくなるとバケツから直でかけていきます。
こうすることで火難厄除・五穀豊穣・水商売の繁栄などのご利益を得ることができると考えられています。
また、新しい手拭いをカセ鳥の頭に結びつけると商売繁盛、女児はこのケンダイの藁を髪に結ぶときれいな黒髪になるといわれています。
みどころ
コミカルな奇祭に興味がある方は是非一度足を運んでみることをお勧めします。
人数制限はあるようですが男女問わず気軽にカセ鳥志願もできるようです。おそらく見るよりも出るほうが楽しめます。
ただし、天候によっては見るだけでも非常に過酷な吹雪に襲われる事もありますのでそれなりの覚悟が必要です。
また、上山城周辺には温泉スポットが多くあり、人々もとても親切でした。
上山城で売られるカセ鳥グッズや、カセ鳥にちなんだ出店、また町中にあふれるカセ鳥の意匠など非常に楽しめる街です。
ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
山形県・かみのやま温泉の情報はこちらから。
※1 年に一度などの決まった時期に人間世界に来訪する神様
https://www.youtube.com/watch?v=1aM-O6CxitQ
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