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肝試しに行っただけ・・・だったのに

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私が中学生の頃、私たちの間で「学校の怪談」がブームになり、ある日、友達と数人で夜中の学校に肝試しに行こうという話になったのです。
深夜0時ごろ、それぞれ家を抜け出し学校に向かったのです・・・・楽しい思い出になるはずだったのですが・・・・。

目次

学校に行こう!

当時通っていた学校は人気の少ない山の方にあって古い木造の校舎、これだけでいかにも何かでそうといった雰囲気。
「何かでちゃうんじゃないの?」とふざけあいながら学校に向かって行きました・・・が、まぁ当然、用務員の方か宿直の先生が警備している訳で校舎に入れるわけもないのです。
仕方なしに校門の前で雑談していると、1人が「窓の向こうに多分、警備している誰かを見た」と言ったため急いでその場を離れたのです。

帰宅途中、トボトボとあるきながら、結局何もせず夜に雑談して散歩しただけじゃん・・・のような微妙な空気が漂ったときでした。急に真後ろから「チャリン、チャリン」と自転車のベルの音がしたので、慌てて道をあけると自転車がいない?
それどころか、辺りには私と友達以外には人の気配すらなく、「幽霊が出た!」と怖くなって逃げ帰るように帰宅したのでした。

夜の夢

その夜、不思議な夢をみました。内容は肝試し、夢の中では校舎の中に入って、2階に上がろうと階段に近づくと人間のような人影が首を180度まわしながらこっちに向かってきます。悲鳴をあげて友達と逃げたのですが、振り向くと私だけになっていて、人影に追いつかれるところで目が覚めました。

気がつくと寝てからそれほど時間がたっていなく、再度眠りにつく度に同じ夢が繰り返す。恐ろしくなり、今日はもう朝まで起きていようと思ったのですが、何故か異様に眠くなり寝てしまいました。すると今度は追いつかれる所から夢は始まり、人影が耳元で「これからが面白いぞ」とささやかれると、ハッと目がさめ朝になっていました。

その日の朝

翌朝、登校すると一緒にいったA君がお休みのようで、「昨日の事もあるし、きっとあいつ寝坊しているんだとろう」と皆でヒソヒソと話していると・・・。先生がやってきて「昨晩、A君がなくなりました」と項垂れながら皆に伝えた後に、「A君は学校から帰宅後、忘れ物をしたとお母さんに告げて、自転車で学校に向かった途中に国道で車にはねられ・・・」と起こった事故の説明をはじめたのです。

A君は最後まで一緒にいたし、私の家のすぐそばに住んでいて彼の家は帰り道の途中で、別れ際に彼が家の中に入っていくのも見ているはずなのにどうして?
昨晩一緒にいったメンバーの顔を見渡すと、皆が腑に落ちないような表情をしています。

その日の放課後、A君のお葬式にクラスの皆で参加しました。火葬する前に最後のお別れで、遺体に花を添える事になったのです。
お棺の顔の部分の小窓を開いてそこから花を入れるのですが、なんとなく不自然さを感じて、葬儀を取り仕切っている大人の方にどうしてなのか聞いてみると、事故の影響で首から下がねじ切れたようなひどい状態なので見せることが出来ない為だとか。

かなりショックを受けてあっけにとられていると花を添える順番が回ってきました。花を手渡されお棺に向かうと実感が湧いてきて涙がボロボロとこぼれてきましたのですが、花を添えようと小さな窓からA君の顔を覗くと、表情は少し笑っていて、夢でみた人影のような印象があるように思え、悲しいよりも怖いという感情が上回り、この場から離れたい気持ちでいっぱいになったのです。

後で知ったのですが、肝試しにいったメンバーは全員同じ夢をみて、A君の最後の姿に同じ事を感じていたそうです。

※画像はイメージです。

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