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じんわりおもしろいミリタリードラマ『野戦の一服』

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突然だが、皆さんタバコはお好きだろうか?好きな人、苦手な人、健康のためにやめた人……。
色々いるだろうが、モノの是非はともかく生活に馴染んだ存在、それがタバコ。そんな身近な存在ゆえに、タバコからドラマが生まれるのは戦場でも同じ。
むしろ極限状態に置かれる戦場であればこそ、一瞬でも安らぎを得られる「タバコ」の存在は大きいだろう。

今回ご紹介する漫画『野戦の一服』(著: 清澄炯一)は、まさにそんな戦場の悲喜こもごもを「タバコ」を通じて描いた短編集。シブく、熱く、そしてどこか切ない。今回はそんな作品の魅力に迫ってみたい。

目次

一服に込められた兵士たちの想いとは

今回ご紹介する漫画『野戦の一服』は、タイトル通り戦場とタバコがテーマの短編集だ。作者は『めしあげ!! ~明治陸軍糧食物語~』でも有名な、清澄炯一氏。また、『めしあげ!』同様、軍事法規研究会が考証に関わっている。

舞台も『めしあげ!』と同じ日露戦争なので、『めしあげ!』の外伝として見ることも可能かもしれない。だが、戦場の食事がキーだった『めしあげ!』に対して、本作『野戦の一服』のキーアイテムは「タバコ」。激戦地で繰り広げられる兵士たちの悲喜こもごもが「タバコ」を通じて描かれる。そのせいか、収録されている物語のトーンは総じてやや渋め。

ストーリーラインも、「戦場とタバコ」のようなトリビアよりも人間ドラマに重きが置かれており、知識量を増やしたり、小ネタにニヤニヤするというよりも、登場人物たちの内面をタバコを通じてしみじみと楽しむタイプの一冊となっている。
血湧き肉躍る戦場冒険活劇や、ミリタリートリビアを楽しむ漫画とは少し異なるが、そのぶん登場人物の内面がじんわり伝わるつくりの本作。ややミリタリー漫画としては異色だが、趣き深い戦争漫画と言えるだろう。

じんわり系ミリタリー漫画『野戦の一服』。登場人物たちの「一服」にも注目

「タバコ」を通じて戦場の人間ドラマを描く漫画『野戦の一服』。戦場のトリビアよりも、登場人物たちの繊細な感情にタバコを通じて迫っていく本作がこだわっているのは、やはり登場人物たちの「一服」シーン。兵士らしくない艶っぽいタバコの吸い方をする者もいれば、吸い慣れた仕草で吸う者。中にはタバコにトラウマがあり、苦々しい表情を向ける者もいる。

中でも初めて吸った青年のどこがすがすがしい表情は、戦場という極限下のワンシーンとして非常に印象に残った。ひとくちにタバコを吸うといっても、その仕草も表情も人それぞれ。過酷な戦場のドラマと相まって、読んでいるとその些細な仕草が胸に迫ってくる。このあたりの表現力の高さはうまい人が描く漫画ならではと言ったところで、短いストーリーながらぐっとくるカットが満載だ。

激戦地が舞台なだけに、もちろんダイナミックで凄絶な戦闘シーンもある本作だが、むしろ注目して欲しいのはこうした繊細で染み渡るような細かいカット。ぜひ、登場人物たちのふとした仕草にも注目して読んで欲しい作品だ。

人間ドラマを描いた渋い作品

今回ご紹介した『野戦の一服』は、戦場という極限下を舞台に、タバコを通して兵士たちの人間ドラマを描いた渋い作品。
冒険活劇やミリタリートリビアがテーマの作品とは少し違うが、それゆえに味わい深い一冊だ。気になった人はぜひ、じっくりと楽しんでみてはいかがだろうか。

著:清澄 炯一, その他:軍事法規研究会
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戦野の一服 (C) 清澄 炯一 日本文芸社/ニチブンコミックス

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