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それこそが法執行機関の構成員!LE装備

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アメリカの戦争やアクションものの映画やTVドラマを見ていれば、近年は特に2000年代以降中東を舞台とする作品が多く、登場する兵士がデザート・パターンの迷彩服を着用しているシーンを頻繁に目にする。
そこで描かれる兵士達の多くは頭には同迷彩が施されたヘルメット、胴体にはボディ・アーマー、そしてMOLL(モール)と呼称されているアサルト・ベストやバック・パックを着用した姿が一般的だろう。

MOLL(モール)は各種のポーチ類の取り付けに自由度と拡張性を持たせ、人間工学にも配慮された装備システムであり、任務内容に応じた多様な組み合わせが可能だが、軍隊以外でも似たような恰好を目にする事も多い。
それらは主として行政上の区分として警察権限を持ち、アメリカ国内の治安維持を担当する各種の法執行機関に所属する人員である事が多く、彼らの装備は総じてLE(ロー・エンフォースメント)装備と呼ばれている。
そこで今回はこうしたアメリカの法執行機関の担当者たちのLE(ロー・エンフォースメント)装備について、及ばすながら概略やそのあり方について少し語ってみたいと思う。

目次

そもそもアメリカの法執行機関とは?

アメリカの法執行機関と言えば、誰でも知っているであろう最も有名な組織としてはFBI・連邦捜査局があり、数多くのそれを舞台とした映画やTVドラマで日本においても馴染みの深いものと言えるだろう。
但しアメリカという国家は連邦制を敷いている為、現在の日本のような中央集権国家よりも各地方の権限が伝統的に強く、少し古い統計だが全国に凡そ18,000弱もの法執行機関が存在している。

これらの法執行機関はアメリカの国内法に基づいて警察権限を行使する訳だが、平たく言えば実力を以て犯罪に対峙するもので、各地域ごとの警察等の地方系組織と全国を網羅する連邦系組織とに大別される。
無論FBIはその名の通り連邦系の組織であるが、先の組織毎の総数に照らして見れば地方系組織が凡そ15,000件もあり、全体の80パーセント以上を占めており、数の上では連邦系組織方が少数派である。

アメリカの地方系組織で最大の構成員を誇るのは、やはり最大の人口を持つニューヨークを所管するニューヨーク市警察でその構成員数は凡そ36,000名だが、因みに日本の警視庁は47,000名弱とこれよりも多い。

軍用のMOLL(モール)システム等と比較した場合井のLE装備

これまで述べて来たようにアメリカの法執行機関の構成員が着用している装備を総称してLE装備と呼んでいるが、組織の数が膨大であるが故に、これがスタンダードなLE装備だと言う定義を行う事は難しい。
ただ特徴としては軍隊と法執行機関ではその組織の目的が異なる事から、そこから派生して生じる差異が少なからずあり、見た目や機能的な要素について両者を区別する助けにはなり得る。

先ず最大のMOLL(モール)システム等とLE装備の違いは、前者が2~3日までの継続した運用を想定し、それに必要な水や食料を携行する形である事に比して、後者はそのような物資を持つ事はほとんどない。
従って60リットル前後の容量が確保されたバック・パックはLE装備では不要となる為、FE装備ではアサルト・ベストを装着する事のみが基本形であり、背面に大型の装備を施す事はなくシンプルである。

MOLL(モール)システム等を基本とする軍隊と異なり、メイン・ウェポンの予備の弾倉をそこまで大量に携帯する事も想定されておらず、その意味でも軽装である点がLE装備の特徴と言えるだろう。
加えてLE装備はかつてのSWAT等の警察の特殊部隊等のように、色としても黒を基調としたものが多数を占めているが、これについては近年ではLE装備に迷彩を採用するケースもあり断定はできない。

但しLE装備の場合、最も簡易的な着用方法としては、私物のシャツやパンツルックにアサルト・ベストを合わせただけのケースも散見されるため、サバイバル・ゲーム等でもLE風の出で立ちは行い易い。
ただこうした簡易的なアサルト・ベストのみの着用は、本来的に組織として推奨している訳ではなく、あくまで緊急時に間に合わせで行われていると考えられ、私服ありきではないと言って良いだろう。

LE装備の肝は所属する組織・部隊等を一目で識別できる

LE装備が使用されるシチュエーションとは、基本的にアメリカ国内における治安維持活動の一環である為、誰が何処から見てもすぐに着用者が法執行機関の構成員であると視認される必要性がある。
その為LE装備にはFBIならばその文字が大々的にプレート・キャリアとして表記されており、且つ大型のパッチ・パネルには所属地域や部隊名を示すエンブレム等がワッペンとして複数あしらわれている。

これらを大きく表示する事で一目見ただけで法執行機関の構成員だと言う事実を、周りの一般市民や他の組織の構成員にも示す事が最大のポイントであり、任務を円滑に遂行する肝になると言えるだろう。
まあLE装備のこうした特性を逆手にとって、逆に犯人側の人物がそうした装備を構成員から奪い成り済ます事で、現場から怪しまれる事無く姿をくらます転開は、映画やTVドラマではよく目にする光景ではある。

尚こうしたLE装備のエンブレムやワッペン等のひとつに「シン・ブルー・ライン」と呼称される、モノクロの星条旗の真ん中の横縞1本のみが青く描かれたものがあり、畏敬の念を含めて注目されている。
これはこの一風変わった星条旗たる「シン・ブルー・ライン」が、これまでに殉職を遂げた法執行機関の構成員達への追悼と尊敬の意が込められている為で、困難な任務で落命した先達への想いが凝縮されているからだ。

大人気のアメリカのTVドラマにおける法執行機関とLE装備

日本でもかつてレンタルビデオが華やかなりし頃、レンタル開始日には順番の整理券が配られる程の大人気だったアメリカのTVドラマ「24」を記憶されている方も、まだまだ多いのではないだろうか。
この「24」で主人公が3シーズン目迄正規の構成員として在籍していたのが、架空のアメリカの連邦政府組織・CTU(テロ対策ユニット)であり、CIA(中央情報局)の一部署として設置されたと言う設定だった。

CTU(テロ対策ユニット)においては日本語の訳では「戦術チーム」と呼ばれていた部隊が、所謂SWATのような存在であり、黒系のヘルメット・ボディ・アーマー、アサルト・ベスト等のLE装備と制服で統一されていた。
主人公はことある毎にこれら「戦術チーム」と敵のテロ組織や個人宅に突入する任務にあたる為、よく私服のシャツ等の上からアサルト・ベストを着用して準備する描写があり印象深かった。

実は再現しようと思えば難易度が高いのがLE装備

主としてアメリカで、何らかの法執行機関に所属する構成員たちの装備を総称してLE装備と呼ぶ事を見て来たが、漠然とイメージされているような私服の上からそれらを着用する事は極めてイレギュラーである。
そしてLE装備をリアル且つ忠実に再現しようとすれば、その肝となるのはプレート・キャリアへのその組織名と、大型のパッチ・パネルへの所属地域や部隊名を示すエンブレムやワッペンが必須となってくる。

その意味ではLE装備を整えるのは、放出品として多数の装備品が流通している軍の部隊よりもある意味難易度が高く、かなりの拘りと知識がなければそれを実現する事は容易ではないと言えるかも知れない。

※画像はイメージです。

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