アイルランドには、妖精にまつわる伝説が数多く残されていますが、今回ご紹介するのは妖精伝説ではなく「リールの子供たち」幼くして母親を亡くした4人の子供の物語で、キリスト教の信仰が基になっている悲劇の結末で、アイルランドに現代も残る神話です。
リール王
昔、リールという王は、優しい妻エヴァと4人の美しい子供たち、娘のフィオヌラ、息子のアイド、双子のフィアッハラとコンと一緒に城に住んでいました。しかし、エヴァは家族を残し若くして、この世を去ってしまいます。
悲しみに暮れた子供たちを目にしたリール王は、子供たちには母親が必要だと強く思い、上級王ディアグの娘アイファと再婚をします。しかし、後妻アイファは美人だったが、リールが思っていたほど心優しい人ではなく、最初は子供たちを可愛がっていましたが、次第にリールが溺愛している子供たちに強い嫉妬を抱き始めます。
そして、アイファはリールの愛情を独り占めしようと、魔法使いドルイドからも魔法の杖をもらいます。
ある夏、子供たちと水泳の練習だと言い聞かせ一緒に湖に出かけたアイファは、魔法の杖で恐ろしい呪文を唱えます。子供たちは4羽の白鳥に姿を変えさせられ、娘のフィオヌラである白鳥だけが辛うじて話すことができました。
その夜、子供たちの帰宅を安否していたリール王は湖に向かい、4羽の白鳥を目にします。フィオヌラはリール王に駆け寄り、アイファの呪いにより、白鳥に姿を変えられたと訴えます。リール王はどうすれば元の姿に戻るのか、魔法を解くようにアイファに懇願します。
しかし、アイルランドにセント・パトリックが来る900年後、教会の鐘の音を聞かなければ子供たちは一生白鳥のままであることを知ったリール王はアイファは城から追放します。
それから300年が経ち
それから300年が経ち、4羽の白鳥はアイルランドとスコットランドの間にある寒くて冷たいモイル海に移動していました。さらに300年時が過ぎ、彼らはグローリー島に飛びましたが、4羽の白鳥はすでに年を取り、疲れ果てていました。一方、島での生活は大勢の人々が訪れ、楽しく、温かく、食べ物もたくさんありました。
そしてある朝、4羽の白鳥は待ち望んでいた鐘の音を遠くで耳にします。キリストの教会にいた司教カモホグは、突然訪れた白鳥がみるみる4人の老人に変わっていく姿に唖然とします。
人間に戻ったフィオヌラはアイド、フィアッハラとコンを抱きしめ合います。
そして、900歳にもなっていた4人の話を知ったカモホグは、人間に戻れた4人を讃え洗礼をします。高齢となっていた姉弟は再会した喜びも束の間、高齢のため、この世を去ってしまいます。
4人を同じお墓に葬ったカモホグは、リール王とエヴェ、そして雲の中を飛んでいた4人の子供が一緒にいる姿を夢見たのでした。
この物語は
現在では、家族を思い合う象徴として、ダブリンのパーネルスクエアにある地元の彫刻家が制作した伝説「リールの子供たち」像が置かれています。この物語は、苦しみからの解放され、自由をもたらすキリスト教の信仰のキリスト教の教えを組み合わせています。
※画像はイメージです。
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