原題は「Magnum,p.i.」、アメリカでは1980年代を代表するドラマのひとつです。
日本では一部しかテレビで放送されていないし、DVDも一部のようですが、アメリカでは1980年から1988年まで全164話が製作放映されて大ヒットしたのです。
主役のトム・セレックは一躍大スターになり、映画「インディ・ジョーンズ」の主役をオファーされたのにこのドラマを降板しなかったせいで、ハリソン・フォードがインディ・ジョーズ役になったことでも有名です。
その後、「ミスター・ベースボール」で中日ドラゴンズの助っ人外国人選手の役で高倉健さんと共演しているのはご存知かもしれません。
このドラマの舞台はハワイで、ベトナム戦争に2度行った元ネイビーシールズのトーマス・マグナムが主役です。
彼は独身で30代後半、のんびりと余生を送っている感じ、その日暮らしの私立探偵をしています。
住んでいるところはプライベートビーチ付きの豪邸で、真っ赤なフェラーリを乗り回しているのですが、実はベストセラー作家のロビン・マスターズに気に入られて、彼の別荘警備を条件にゲストハウスでタダで住まわせてもらい、車も自由に使っていいと言われている、居候生活なのです。
尚、このロビン・マスターズは世界中に家を持っている大富豪なので、ハワイにはほとんどいないのですが、本人は絶対に姿を見せず、声だけの登場でした(声はオーソン・ウエルズ)。
このマスターズの別荘には、彼の執事で管理を任されているイギリス人のヒギンズがいて、この人がマグナムに「マスターズ様のものを勝手に使うな」とか、「友達や女を連れ込むな」と、いつも皮肉っぽい態度で接していました。
マグナムはワインセラーのワインも勝手に飲んでいいと言われているのですが、ヒギンズはそれを認めません。
それは、ワインの味もわからないマグナムに、良いワインを飲まれるのが嫌なんです。
冷やして飲めとか、常温で飲めとかうるさくいっていました。
おまけにゼウスとアポロという2匹の番犬ドーベルマンに、マグナムを追いかけさせたりするのです。
が、例えばマグナムが事件の関係者をゲストハウスにかくまおうと連れてきたときなど、ぴしゃりと断るのかと思えば、ちょっとしたポイントを掴むと、見知らぬ相手にものすごく親身になって、自らかくまってあげるんです。
呆然とするマグナムに、「なにしてるんだ、はやくしろ、マグナム」というくらいなんですね。
ヒギンズは、第二次世界大戦に従軍した元イギリス軍人でMI6にいたこともあるので(世界中で色々な体験をして話が長いうえに回想録を執筆中、でも博識で頼りになる)、戦争経験者としてはマグナムに同情的だし、口や態度ではマグナムを邪魔にして礼儀知らずのアメリカ人めと蔑んでいて、マグナムとの付き合いを「神に試されているのか」とさえ言うのですが、本心はマグナムとの生活を楽しんでいるのはだんだんとわかってきます。
このふたりのやり取りが、ドラマの見どころのひとつでした。
そしてマグナムには、これもマスターズ経営の会員制のクラブの雇われマネージャーの戦友リック(イタリア人で裏の世界の情報に精通)、観光ヘリコプターの操縦士兼経営者の同じく戦友のTCがいました。
マグナムは事件を依頼されると、リックから情報を得て、TCのヘリに乗せてもらって追跡、ヒギンズの知恵も借りていたしと、この3人と他の準レギュラーに助けられないと、解決できなかったといってもいいです。
トム・セレックがブレイクしたので、セクシーだのかっこいいのと言われますが、ドラマの中での彼は格好つけてるわけじゃなくて、いつも声が裏返って悲鳴を上げているような、むしろコミカルな役回りが多かったけど、たまにシリアスなストーリーもあって、決めるところはしっかり決めていたという、戦争経験者の男たちの友情物語がメインのアクションシリーズでした。
もちろん、80年代のドラマのことでもあり、まだベトナム戦争の余韻のあるエピソードも登場し、海軍出身なだけに軍やCIA絡みの事件も多かったです。
「バージニア州ラングレーと言えばあそこしかない」と言うセリフで、CIAのあるところと知ったのはこのドラマからでございました。
ハワイが舞台なので、日系アメリカ人などもよく登場し、真珠湾攻撃の日に起こった事件の謎を解くエピソードは真珠湾50年記念だったようで感動ものだったです。
アメリカでは今年の秋にリブート版が新キャストで製作され放送中ですが、なんとヒギンズ役が女性だということと、マグナム役の俳優にカリスマ性がないような気がしています。
ミリタリーファンには、気楽にみられるけど海軍出てきますよということで、おすすめしたいですね。
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