大西港一さんの漫画、「乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ」をお勧めします。
歴史に基づいて語られる漫画で、戦争を舞台に一人の少女が死に脅えながらも武器を持ち、兵士として戦い成長していく物語。歴史、宗教、残虐さ、屈辱さ等色々含めた物は、現代の戦争、生活にもつながるので深いです。
この話は日本でいう室町時代の頃、ヨーロッパのボヘミアが舞台です。
神学者、ヤン・フスは当時教会の腐敗を批判したがため処刑され、信者の平等を説くフス派と権威を大事にするカトリック派が対立し、後のフス戦争が勃発します。
戦争で略奪されたとある村で主人公の少女「シャールカ」は村で唯一生き残り、彷徨います。
そこで、フス派の力のある傭兵隊長「ヤン・ジシュカ」と偶然にも出会い、兵士として復習していくか突然選択を迫られます。
即断したシャールカにヤンは一つの武器を与えます。
それはピーシュチャラ。笛と呼ばれる細い銃です。
この銃を与えられたことをきっかけにいままでのシャールカは死に、罪に脅えながらも前を向いて逃げることなく戦い、次第に成長していきます・・・
主人公のシャールカは、最初は哀れで弱弱しいと思ってましたが、銃を手に戦場という過酷な体験を通し、心も体も成長していきます。
可愛いし純粋すぎるのが気になりますが、彼女の運命も二転三転していき、ついには一つの幸せを手に入れることになりますが、時代は容赦なく彼女を巻き込んで進んで行くのです。
ピーシュチャラは銃の語源とも言われて、この戦争で実際に初めて使用され成果を挙げていきます。
現代の銃と違いシンプル、精度も決していいとは言えず日本の火縄銃にも劣ってしまいますが、腕力はいらずに簡単に操作できます。これを使い騎士団達の力づくの肉弾戦の戦いを逆転させて破っていきます。
他にも、ジシュカが活用した大砲や騎馬車からの砲撃など、現代の戦車や兵器等の原型にもなっていて成果を挙げていきます。
戦争で銃や大砲などを戦争で活用するのに導く焦点を当てた漫画です。
ジシュカも戦術や戦略が上手く、現代の戦いや情報戦等巧みに利用して優位に進めていく点は現代の戦争でも変わらない部分があり興味が湧きます。
2巻の歴史を変える戦いは特にお勧めです。10万の兵に対して、二千で挑む。
ネタバレになるのであまり書きませんが是非とも見ていただきたいです。
シャールカの成長と、彼女が生き続けて幸せになってほしいと願う戦争漫画です。
(C) 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ 大西巷一 アクションコミックス / 双葉社
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