MENU

ひと夏の忘れがたい経験

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。

私が住んでいた町は温泉が自慢の田舎町。昔ほどの人気はないものの四季を問わず多くの観光客が訪れ、それなりに繁盛していた・・・まあ、どこにでもある温泉街です。

目次

ことの起こりは

高校生の頃、夏休みになって親戚の経営するホテルでアルバイトする事にしました。当時の私はまだ若かったもので、給料は日当でどれくらい?何時から何時までの勤務なのか?ろくに内容も確認せず受けてしまいました。とにかく、東京まで遊びにいくお金が欲しかったのです。

ホテルでの仕事は、部屋掃除、風呂掃除など掃除が主。私の親戚は接客に忙しいので、そういった雑用のような仕事が回されてきたということです。

さて、このホテルには現在使われている洋風棟、使われていない和室棟がありました。和室の方は耐震が不十分だからのようですが・・・、従業員の間では、どうもそちらには何かが住み着いているらしいという話なのです。

話を聞いてまとめると、幽霊ではないそうで、妖怪とも違う・・・ならば野生の動物、例えば猿?
いやそうだったら駆除してしまえばお終い。人によって違い、正体がハッキリしない・・・そんな感じで、私はつい気になり、こっそり探検することに決めたのです。

探検に行こう!

今思うと浅はかでしたが深夜の方が雰囲気があって楽しそう。そう思った私は、前日に鍵をこっそり持ち出して、目立たないように和室棟の裏の従業員用の入口から侵入します。

旅館の中は真っ暗なのですが、使われてなく埃っぽいだけなので、廃墟のような怖さはありません。なるべく音を立てないように静かに進んで、上の階に上がっていくのですが、なんの気配もしない。
空調の効いてない館内は蒸し暑く、連日の手伝いで疲れていたので、すこし貧血のようになっていまい、適当な部屋に入って休みました。

たぶん10~20分ぐらいして体調が回復すると、さらに上の階に上がっていきます。
たしか4階まで上がったとき、私はふと、どこかで携帯電話を落としてしまったことに気がついた。さっき休んだ部屋かもしれない。しかし、あれは何階の何号室だったか覚えていません。

かかってきた声

すっかり慌てて必死で探すのですが、そんな状態で探しても見つからないもの・・・思いついたのは・・・電話をかければいい。
近くの部屋に入り込み、備え付けの固定電話の受話器を取ると使えるようなので、自分の電話番号を叩くように押しました。同じ階の近くの部屋から着信音が鳴り出し、携帯電話のありかがなんとなく分かったのです。

早速、携帯電話を取りに行こうと受話器を戻そうとした時、ふと通知音が止んで電話が繋がった。
え?!と思うと受話器からは小さな物音が聞こえだしたので、怖いというよりは好奇心で耳をそばだててみると。

「・・・イ、イマ・・・ソコニ・・・クカら・・・待ッてテ」
と男の声か女の声か、ひどく弱々しげな声が聞こえてきた。

私は飛び上がって部屋から出よう扉を開こうとしましたが、鍵がしまっていて出られない、受話器からもひどいノイズのような声が鳴り出している。
ゆいつの逃げ道は窓、外をみてみるとここは2階。イチかバチかで飛び降りて逃げる事ができたのです。

そういえば携帯電話が

打撲程度の怪我でなんとか済んだでのすが、携帯電話を残したままなのです。その日のバイトの時間、中の良いバイト仲間に相談して一緒に取りにいってもらう事にしました。もちろん昼間です。

場所は覚えていたので携帯電話はあっさりと見つかり、近くだった事もあって私のいた部屋を確認に行くと鍵がかかって開きませんでした。
「なんか怖い事があったんだね」とバイト仲間と話しながら、洋館棟まで戻っている最中に携帯電話に着信があった。

全く油断していた事もあって、非通知だと気が付かずに電話と取ると・・・・。
「・・・待ッテテ・・・・テイッたのニ」

その声はバイト仲間にも聞こえていて、二人は驚きのあまり立ちすくんでしまったのでした。
それからというもの和室棟には、だれも近づかなくなったのです。

※画像はイメージです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

どんな事でも感想を書いて!ネガティブも可!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次