これは私が小学生の時に他界した祖母が話してくれた怪談です。
外科病棟の入院患者
私の祖母は看護師の名称に変わる前から看護婦として働いており、当時はある病院の外科病棟に勤めていました。
しっかり者で責任感の強い祖母は婦長として若い看護婦たちを指導する立場にあり、医者にも頼られていたそうです。
ある時、祖母は四十代男性の看護を担当しました。その人には小学生の娘さんと優しい奥さんがおり、本人も実に優しい人柄で見舞客が絶えなかったそうです。
大事をとって入院したものの腫瘍はさほど大きくなく、手術で簡単に摘出できるだろうと執刀医は太鼓判を押しました。
ところが、この判断は誤りでした。
容態が急変し帰らぬ人に
男性の手術はスムーズに執り行われました。術後の経過も良好で、本人と家族は退院を心待ちにしていたのですが……一週間後に容態が急変し、帰らぬ人となってしまいました。
この顛末には家族はもちろん看護婦たちもショックを受け、男性の死を悼みました。
ところが……男性の死後、外科病棟では不審な出来事が相次ぎました。
最初はシーツの変化でした。
男性が使用していたベッドには次の患者が入ったのですが、その人物が「シーツが汚れてる」と何度も苦情を申し立てるのです。シーツはきちんと洗っているので、シミや汚れが放置されることなどありえません。
病気でナーバスになった入院患者の妄想ではないかと看護師たちは噂し合いましたが、祖母をはじめ多少の霊感を持った一部の人々には、シーツに浮かび上がる人型のシミが確かに見えたのです。
主治医に取り憑いた影の正体
怪現象はシーツのシミのみにとどまらず、やがて深夜の外科病棟に得体の知れない足音が響き出します。病院に怖い話は付き物といえど、祖母は言葉にできない嫌な予感を抱いていたそうです。
ある日の事、あの男性と同じ病気を患い入院した人の手術が行われました。
偶然にも執刀医は同じ人物で、患者の家族構成も故人とよく似ていました。
当日、手術前に器具のチェックをしていた祖母を悪寒が襲いました。なんだろうと振り返ると、執刀医の傍らにあの男性が立ち、凄まじい形相で彼を睨んでいたのです。
生前の温和な故人からは想像できない憤怒の形相に祖母が気圧されてると、執刀医が突然悲鳴を上げてしゃがみこみました。
慌ててスタッフが駆け寄った所、執刀医の右手は謎の痙攣と麻痺に襲われ、とても手術ができる状態ではありません。
さらには誰も触れてないのにトレイがひっくり返り、メスや鉗子などの器具がばらまかれました。
無念の死と医療ミスの真実
後日、その執刀医の医療ミスが発覚しました。あの男性は体内にメスを置き去りにされた原因で急死を遂げたのです。病院側は世間に叩かれるのを恐れ、医療ミスの隠蔽に動いたのでした。
まとめ
以上が祖母が話してくれた怪談です。
他にも様々な体験をしたそうですが、多くの人が生まれて死ぬ病院にはやはり幽霊が集まるのでしょうか?
※画像はイメージです。
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