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想い出話

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小学生の頃、母親と一緒に福岡の母の田舎にお盆の帰省をした時の話です。
夜、従兄弟たちとテレビでやってた怪談話で盛り上がっていた時に叔母が「そうそう、ちよちゃんも昔、火の玉を見たことがあったね」と母親に問いかけました。
母が「あー、そんなこともあったね」と笑いながらもどこか話を隠していたかったような素振りで返事をしました。ただ、その時の従兄弟や自分も身近な者、加えてオカルトなど信じない母親からのまさかの話の方に興味が湧いて、みんなが一斉に「教えて~」と声を揃えると母親も仕方無いといった素振りで淡々と話し始めました。
「私が二十歳位の頃やったろか、夜中12時過ぎやったと思うっちゃがトイレに行きたくなって母屋を出たとぉ。あの頃は家の中にトイレが無かったけん、今の母屋の裏側にあった厠に行っとったとよ」

帰省していた家は叔母の家で、母が言う実家の母屋はこの家から100m程離れて県道と線路を跨いだ少し小高い敷地にありました。
「トイレで用を足して母屋に戻ろうしたらね、線路の向こう側が急にパァーっと明るくなって、なんやろねと思って見ていたら火の玉がフキ畑の上に浮かんで一面を照らしとうと。」
「えっ、それって人魂?」子供たちがワクワクしながら聞くのを母親は否定して「いやー、そんな小さかもんやないよ。ドラム缶位の大きな火の玉」と言いながら大きさを表すかのように両手を広げて説明しようとします。
「うそやん」自分もそんな大きな火の玉の話など怪談話などでも聞いたことが無く母親に尋ねましたが、母親の顔は真剣で横に居る叔母の顔も真剣な顔だったのでそれが嘘でない事は明白でした。

「その大きな火の玉がパァーと照らしていると太陽のように眩しい位で。それで私はフキ畑が火事になってるんやと思って、母屋に戻ってお父さんとお母さんを呼んだと。その後、戻ってみたら火の玉は消えて元通り暗いままったい。“何やったんやろねー”って姉ちゃんと話しながら姉ちゃんに『疲れとっちゃろ、はよ寝ぇ』と言われてその晩は寝たとぉ」
「ふーん」従兄弟も自分もこれで話は終わったものだと思ってましたが、母の姉である叔母が「この続きがあるっちゃんね」と言って更に話を引き延ばします。
どうも母親が触れられたくなかったのは、この後の話のようでした。

「翌日、近所の人が家に駆け込んできた声で目が覚めたったい。それであまりに騒がしいから何があったっちゃろう?と思って寝間着のまま玄関まで行ったら、近所のおばさんから『ちよちゃん大変よ、アンタと仲の良かった〇〇さんが昨夜亡くなったとぉ。農薬を飲んで自殺したらしいわ』と言われて・・・」

そこまで話が進むと従兄弟も自分も「えっ」って表情になり急に全身に寒気がきました。
叔母も当時の事をよく覚えていて「あんたとは仲が良かったからね、最期にお別れの挨拶がしたかったちゃろね」と近所の人と昨晩の出来事を話したことを話してくれました。
亡くなった方の名前までは聞けませんでしたが、当時母親と仲良かった男性の友人だったという事でした。

母の話は終わり、オカルトを信じない母にもこのような出来事があるのだから霊の世界というものは本当にあるんだろうなと身を持って実感した日でした。ただ、この話を聞いた従兄弟と自分はこの後、もう一度怖い思いをする事になります。それは母親が語ったフキ畑の火の玉が浮いていた場所です。あの出来事から二十数年が経ち、その場所は叔母の住んでいる家にあたるという事です。それを知った従兄弟はほぼ泣き顔になっており、眠れない夜に続くのでありました。

ペンネーム:sorapapa
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※画像はイメージです。

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