これは小学生の頃、旅行好きな伯父から聞いた話です。
北陸の山で迷子になった伯父
私の伯父は旅行好きな行動派で日本中を旅して回っていました。特に山が大好きで、全国の山を制覇するのが密かな目標だったそうです。そんな伯父が二十代の頃訪れたのは北陸の有名な山でした。
行動力には恵まれていたものの計画性がいまいち欠けていた伯父は、地元ガイドを頼むことなく山に分け入り案の定迷子になりました。鬱蒼とした杉林の中を二時間ほどさまよい歩いて体力を使い果たし、もうだめだと倒れ込みそうになった矢先に、ある物を見付けました。
岩室の中で目撃したおぞましい光景
疲労困憊の伯父の目にとまったのは苔むした岩室でした。崖の断面を掘り抜いたものみたいです。一体誰が・・・不思議に思った伯父は好奇心に任せるまま、岩室に立ち入りました。
岩室の中は薄暗く、奥からは生臭い匂いが漂ってきます。生唾を呑んでさらに先に進んだ伯父は、衝撃的な光景を目の当たりにして腰を抜かしました。岩室の最奥には粗末な祭壇があり、色んな動物の頭蓋骨が祀られていたのです。
山の民の祭壇を見てしまった伯父の運命
伯父の度肝を抜いたのはその中に人骨の一部が混ざっていることでした。恐怖で凍り付いた伯父の耳が小枝のへし折れる音をとらえます。誰かが地面を踏みしめ岩室に近付いてきているのです。今から逃げても間に合わない、最悪入口で鉢合わせると判断し、咄嗟に祭壇の後ろに隠れました。
数十秒後、岩室の中に入ってきたのは2メートルをこす巨大な影でした。男の全身には剛毛が生えており、髪は伸び放題です。男は持参したキツネの頭蓋骨を祭壇に安置すると、伯父が聞いたことない言語で祈りを捧げ、またどこかへ消えていきました。
そして
その後どうにか下山に成功したものの、誰も伯父の体験を信じてくれなかったそうです。
伯父は岩室で出会った男の正体が山の民の末裔だと信じています。
もし山の民が伯父の存在に気付いていたら、今頃は祭壇に飾られていたかもしれません。
※画像はイメージです。
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