MENU

公園のプールに溺死した子供の幽霊が出た・・・

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。

「むかし、あの公園の水泳プールには溺死した子どもの幽霊が出た」・・・わたしが子どもであった昔、母親がM公園のそばを車で通過するたびに口にしていた噂だ。
わたしの住む近隣地区に存在する心霊スポットの噂を書籍やネットで調べていたとき、ふとした拍子に思い出したのだった。

目次

M公園の今と昔

思い出して以降、時おりM公園を訪れる機会があるときは、頭の片隅では噂を連想していた気もする。
M公園ならば、その気になれば歩いて行けないこともない。目の前には観光地となった炭鉱跡すら存在する。せっかくなので現地に行ってみようと考え、実行したのであった。

ただしガッカリさせる話だが、行ってみた時間帯は昼間である。以前、何気なく怪談話をひとくさり語った後に聞き手が「心霊現象」に遭遇してしまったことがあった。以来、原因や因果関係がどうあれ厄介事を避けるヘタレ癖が付いたのも遠因だが、昼間でなければ心霊スポットを理解できない部分が多かったことにも拠る。
理解とは、どういうことか。目視でキチンと確認したいものがあったからだ。

いまでこそ、M公園の周囲は竹藪や森林に覆われてしまい、山林との境界が付かなくなっている。しかし昭和50年代までは、現在もなお名を知らぬ者はいない大手企業グループが経営する石炭企業で働く従業員と、その家族が住んでいた社宅がひしめいていた。
通勤・通学用の社員と関係者専用の鉄道が敷設され、駅舎があり、小学校や講堂、食料雑貨店や電気店、書店といった生活インフラもまた充実していた。とにかく、老若男女を問わず住人が多かったのだ。
それらは石炭産業の衰退とあわせて、徐々に姿を消していった。

わたしが母から幽霊の噂を耳にした時点で、すでに町の面影は一部を除いて消えていた。山々に建設された炭鉱社宅は完全に取り壊されたが、今でも企業の所有地となっており立ち入ることはできない。社宅跡は山林に還っている。

むかし、公園の水泳プールには溺死した子どもの幽霊が出た

「むかし、公園の水泳プールには溺死した子どもの幽霊が出た」。
そう吹き込まれたのは、もはや思い出すことが難しいほど幼い頃であった。だが、年齢を重ねるにつれて違和感が募ってきた。現地の道路を横切るたびに、こわごわ水泳プールがあると教えられた場所に目をやる。だが肝心の水泳プールらしき建造物が何処にも見当たらない。目に入るのは、ただ芝生のような草の生えた空き地である。プールなどないではないか。

ウソなのだろう・・・幼いながらに疑いを感じた。
その頃、とある山の頂上に立っている鉄塔を指して「アレはロケットの発射台なのだ」と吹き込まれた物の正体が、実際のところテレビの電波塔に過ぎないことが判明していたばかりだ。また騙されてはタマラン、そう考えて「プールの幽霊」についても不信を決め込んだ。以降、深く考えた試しはない。

そんな記憶を手繰り寄せつつM公園にむかった。春の到来を告げる晴れ模様だ。
関連する調べものを済ませたあと、M公園を訪れてみる。「心霊スポット」というフレームで眺めてみると、なるほどね、と納得のいかないこともない場所ではある。
公園が造成されたのは戦後まもない時期なのだろう。コンクリート造りの階段やベンチは老朽化が進んでいた。成長した木々の枝は公園全体を覆っており、陽射しを遮っていた。かつての噴水は水が止められて久しい。
せっかく新設された遊具が霞んでしまう程度には、老朽化、あるいは半ば廃墟めいた存在感を醸し出していた。

問題の水泳プール

さて、水泳プールである。公園をひとまわりして水泳プールがあったのだと散々に吹き込まれた空き地に足を踏み入れる。やはり、どう見てもただの空き地だ。それに雑草が生い茂っていないところを見ると、公園施設として市役所は定期的な草刈りをおこなっている形跡がある。
近所には、それなりに新築一戸建てが建っているのだ。母が吹き込んだ幽霊の噂など知らず、近所の親子や子どもたちの遊び場として機能しているのだろう。

そうは思ったのだが、公園のはずれに向かって歩いていくに連れて「5」「6」「7」と番号の書かれた、コンクリート造りの建造物が目に入った。もしやと思って近づいてみると、学校の水泳プールや市民プールで見かけるスタート台ではないか。
水泳プールそのものは存在しない。なぜかスタート台らしき建造物は現存する。

一休みするために入った、M公園の真横に建っている公民館の壁には、往時に存在した建物をしめす地図が掛けてあった。地図を見てみると、たしかに水泳プールはあったのだ。ただ痕跡は殆ど残さず、埋め立てられて空き地となっていたのである。
わたしはここまで調べた時点で「時間切れ」となった。別件のため、車で別の場所に移動しなければならなかった。

M公園の怪奇

・・・と、怪談としては何ともパッとしない結果に終わったが、この話には続きがある。
ちょっとM公園に立ち寄ってきた。
地元で生まれ育った友人のTにそう話すと、「あそこにオレは行きたくない」などと言う。
こちらは幽霊の話など切り出していない。理由を尋ねると彼は言った。

Tが小学校低学年であった時のこと。なんの機会があってM公園などに行ったのかは忘れたが、ともかく同級生の数人と水泳プールのあった空き地で昼間、サッカーなどをして適当に遊んでいた。
あるときTの足が急に動かなくなった。友人が足首でも掴んだような感覚を覚えたので足元を見た。
土の中から子どもの腕が一本だけ伸びてきて、Tの足首を掴んでいた。

わたしが身を乗り出して話に聞き入っていると、その場に居合わせたYが露骨にイヤな表情で加わってきた。
あそこには池があって、ブラックバスや雷魚などが釣れるため友人たちが行った。でもアイツらは二度と行かない。
だって昼間なのに、空き地の地面から腕が伸びて、アイツらに手招きしてきた。その場にいた奴ら、みんな見ている。
わたしは暫らく、M公園には近づかないことにする。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

どんな事でも感想を書いて!ネガティブも可!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次