今回は、2008年に製作されたフルCGアニメーション作品で「一年戦争」を舞台にした、地球連邦政府軍側の攻防戦を描いた「機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線」を紹介したいと思います。
今作は特定の主人公がおらず、各3話構成の短編オムニバスとして製作されました。
この物語の特徴としてガンダムシリーズとしては珍しく、ガンダムの存在がありません。
描かれているのは劣勢へと追い込まれていく戦況の中、逃れられない任務、因縁に決着をつける為に生きる執念、己を裏切った相手に復讐を望む破滅などを描いた、凄惨な戦場と死神に魅入られてしまった兵士達の視点で描かれる短編作品。
あの死神を撃て!
この物語の第1話「あの死神を撃て!」は、モビルスーツ ザクⅡに対モビルスーツ用火器「M-101A3 対MS重誘導弾リジーナ」を使って対抗するという、絶望的な戦闘へと駆り出されていく、対MS特技兵小隊指揮官兼第1分隊隊長であるベン・バーバリー中尉の苦戦を描いた内容となります。
「M-101A3 対MS重誘導弾リジーナ」は、平たくに説明すれば誘導式の対戦車ミサイルをモビルスーツ用に調整したミサイル兵器で、かなり接近しなればいけない特攻兵器に近い代物。
そんな兵器を担がされ、訓練期間もままならない新兵を操りながら、ザクⅡ三機と戦わなければいけないベン・バーバリー中尉。
人とモビルスーツの絶望的な死闘を描いた内容となっています。
陸の王者、前へ!
そして第2話となる「陸の王者、前へ!」は、モビルスーツの登場によって歴史の片隅へと追いやられようとしていた、かつての戦場の主役で地球連邦軍の主力兵器「61式戦車5型」とザクⅡとの戦いを描いています。
ハーマン・ヤンデル中尉率いる戦車隊が、白いザクⅡへで多くの61式戦車を狩ってきたエルマー・スネル大尉率いるジオン軍モビルスーツ精鋭部隊に挑みます。
縦横無尽に動くジオンのザクⅡ、時代遅れとなった61式戦車がことごとく大破していく最中で因縁の相手であるザクへと挑む、古き兵器と新しき兵器の死闘が描かれています。
オデッサ、鉄の嵐!
そして最終話となる第3話は「オデッサ、鉄の嵐!」。
その存在を無かったモノとされてしまうテスト機体「RTX-440 陸戦強襲型ガンタンク」でオデッサ作戦に参加し、ジオンのMSと渡り合う内容となります。
恋人であったクライド・ベタニー技術士官の裏切りに合い、全てを失ってしまったアリーヌ・ネイズン技術中尉は、汚名を晴らすべく「RTX-440ガンタンク」に乗り、小隊指揮官兼1番機パイロットとして、激戦区となるオデッサへと挑みます。
戦場を駆け抜けるガンタンクを操りながら、自分を陥れた恋人へと向かう復讐劇とジオンのMSとの戦闘と見ごたえのある作品となっています。
まとめ
この作品では、それぞれに戦場の苦闘が描かれ、無慈悲に幕が閉じる戦争の悲哀が込められた作品であります。
輝かしき栄光に彩られたガンダムの物語の中で、語られる事無くに消えていく無数の兵士達の活躍を描いた・・・
ささやかな栄光の物語を死神の無慈悲な視点で描かれ、悲しくとも熱く生きる兵士の生き様が堪能できます。
(C) 機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線 創通・サンライズ
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