長門型高速戦艦構想 幻の機関増強計画

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長門型戦艦は、同程度の速力の扶桑型や伊勢型と共に低速戦艦として有名です。しかし実は、長門型には機関を換装して金剛型と同程度の速力を発揮する高速戦艦として生まれ変わる構想が存在しました。
この構想について探っていきます。

背景

戦艦の機関の換装は、実はそれほど珍しいことではありません。例えば金剛型戦艦は、建造当初の機関出力は78,000馬力、最大速力27.5ノットでしたが、第2次大改装の際に136,000馬力の機関に換装し、速力を30ノット程度まで増速することに成功しています。

実は低速戦艦の扶桑型と伊勢型でも機関の換装は行われており、
扶桑型の機関は、新造時48,000馬力速力22.5ノット→機関換装後75,000馬力24.5ノット
伊勢型の機関は、新造時56,000馬力速力23.0ノット→機関換装後80,000馬力25.3ノット
といった風に、機関出力を倍程度に増強して2~3ノットの増速に成功しています。

■ 竣工時の「扶桑」

By Not stated [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons

金剛伊勢扶桑にできて長門陸奥にできないはずはありません。実際に出典は不明ながら、Wikipediaの長門型戦艦のページには、”当初は(1934年~1936年に行われた)改装時に機関換装を行い、速力を29.3ノットに向上させると共に、ボイラー数の減少によって捻出したスペースに格納庫を設置し、9機の航空機を搭載する予定だった。”という記述があります。

検証

実際どれぐらいの増速が可能だったか推定する手がかりとして、平賀アーカイブの資料(昭和4年機関重量表)を参照します。
※ こちらのリンクからご覧ください。

この表によれば、戦艦長門のボイラーの総重量は約1,003tで出力80,000馬力を出しますが、機関出力130,000馬力の重巡洋艦足柄のボイラーの総重量は約641tで、長門のボイラーより軽いのです。

従って長門型のボイラーを足柄のボイラーと同じものへ換装するのなら、スペース的にも重量的にも問題ないでしょう。この換装を実行すれば、長門型戦艦の機関出力は80,000馬力→130,000馬力へと、62.5%の増強が可能です。

■日本海軍 特設潜水母艦『靖國丸』と長門型戦艦『長門』

By ja: 日本海軍en: Imperial Japanese Navy [Public domain], via Wikimedia Commons

一般的に、同じ形で同じ重さの船であれば、速力は馬力の1/3乗にほぼ比例します。これは造波抵抗が速力の3乗に比例するためです。
従ってボイラー換装後の長門型の最大速力は、25×(130,000/80,000)^(1/3)≒29.39ノット程度になったものと予測できます。この数値はWikipediaに記載の29.3ノットという数値に近いです。

結論

この速度は金剛型より5%程度遅いだけで、空母加賀の28.3ノットより高速です。したがってもしこの構想が実現していれば、金剛型の代わりに長門陸奥で空母機動部隊を護衛できた可能性もあるのです。

そして艦これの世界では、同じくボイラーが共通の島風と天津風みたいな感じで、長門さんと陸奥さんが妙高型とより仲良しになったでしょう。


Writing by FT1990N
1/700艦船模型にハマってます。

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