2011年7月24日。テレビのアナログ放送が、被災地を除く44都道府県で終了。地上デジタル放送に完全移行しました。
テレビ放送では、休止時間帯に試験電波放送を流していましたが、1980年代の中盤頃から、放送開始前の「受贈機調整用」として、カラーバーと呼ばれるパターン信号が使われるようになり、地上アナログ放送の停波・廃止までこのカラーバーや「砂嵐」とも呼ばれるホワイトノイズが使われていました。
NNN臨時放送
2000年、2ちゃんねるのとあるスレッド内の書き込みがネットをざわつかせました。それはこのような内容でした。
「深夜、仕事が終わりテレビをつけました。時間帯は深夜2時を回っていたかと思います。既にその日の放送は終わっていて、試験放送画面が写っていました。
『こんな深夜にテレビ番組なんかやっていないるわけないか』
遅い時間になっているし、寝ようかとテレビを消そうとした瞬間、突然画面が切り替わり、廃工場のような場所が映し出されました。
『何か番組が始まるのか?』
疑問に思いつつも、そのまま画面を見ていると、画面にテロップが映し出されました。
『NNN臨時放送』
『臨時放送』ってなんだろう・・・
不思議に思い、そのまま画面を見ていると、次々に人の名前が映画のエンドロールのように流れ、抑揚のない機械的な声で名前を読み上げていきます。
性別も年齢もバラバラで、この名前にどんな意味があるのか分からず画面に釘付けになるように見つめていると、個人名だけではなく、どこかで見かけたような企業名も流れてきました。
ただそれだけの映像だったのですが、全く意味が分からず、ただ不気味でした。
そして最後に『明日の犠牲者は以上です』という男性の声でのアナウンスとテロップが流れ、放送は終了しました。
名前が挙げられていた人たち、そして企業。どうなってしまったのかわかりません。」
投稿した人は「あれはなんだったのか」とスレッド内で問いかけていましたが、スレ民たちの反応は全て「そんなものは見たことがない」というものでした。
それから様々な憶測や考察が飛び交い、ホラー系の画像を使った再現動画も作られるほど都市伝説として、ネットでもかなり有名になりました。
投稿主が見たもの。あれは一体なんだったのでしょうか・・・。
さまざまな推測
2チャンネルやネット内での推察をいくつか紹介します。
NHKの料金未払い者の名前説
NHKの料金を支払っていない人の名前が流れているという説もありましたが、この都市伝説から派生した噂話だったようです。
投稿者の記憶の混同説
投稿者自身の記憶が違っていたり、夢で見た体験を実体験と勘違いしたのではないかという説もありました。
この「淡々と読み上げられる“犠牲者の名前”」について、さらに考察すると、投稿者が見たものは、事故や大災害の犠牲者の名前ではなかったかと思われます。
1985年に発生した「日本航空123便墜落事故」では、遺体から身元を判別することができなかったため、搭乗者の名前をテレビの放送終了後の時間帯に読み上げ、安否確認を呼びかけていました。
そのため、投稿者がこの放送を深夜に目にしたのではないかということが推察されます。
さらに、事故当日の深夜に放送されたFM東京系の音楽番組「ジェットストリーム」では、臨時で緊急報道番組の形をとり、当時のMCだった城達也さんが、搭乗者名保の名前を読み上げていました。
このことは、「男性の声で名前が読み上げられていた」ということに一致します。
そして、事故や大災害の後の身元不明者などの名前は、カタカナ表記でテロップとして流される場合があります。
カタカナ表記の名前の羅列が、不気味な印象だったということも考えられるでしょう。
とちぎテレビの「おくやみ」説
とちぎテレビでは、平日の夜、その日に亡くなった方の名前を淡々と読み上げる「おくやみ」という番組が放送されています。
これも「名前の読み上げ」という点では一致していますが、とちぎテレビの開局は1999年であるため、この都市伝説の年代とはかなりずれがあります。
投稿者が観た映像として、様々な説が考えられましたが、どれも今ひとつ決定打に欠けるところがありますね。
あの超人気ゲームにも影響を与えた?!
2020年3月20日に発売されたNintendoの大人気ゲーム「あつまれどうぶつの森」は、コロナ禍のステイホームにおける「巣ごもり消費」と相まって、2022年3月末時点で3,864万本の売り上げを記録しています。
島の住民と交流したり、街を整備したり、家具をDIYしたりと、島での生活の楽しみ方は無限にあり、幅広い世代に愛されるゲームになりました。
さて、その「あつまれどうぶつの森」では、ニュース番組やドラマなど、様々な番組がテレビに映し出されます。もちろんちゃんとした番組ではなく、それっぽい画像が写るだけですが、曜日や時間帯によって放送される番組が決まっており、なかなかリアルです。
放送は深夜1時までで、その後はホワイトノイズの画面になります。
しかし、深夜そのテレビに怪しいものが映るということが話題になりました。
土曜日の深夜、午前3時33になるとホワイトノイズが乱れ、中から大きな赤い目の宇宙人が映し出されます。
宇宙人は画面に寄ってから、甲高い声で謎の言葉を呟きます。そして3時34分になると宇宙人は消え、またホワイトノイズに戻るのです。
このゲーム内のテレビ放送は、時間帯や放送の始まり方から「NNN臨時放送」を模したのではないかとも言われています。
まとめ
- 「NNN臨時放送」には正確な情報源はない。
- 投稿者が観た、事故や災害の行方不明者の名前、地方局の「おくやみ」の放送などの記憶が混同した可能性がある。
この都市伝説が広まったのは、まだインターネットが現在のように一般的ではなかった時代です。2ちゃんねるはその中でもさらにアンダーグラウンドな存在でした。
その2ちゃんねるから拡散され、再現フラッシュや動画も作られたことで話にリアリティと不気味さが加わり、今もなお都市伝説として語り継がれているのではないでしょうか。
しかし、誰も見たことがないものを 「たまたま」目撃してしまうこともあります。
深夜、何気なくテレビを見ていたあなたも「何か」を見てしまうかもしれませんね。
※画像はイメージです。
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