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「NOIR(ノワール)」銃声とどろく美少女と闇社会の危険なコラボ!

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「銃と少女」…日本のサブカルチャー界隈において一つのメインストリームを為したモチーフを真っ向からコンセプトに据えて取り組んだカルト的ピカレスクロマン作品と言えるのが、今回紹介する「NOIR(ノワール)」です。

浜の真砂は尽きるとも、世に悪党の種は尽きまじ…そんな人の世の浅ましさを象徴するかのように、厳めしい銃を取り熾烈な死線を潜り抜けるたおやかな乙女達が、人の業故に作り出された形無き歴史の闇を模索し、互いの姿を光明として生きる姿を描き出す美し光悦と哀切の物語。

「梶浦由記」氏の鮮烈でミステリアスな音楽と共に印象的な存在感を放つビジュアルに目を奪われた人も多いであろう作品をご紹介します!

目次

定番とも言えるコンセプトへ真っ向大上段から挑んだ意欲作

本作「NOIR(ノワール)」は、単語としてはフランス語で「黒」を表わすものですが、用法として「フィルム・ノワール(退廃的・虚無的な犯罪映画)」というジャンルを表わす語として用いられるなど、そのイメージとして人間社会が見せる沈鬱な表情を漂わせるものとなっています。
本作においてそれは「銃と少女」…「如何にして少女は銃を持つ生き方を選ぶ事となったのか」という問い掛けに端を発するものとして描かれます。

それは闇社会と通じる者が生きるよすがとして手にせざるを得なかった手段にして生き方であり、或いは生を受けた場所が戦場であったという「ただそれだけの不可抗力」が故に当然の帰結として銃を手にしただけの、単なる事実に過ぎない現実的で無味乾燥であるが故の虚無と退廃から始まります。

生き続けるという選択は社会の歯車となる事であり、その他の選択とは即ち死である「裏」社会にあって、互いを生きるに値する者と認め交錯する矛盾、そしてその果てにある形無き闇…「誰もがそれを当たり前と思いながら、その束縛に目を背けて生きている」モノの根源へと展開していく事になります。

言葉にすればシンプルなモチーフを、あらゆる方向性から磨き出していく希有な完成度故に、見る人によって見え方が違うのではないかとも思わせる、魅力に溢れた作品です。

愛で人を殺せるなら、憎しみで人を救えもするでしょう

本作におけるテーマを最も端的に表わしながら、同時に最も理解に苦しむ謎めいた言葉として、本作を「美しく」彩る言葉です。これは本作の物語を通じて最後まで残される謎…「ノワール」という呼称、或いはそれが意味する在り方、そうした錯綜する一切が文字通り「回帰」する一点である「グラン・ルトゥール(大いなる回帰)」の(次期)祭祀長によって語られるものです。

それは劇中を通じて描かれ、或いは暗に語られ、時に語られる事すら無かったもの達…人物達がそれぞれの内に抱える人としての情理、或いは組織の一員として、社会の構成要素として受け持つ役割への忠節と反骨、理念と葛藤、そしてそれらをも呑み込んで紡がれてきた「社会そのもの」の歴史や業とも言える巨大な集積に対し、全てを慈しみ許す「回帰」の発露として描かれます。

その表題が含むニュアンスも含め、物語、或いは世界観として紡がれてきたものが一点へと収束し、完成に至る事で新たなる始まりへと「回帰」する…その狂信的にも見えながら一貫した理念の元、完遂される結末に美しさを感じさせること、その一点をして本作が他に類を見ない希有な作品だと言えましょう。

出演:桑島法子, 出演:三石琴乃, 出演:久川綾, 出演:TARAKO, デザイン:菊地洋子, デザイン:芝美奈子, デザイン:宮地聡子, 監督:真下耕一, その他:梶浦由記, 脚本:月村了衛
¥64,726 (2022/01/23 22:30時点 | Amazon調べ)

(c)2001 月村了衛・ビィートレイン・フライングドッグ

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