日本で作られる映画やドラマで、ガンエフェクトがある作品のエンドロールに必ずと言って良いほど登場する名前があります。
それは「納富貴久男(のうとみ きくお)」氏。
納富喜久男氏とは?
警察ドラマや世界のキタノの仁侠映画、銃撃ちまくりのアクション作品まで、銃が物語の中で出てくる作品なら殆どのエンドロールに名前があるのが納富喜久男(のうとみきくお)氏。
もともと映画に造詣の深い上に銃が好き。
そんな彼が立ち上げた会社が「BIG SHOT」。
かつては映像作品の銃器や火薬を使った特殊効果は、小道具担当者の片手間作業だったということですが、BIG SHOTは銃の発砲・弾着の演出効果に特化して専門的に扱っている、日本でほぼ唯一の専門家集団と言えるでしょう。
銃撃戦の物量を支えたり、地味に一発撃つだけのシーンの指の動きに至るまで、丹念にその描き方を支えているのが彼らです。
もっとも新しい作品としては「検察側の罪人」でした。
エンドロールにある納富喜久男の名前に、あ、納得した、と思えるクオリティの拳銃を扱う描写があったのです。
BIG SHOTの仕事
一度、彼らBIG SHOTの仕事を間近に見る機会がありました。
エキストラをやっていて、とあるホールにテロリストが立てこもって銃撃戦が起こる、というシーンのエキストラをやった時のことです。
テロリスト役の役者の皆さんの手元にはモデルガンがあり、リハーサルの時には口で「ぱん!ぱん!」と擬音をだしていて、エキストラは半笑いで逃げ惑う様子を繰り返していました。
しかし、本番準備に入ると、現場の空気が全く変わったのです。
「休憩していていいですよ」と言われ、随分時間がかかるなと思ったのですが。
本番に使う銃器(モデルガン)の弾込めと、その確認にかなりの手間がかかるのが良く解りました。
弾は出ない、いわゆる空砲です。
しかし火薬を使うために、専門の方が担当されており、念には念を入れて、ということで綿密な作業をされていて時間がかかっていたのです。
そして本番
そして、本番。
機関銃の乱射の音は、耳が壊れるのではないかと思うほどの迫力でした。
・・・その場に半笑いの人はもういません。
そのテロリストの傍を身体を低くして逃げ惑う、私たちの頭の上に雨のように落ちてきたのはプラスチックの薬きょうでした。
これが本物のテロ現場だったら、と想像して青くなるほど真に迫った音でした。
そうか・・・スクリーンの向こう側であれだけ鬼気迫って見えるシーンは、こうやって作られるんだ、と思い知った次第です。
そういうシーンがあったら、エンドロールをチェックしてみてください。
きっとその名前を見つけることが出来るはずです。
※アイキャッチはイメージです。
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