友人はプロのカメラマンとして撮影をしながら自身の作品を発表しているので、私はしばしば被写体として都合よく手伝いをさせられます。
そこで体験したちょっと不思議な話です。
個展作品の撮影しに
ある日、半年後にある個展に向けた作品を撮るということ、二人で電車を乗り継いで、ある神社へ向かいました。そこは住宅街の中にあって、地元の人間にしかあまり知られていない神社。沢山の狐像が立ち並び、独特な雰囲気があるのでイメージ作りには最適なのです。
もちろん撮影の許可は事前に申し出てあり、本殿と建物内に入らなければ大丈夫ということであっさりと許可がおりたとか。
境内は平日ということもあってか私たち以外に人はおらず、隣の社務所らしき所も人の気配はありません。その上、天気もよかったので好都合とばかりに早速撮影をはじめました。
私は友人のリクエストで浴衣を着て、キツネのお面を被る・・・よくあるシチュエーションです。
狐像をバックにしたり、鳥居の影に隠れたり、他にも何ヵ所かで撮影する予定なので一時間ほどで引き上げました。
その後は数箇所のスポットを廻る、それなりにハードスケジュール。ヘトヘトになって、夜は軽く居酒屋で打ち上げをしておひらき。
そこから一週間ほどたった頃
一週間ほどたった頃、友人から「見てほしいものがある」と連絡を受け、私は友人と落ち合うことになりました。よく行く飲み屋で乾杯もそこそこ、撮影をしたデータを見せてくれたのですが・・・・。
「ねえこれ、私?」
ある写真を見て思わず言葉が溢してしまいました。
それはくだんの神社で撮影した、全ての写真の私の顔が奇妙に歪んでいたのです。
それはまるで狐のようでした。
カメラの調子が悪かったのかと考えたそうですが、私の顔以外はとても鮮明に写っていて、それが更に不可思議に感じたようです。
ビビって、「これってお稲荷さんの呪いとかじゃない?神社に相談した方がいいんじゃない?」と忠告したのですが一向にとりあってもらえず、「これはこれでOK!」とばかりに個展を開催したのでした。
ヤバいんじゃないか
個展が始まると、私は「ヤバいんじゃないか・・・」と直感的な危機感的を感じながらの手伝いをしていました。
彼自身はそれほど売れっ子ではなく、開催してもだいたい一日に1人か二人、それも身内が来る程度なのですが・・・。
しかし、今回に限って人数は少ない物のいつもより沢山の人が訪れ、土日にもなれば、小さなギャラリーが埋め尽くされるほどです。
無事に会期は終了すると、これだけ来れば仕事にもつながるかもしれないし、次回はもっと大きなギャラリーを借りると意気揚々な彼だったのです。
後日談
あの個展から約1年、あれだけ人が来たのに全く影響は無く、少し大きめのギャラリーで開いた新作の個展は案の定の閑古鳥。
そこで私はこう考えました・・・。
実はやってきたお客の目当ては彼の写真ではなく被写体の私、歪んだ顔は実は狐が写り込んだもので、それを観に人ではなくお稲荷さん達がやってきたのではないかと。
真相は解りませんが、そう思うと呪いのような怖いものではなく、お稲荷さんが写真展の被写体として写りたかっただけなのかな?と。
あのとき撮った写真を持って、そのうちに神社に再訪してみたいと思います。
※画像はイメージです。
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