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岡山地底湖行方不明事件は事故か事件か?真相は湖の底に?

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鍾乳洞探検。人の心の奥底にある好奇心と冒険心をくすぐられるなんとも魅惑的な言葉だ。

多くの鍾乳洞が存在する日本で、観光を目的として鍾乳洞を訪れる人は多い。外の世界とは全く異なり、光も射さず、人間を拒むように入り組んだ天然の要塞にひっそりとたたずむ圧倒的な奇岩や静かなる湖など、人知を超えた自然の造形美。
そういった神秘的な雰囲気を味わえることもあって、鍾乳洞は人気の観光スポットなのだ。

観光地として整備され、一般・観光客向けに公開されている鍾乳洞も国内に多数ある一方、洞窟内の全容が把握できていない、通路が水没していたり、崩落の危険があるなどといった危険性の理由から、立ち入り禁止となっていたり、入るにあたって申請が必要、学術目的である調査でしか入れないなどの制限がかかっている鍾乳洞も数多くある。

後述の話の舞台、岡山県新見市にあるという鍾乳洞も入洞申請が必要な鍾乳洞であった。日咩坂鍾乳穴は岡山県の天然記念物に指定されており、神社のご神体にもなっている神聖な場所だ。また自然学の観点から見ても、総延長2,100 m以上、高低差184 m、地底湖なども存在し、学術調査によってはさらなる新しい発見も期待できる日本有数の大洞窟でもある。

以前は「神の池」と呼ばれる地底湖が最奥部であると考えられていたが、調査隊が冬の渇水期に神の池を通り抜け、その先に続く未知の洞穴の存在を発見、そしてその新たなる最奥に地底湖を発見した。それ以来、長年人間が立ち入ることなく保たれた美しい景観を求めて、洞穴探検愛好家達が洞窟の最奥を目指すようになったという。
しかし、この日咩坂鍾乳穴を管轄する新見市のホームページを見てみると、「日咩坂鍾乳穴は入洞中の重大事故が発生しており、当分の間入洞禁止措置を継続する」と書かれている。

この神秘の鍾乳洞で起こった重大事故、岡山地底湖行方不明事件とは一体なんであったのか。

日咩坂鐘乳穴第一洞口
さかおり, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
目次

鍾乳洞で行方不明になった男子大学生

平成20年1月5日午後6時頃。
年も明けて間もないこの日も夜の帳を下そうという頃、警察に一本の通報が入る。
「鍾乳洞内の地底湖で泳いでいた男子大学生Nの行方がわからなくなった」というものだった。

警察から消防にも通報され、同日午後11時、この大学生の捜索のため岡山県警機動隊員、新見署員、消防署員や現場に詳しいということで救助応援に来た岡山ケイビングクラブ部員らが鍾乳洞へ入る。
しかし、Nが行方不明になったとされる最奥部の地底湖まで距離がある上、鍾乳洞特有の複雑な地形や、人一人が潜り抜けるのがやっとという狭い道、高低差のある岩壁などに行く手を阻まれてしまう。

加えて鍾乳洞いう特殊な場所に不慣れな者がほとんどであったことから、ようやく現場に辿り着いた時には、入洞から3時間が経過した日付も変わった頃で、捜索隊一同の疲労も濃かったという。
やっとの思いで現場に到着したものの、捜索隊はさらなる困難に直面する。
現場とされた地底湖は水流が速く、またその流れもはっきりわからない上、水深約30mと非常に深い。
また現場に辿り着くまでの道のりが狭く険しく、酸素ボンベなどの潜水に必要な機材を地底湖まで持ち込むの難しかったため、実際に湖内に潜っての捜索はできない状況だった。

そのため捜索隊は湖面に浮べたゴムボートから、錨や水中カメラを使って湖内に男子大学生がいないか捜索。
しかしこの方法も水が白く濁っていて視界がきかないことから、結果は芳しくなく、手ごたえも感じられなかった。
捜索隊の入洞から9時間。
徹夜で懸命の捜索を行ったものの、捜索隊の体力の消耗も激しくなってきたため、手がかりを掴むことすらできないまま、6日午前8時に捜索を一旦中断、出洞することになった。
その後、 Nと一緒に入洞していた学生らが鍾乳洞内の支洞を捜索したり、新見署員や県警機動隊、消防署員らの再捜索など、通報後6日間に渡り延べ200人によってNの捜索が行われたが、どれも結果は振るわず、10日後に捜索は打ち切り。

彼が今日まで見つかることはなかった。行方不明当時の状況
そもそもどういった経緯でNは鍾乳洞に入ったのだろうか。
彼は高知大学の探検部に所属しており、主に中国・四国地方を中心とした他大学の探検サークル(以降、“サークル”と表記)を中心としメンバーが合同で実施していた合宿に参加していた。

このサークルは、過去何度か日咩坂鐘乳穴に入る合宿を開催しており、鍾乳洞探検の最後、ハイライトとなる余興として、最奥の地底湖を横断して対岸の壁まで泳ぐ、一種の度胸試しが慣例となっていたそうだ。
ただ、この“余興”については、泳ぎに自信のない者や地底湖に入ること自体に積極的でない者などに強制されることはなかった、とサークルメンバーは語っている。

Nが行方不明となった今回の合宿は、愛媛大学と山口大学のOBが中心となって計画され、参加希望者の多さや、各々の希望日程の調整などの関係から複数日程、複数グループで実施する旨の計画が立てられていたらしい。
事故当日の5日は参加希望者が多かったため、行動するグループが分けられことになり、Nは高知大学、浜松ケイビングクラブの男性2名、香川大学の女性2名、計5名のグループで行動することとなる。

なお、このグループのリーダーは香川大学の女子大学生Sだった。5日午前11時ごろ、鍾乳洞に入洞、午後2時すぎには最奥部の地底湖へ到着する。到着するとリーダーSから地底湖の概要やいわゆる合宿の慣例について説明される。そこでNがこの慣例に興味を示し、地底湖中央を対岸に向かって泳ぎ始めた。
なお、メンバーの証言によれば、メンバーは地底湖遊泳を決して互いに強制しておらず、Nは自身が迷い悩んだ末、自分で決めて自ら湖に入ったのだという。

同行のメンバーはNや彼の行く先の湖面を照らしながら励まし、対岸に向かって泳ぐNを見守った。
Nは対岸まであと1/3というところで泳ぐのを1度止めるなど、心配な場面もあったものの、なんとか対岸へ辿り着く。
対岸についた際、Nの声は聞こえなかったものの、Nは手を上げて他のメンバーに合図を送って無事を知らせるなど特段の問題はない様子だった。

あとはNがメンバーの待つ元の岸に戻り次第、出洞すれば合宿の目的は果たされる。残っていたメンバーは今後の行動予定について打ち合わせをするため、しばしNから目を離した。
その間、わずか数十秒。
しかし、再び湖面に目を向け時にはすでにNの姿は消えていた。

その後、Nが身に付けていたライトの光がゆらゆらと見えたり、メンバーの呼びかけに対する応答が聞こえるなどしたが、Nが仲間のもとへ戻ってくることはなかった。残されたメンバーたちは、しばらくNに呼びかけたり、捜索活動を行ったものの彼を発見することはできず、急いで鍾乳洞を後にし、警察に通報した。

日咩坂鍾乳穴(ひめさかかなちあな)入洞届提出を警告する看板
さかおり, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

疑惑の燻る事故

ここまで当時の捜査の状況や合宿に参加したNと共に行動したサークルメンバーの証言から事故を振り返った。行方不明となった経緯やその後の状況を文字通りに読むならば、いわゆる“大自然に挑む者として危機意識が薄かった若者たちの不運な事故”と読みとることができる。

しかしこの事故、冒頭でも「岡山地底湖行方不明“事件”」と書いたように、警察の捜索は終了しているにも関わらず、長年ネット上で事故ではなく、事件なのではないかとささやかれ続けているのだ。その理由は、合宿計画の甘さや当時の行動の不可解さ、そして捜索終了後にメンバーらがとった不可思議な行動やNの周りで起きた奇妙な出来事が引き金となっている。

ずさんな合宿計画と当時の行動への疑問

先にも記載した通り、日咩坂鐘乳穴は入洞にあたって入洞届の提出が求められていたが、必要な届け出は出されていない。
また、同事故報告書作成委員会がまとめた調査報告によると、入洞にあたって作成された計画書も非常にずさんなもので、そこには合宿の目的、渉外先、名簿、日程しか書かれておらず、入出洞時間やレスキュータイム、装備計画、在郷連絡先、緊急時連絡網などの記載はなかったとされている。

これには、いくら何度か合宿を行っている場所だとはいえ、機動隊や消防隊員も手こずる鍾乳洞に入るにあたって、計画や準備段階での行動や心構えがずさんだったと考えざるを得ない。
参加したメンバーも日咩坂鐘乳穴に初めて入る者や経験者、それ以外の洞窟探検の経験やその力量にも濃淡があった。
加えて大学サークルが中心のグループだったとはいえ、この合宿の全参加者は未成年の若者からサークルOBや探検愛好家の会社員、また男女共に参加できるものだったということで、個々の体力や実力の均衡具合、メンバー同士のコミュニケーションがしっかりと図れていたのかという点で疑問が残る。

この時点ですでに不運で偶然の事故というより、人災に近い事故なのではないかという疑問符が打てるように思う。
またNがいなくなった際、他のメンバーたちはしばらく自分達でNを捜索したものの、救援が必要と判断し、洞窟を出ている。

通報や周囲への応援を頼むという決断は正しかったと思われる。
しかしその際、地底湖で待機、捜索を継続し、Nを待つメンバーを現場に残すことなく、全員で出洞している。
鍾乳洞探索中に残されたメンバー自身も衣服を濡らしてしまい、低体温症などでさらなる被害をださないために全員で出洞したと警察には証言したそうだが、鍾乳洞探索時に衣類が濡れるであろうことは、以前の探検時の経験や一般的な洞窟探索の知識からも予測できるはずで、体力低下や低体温症防止の観点からも、個人個人が着替えなどを持っていてしかるべきだ。

もしもNが自力で湖からあがった時のために、「ここで待っていてください、救援がきます」というメモと暖をとるためのサバイバルシートを置いてきたというが、光の射さない鍾乳洞の中、ライトの1つも置いてくることはなかったという。
そんな中でどうやってメモを確認しろというのか。

また水の中から命からがら必死で生還し、体力を消耗しきった人間に自力で濡れた衣服を脱ぎ、サバイバルシートをかぶって水も食べ物もない中1人で待てとは非常に酷なことではないだろうか。

もちろん仲間がいなくなったことで、残されたメンバーたちが正常な判断ができないパニック状態に陥っていたという理屈も通らなくはないが、鍾乳洞探検の経験者もそろえたメンバー内で本当にそういった判断ができなかったのであろうか。
当時とられた行動から考えると、本当にこの場にいたメンバーがNの生存を信じ、助ける気があったのか疑問を感じる。
そして今回のこの事故、鍾乳洞という密室で起こったことだけに、証言はメンバー4名によるものだけである。
Nにもしものことがあったなら…。

責任については全員が一蓮托生の状況、そして鍾乳洞を抜けて警察への通報までに存在した数時間。
色々な可能性を考えて相談し、なにかを決めるには十分な時間があったはずだ。
果たして彼ら彼女らの証言の信憑性とはどれほどのものだったのか。

捜索終了後の不可解な行動

組織だって行われていたこの合宿、警察や消防、機動隊なども招集され大規模な捜索が行われた点や人1人が遭難して見つかっていないという点を鑑みると、責任者が会見を開いたり、文書で事故経緯の説明があってもおかしくない。(なお、Nのグループにいたメンバーは香川大学の男性1名を除き全員成人であり、リーダーSや計画の中心人物たちも成人済みだった。)
しかしリーダーによる会見や説明などといったことは一切行われず、「探検に必要な装備は備わっていた」ということだけをマスコミの問いに対して主張するのみで今日まで来ている。

もしも計画や当時の行動に後ろ暗い点がないのであれば、(それなりのバッシングはもちろんあるだろうが)きちんと表に出てきて説明すればよかったのにそれを放棄してしまっているのだ。これは会見など開いて質問のプロである記者・マスコミらから想定外の質問などがあった際、回答に困るような理由があったのではないか、と思わず疑いたくなる状況だ。

また捜索終了後、探検グループのリーダーSらの名前が探検サークルのHPから削除されている。
Nの失踪について、表舞台から自分たちの姿を消してしまいたっかたというのは明白であろう。
そしてこの事故が事件なのではないかと疑われ続けている最も大きな要因が、N失踪後、彼の知人を名乗る何者かによってNが所属していた高知大学のリモートホストから匿名掲示板2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)に削除依頼、また、Nのmixiに勝手にログインしてプロフィールや日記を削除、改ざんしていたのだ。

そこにmixi内にあったはずの探検サークルのメンバーの名前もマイミクから外れていた。
もちろん失踪したNが削除依頼やmixiの内容の書き換えなどするはずもないし、彼が誰かに頼めるわけもない。
しかしmixiにログインするためには、登録されたメールアドレス、パスワードを入力するか、普段使用されていた本人の携帯電話かパソコンが必要になるため、Nに近しい者が行ったであろうことはほぼ間違いない。

真相は鍾乳洞の中に

当時、彼がそこになにを書き記していたかは今となってはわからない上、今回の合宿の関係者が削除・改ざんに関わったという証拠はない。だが、残されたNの家族や友人たちにとって、mixiなどは彼に関する大切な思い出の1つであるはず。
この一連の行動はいたずら目的にしては度が過ぎているように思えるし、なにかの意図があったように感じる。
その意図とはなにか、それは今回の事件について、“犯人”たちにとって不都合ななにかがそこに書かれていたからに他ならないのではないか。

今日に至るまで、Nは発見されていない。
鍾乳洞の地底湖という外の世界から切り離された場所で、彼は今一体どうなっているのだろうか。
遊泳中に体調不良を起こした、激しい水の流れにのまれて溺れてしまったという事故である可能性はもちろん高い。
しかし事故と断じてしまうには、解消できないいくつもの疑念が残っているのもまた事実だ。

真相は一体何だったのか・・・それは知るのはNのみ。
きっと彼は真相を語れない無念をいただいたまま、今も薄暗い鍾乳洞に眠っているのだ。

※画像はイメージです。

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