息子が幼稚園に通っていたころ、よく隣駅にある大型施設へ遊びに連れて行っていました。
その時の不思議な話です。
子供がおびえるモノ
自宅の最寄りのバス停から出発して10分ほど乗車するのですが、息子はなぜか目的地のバス停で降りるのを毎回嫌がったのです。理由を聞くと、幼かったこともあり、まだ物事の説明が上手くできない頃でしたが、「おんばんちゃんがいるから・・・こわいから。」と教えてくれました。
「おんばんちゃん」の意味が分からず、はじめは何のことか理解できなかったのですが、大型施設には映画館も併設されていたので、なにか怖い映画の看板か何かをみて、「お化け」をうまく言えずに「おんばんちゃん」と言っていると思っていたのです。ところが回数を重ねるうちに、どうやら降車するバス停と隣接した電車の駅付近にいる、ホームレスの女性を怖がっているよう事が解りました。
3歳の息子に対してホームレスの方の説明も伝えづらく・・・。
いろんな理由があって、おうちがないから駅で暮らしているんだよ、怖い人じゃないよ・・・とだけ伝えました。
「おんばんちゃん」って、おばあちゃんのことだったのか・・・・そう思って納得したのを覚えています。
その後も駅付近を通る機会がある際には、前ほど怖がりはしませんでしたが、息子はその女性の方を見ないように目をつぶったり、小走りで通り過ぎたりしていました。
久しぶりの外出で
そんなお出かけも、感染症の流行でなかなかしづらい状況になり、しばらく人の多い場所への遠出を控えていましたが、
先日久しぶりに、息子を連れて隣駅まで遊びに出かけました。
ふと駅付近を通り過ぎるとき「おんばんちゃん」と話していた女性のことを思い出し、周囲を見渡してみましたが、その方はどこにもいらっしゃいませんでした。
「どうしたの?」と聞く息子に「まえに、ここにずっと座っていた女の人がいたの、覚えてる?」
「『おんばんちゃん』って言って、怖がっていたよね」と返すと、
足を止めてビックリした顔でこちらを見つめ「・・・・すわってた?」と尋ねてきました。
息子の表情をみて、ゾクッとしつつも「え・・・座ってたでしょ?いつもそこに」と指をさして確認すると、
「おかあさん、あの人一回も、すわったことないよ?・・・どっちの人のこと話してるの?」と・・・。
おんばんちゃんは・・・
怖いと思いつつも、息子に確認すると、「おんばんちゃん」という名前については、なんでそう呼んだかはわからないそうです。それは座っているホームレスの女性の横にいつも立っていていて、身長は小さくて黒い、女の人か男の人わからなかった・・・と話しています。
後にたまたまバスの運転手さんの話で知ったのですが、ホームレスの女性はある日、いつも座っていた場所で亡くなったようです。寒い冬の早朝、いつも座っている場所で口から血を吐いて倒れていたそうで、死因は肺炎か何かだったとか。
ホームレスの女性の方が亡くなってしまった今、再び「おんばんちゃん」を目撃することはありませんが、息子が何を見ていたのか、なぜそこに立っていたのか、怖いけれど気になっています。
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