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「来年のことを言うと鬼が笑う」ということわざを通して鬼を知ろう!

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12月となり、いよいよ今年1年もあとわずかです。
この時期になると年末年始もあってか、来年のことについて思いを馳せるのではないでしょうか?
しかしそんなふうに来年にアレコレ思うことに対し、「来年のことを言うと鬼が笑う」ということわざを用いたりします。
今回はこの「鬼が笑う」を通して、「鬼とは何なのか」に迫っていきたいと思います。

目次

「鬼が笑う」の意味、その起源はそのまんま?

「来年のことを言うと鬼が笑う」・・・このことわざは「来年」というワードが入っているので期間限定に思われがちですが、実は全然関係がないんです。
そもそも「鬼が笑う」は「明日や将来など予想ができないことを思ったり喋ったりしても仕方がない」という意味で、これが転じて、実用性や具体性がないことを言う人をからかう時にも使われたりします。なので人によっては「来年」ではなく、「明日のことを言えば~」と聞いたりしているかもしれません。

「鬼が笑う」ということわざの歴史は古いほうで、江戸時代の書物「世話尽」で初めて確認されています。
「世話尽」とは明暦2年(1656年)、土佐・円満寺の僧侶こと皆虚が作成した俳諧の手引書です。
・・・いちおう言っておくと、「俳諧」と「俳句」は別物で「俳諧」は当時人気を博していた文学でした。俳句が登場する、もとい俳諧から独立していくのは松尾芭蕉からです。

手引書ということもあって俳諧のノウハウや用語などをまとめているのですが、この中に世間で言われていることわざとして「来年をいえば鬼が笑う」と書かれています。とはいえその由来に関しては記述がなく、長い間、分からずじまいでした。
しかし明治時代に入ると、漢学学者であり教育者である簡野道明氏が著書「故事成語大辞典」にて「鬼が笑う」の原典らしき故事が紹介されます。

それは「南史」の「劉伯劉龍の故事」というもので、この故事をかいつまんで説明すると・・・

都で長官を務める劉伯劉龍の暮らしぶりは貧しく、彼は豊かになるために税金を上げようとした。
しかしそれを見た鬼が笑った。
鬼は劉伯劉龍が貧しい一生を送ることを見通しており、だからこそ税金を上げても豊かにはならない劉伯劉龍の行為がおかしかった

というものです。

それを踏まえて「鬼が笑う」とは将来を知らず、無駄な行為をする人間が鬼にとってはおかしいからという考察があります。

鬼は大まかに分けて5種類いる!?

まず鬼とは何か、その基本について説明しなくてはなりません。
鬼とは赤い肌に頭もしくは額に生えた角、筋肉隆々な身体に怪力無双、その力をもって暴れまわる邪悪な妖怪だとされています。

一方で人々を助ける姿がおとぎ話や民話で伝えられており、有名どころで言えば「こぶ取りじいさん」が挙げられますね。
邪悪な妖怪かと思ったらほのぼのした一面を見せる鬼、この両義的な鬼の特性に民俗学者・折口信夫氏は

  • オニの語源は変化した隠(おん、隠れて見えないもの)
  • 古代においてオニとカミは同義だった

などの説を唱え、これらの説は現在でも民俗学の通説として根付いています。
そこから更なる説を唱えたのが歌人にして文学評論家である馬場あき子氏で、彼女は自らの著書「鬼の研究」で説話や文学、王朝の歴史を踏まえたうえで鬼を5つの種類(系譜)に分けました。

その分類は以下の通りで

  • カミとして扱われている鬼(祖霊や地霊など、善い鬼)
  • 山人系もとい修験道系の鬼(天狗など)
  • 仏教系の鬼(獄卒や羅刹など)
  • 人鬼系の鬼(戸隠の鬼女・紅葉など、盗賊たちも含まれる)
  • 怨恨など負の感情によって変身した鬼(道明寺の清姫など)

確かに「鬼が笑う」に登場する鬼は中国の故事が由来していたため、仏教系の鬼に当てはまる気がします。
反対に日本のおとぎ話である「こぶ取りじいさん」はカミとして扱われている鬼がぴったりですよね。

日本昔ばなしでも「鬼をおがんだおばあさん」や「節分の鬼」のようにユーモアがあって、ほのぼのした一面が描かれていますから、鬼という存在は怖いだけじゃないと思います。

結局、鬼とは何なのか

「それならこの5種類の鬼たちが鬼の原典なのか」といったら、そうではありません。
この5種類の鬼たちは古代から近代に至るまでの時代とともに生まれ、共感され、慰霊されてきたからこそ誕生しました。
例えばまだ女が自分の意見を言えない時代であれば、その心に感情がため込まれていき、「女が鬼になった」と言われても仕方がありません。

馬場あき子さんもその点に着目しており、「鬼の研究」では冒頭で「鬼と女とは人に見えぬぞよき」という「虫めづる姫君」に登場する一編を引用し、持論を展開しています。
結局、鬼とは何なのか……その答えを求めて知識人が探求したものの、その複雑怪奇な性質により、鬼の原点は皆目見当つきません。

個人的にはカミ様が日本の原点だったと推したいですね。
愛知県東栄町・豊根村などで行われている「花祭」の榊鬼は土地の祖霊であり、守護霊だとされていますから……といっても「大工と鬼六」のようにちょっと怖い鬼もいますが・・・もっともこの話は日本ではなく、北欧民話を日本風にアレンジしたという説がありますけどね。

いずれにしても鬼を探ると日本の歴史とともに、先人たちの親しみを感じます。

出典:
「鬼が笑う」とは?意味や使い方をご紹介 | コトバの意味辞典
神田より子・俵木悟(編者)「民俗小辞典 神事と芸能」
馬場あき子「鬼の研究」
『だいくとおにろく』は日本の昔話ではない。 | 絵本沼

※画像はイメージです。

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