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複雑精緻「王ドロボウJING KING OF BANDIT JING」をご紹介!

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秋深し、隣は何をする人ぞ。食欲、スポーツ、読書にゲーム…暑い盛りの夏過ぎて、楽しみを探すのに良い時期と言われる秋の頃と言えば「芸術の秋」という言葉もあります。今回ご紹介する作品は、その緻密で精緻、アーティスティック、何処か美術の教科書で見た覚えのあるような魅力一杯の世界にひょっこり現れる正体不明の青少年と相棒が繰り広げる一大犯罪絵巻「王ドロボウ=KING OF BANDIT JING」です。

不可思議世界に負けず劣らず魅力一杯の怪人、奇人、兵器に怪物…並み居る守護者や競争相手を向こうに回し、奇術魔術軽業早業ありとあらゆる手練手管で「盗み出す」その「芸術的」手口をとくとご覧あれ!
尚、本作は掲載誌が変遷する過程で「王ドロボウJING(ボンボンKC・全7巻。新装版はマガジンZKCから同じく全7巻)」と「KING OF BANDIT JING(マガジンZKC・全7巻)」が発行されております。

目次

父祖はルパンかJ.Bか?!マッチョな同業者から重戦士、化け物兵器も相手選ばず叩き伏せるハイスピードな軽業アクションに惚れる!

王ドロボウ・・・浜の真砂は尽きるとも世にドロボウの種は尽きまじ、と誰かが言ったか言わないか、世の中にドロボウ数あれど、その手練手管は正に「盗めぬ物無し」ドロボウの中のドロボウ、ビッグでキングなドロボウを誰ともなく称える称号として語られます。
余りにも伝説化され過ぎて、誰もがその称号を知りながら、実際そう呼ばれる人物がどんなものかと問われれば、雲を掴むような話であるかもしれません。

そんな他愛も無いやり取りがあったり無かったりする所にするりと入り込んでくるシャープな人影…とその相棒こそ、我らが「最重要指名手配犯」ジンとキールの二人連れ。
ドロボウと言うには何とも場違い、幼さすら感じさせる風体に飄々とした出で立ちで現れる妙なコンビは、そのイメージをいきなり覆して見せるようにご挨拶代わりと騒ぎに巻き込まれてみせる事もしばしば。
しかしそこは流石の「王ドロボウ」、その卓越した身体能力と観察眼を見せ付けるように、並大抵の相手であればあれよという間に鎮圧して見せるのです。

冒険の道中においても常に頼りとするのはその磨き抜かれた体術、奇術か軽業かと言った驚きの大立ち回りは、閉所において活路を開き、乱戦において相手を一網打尽、超一流の戦士を相手取っても見事なりと歎息させる、実に「絵になる」アクション満載となっています。
愛用の腕に仕込んだ仕込みブレードと、相棒キールの力を借りて打ち出す必殺の「キール・ロワイヤル」をメインに吸えて、その他劇中訪れる場所に見合った様々なギミックも目一杯駆使して彩りを添えるバトルは、他作ではお目に掛かれないアーティステックな魅力満載の「魅せる」シーンの連続です。

王「ドロボウ」故に目標を盗む事が目的ではあれど、戦いにおいて「決着を付ける必要」があれば決着をつけて見せる「王」の矜恃に目を「奪われる」事間違い無し!その勝ち筋までも「盗み出す手口」をご覧あれ!

何処かで見た芸術の中で繰り広げられる大冒険!コミックの中で浮かび上がるアートな世界をこれでもかと「体験」せよ!

ジンとキールの二人連れが「獲物」を求めてふらりと訪れるのは「石造りの巨大な塔」に無数の人々がひしめき合い、監獄のマンホールを開いた先には「影が伸びる何処までも続く通り」が広がり、果てに「時計も溶ける砂漠」まで…と、美術の教科書や美術館、或いは画集などで目にした記憶が甦るような風景が登場します。

作者である「熊倉裕一」氏は、お酒(飲むのは程々?)とアート、アニメーション映画をこよなく愛する風流人である事を公言し、その描き出される世界に発露している事が見て取られます。
その何とも不思議な「奥行き」…描かれた絵であるはずなのに、人々の息遣いや描かれた建物の影から何かが飛び出して来そうな重厚感、有り得ないはずの形になっている時計やボールが動いては響く物音が聞こえてくるような存在感を放ち、その世界の中で生き生きと暮らす様々な姿形を持った「人々」が闊歩する…ジンとキール、その案内を買って出る協力者や、彼らを迎え撃つ強力な敵達が縦横無尽に駆け巡るのはそんな世界なのです。

絵画を眺めては、その世界の風がどんなものか思いを巡らせたり、小説や詩を読んで描かれた世界に思いを馳せた経験がある人ならば、一度は憧れたであろう「描き出された世界を思う様に駆け巡ってみたい」という思いがそのまま形になったような感情を掻き立てられます。

ジンとキールの二人組が相手取るのは、大事なお宝を盗まれまいと更に気が立っているただでさえ気性の荒い連中。そのせいで大立ち回りが大暴れ、追い掛けられての破壊活動に発展する事もしばしばなのはご愛敬という所ではありますが、それもまた「アートな世界がどんな風に壊れるのか」というものだと思えばまた楽し?

「目にも楽しい」世界

何はともあれそんな「目にも楽しい」世界をジェットコースターのように駆け巡り、不思議な世界の奇妙な姿をこれでもかと見せ付ける大立ち回りの果て、世界の核心となる「お宝」を盗み出していく…ワンエピソード完結型でキリ良く語りきっていくスタイルに、読み応えと読後感の良さがクセになる事間違い無しです。
アートだ芸術だという部分に興味が無い…そんな人でも大丈夫。見た事も無いような世界を所狭しと駆け巡る大立ち回りに目が釘付けになる事請け合いです。

エピソード毎に相関が少なく、何処から読んでも(執筆時期によって作風が一変する事はご愛敬)物語としては大きく問題も無いので、気に入ったエピソードから読み始めるのも一興です。
気付けば関心の無かった新たな世界に興味の扉が開くかも…そんな力強い表現力に満ち溢れた一作、眠れぬ夜のお供ににいかがでしょう?

著:熊倉裕一
¥660 (2022/10/23 10:40時点 | Amazon調べ)

盗み盗んで盗まれて、盗まれるにこそ誉れあれ。悪事のイケナイ罪の味、刺激はオトナになってから。深まる秋にアートでファンタジック、メルヘンチックにメランコリックなクライム・アクション!他ではちょっと味わえない視覚体験に「酔いしれて」みませんか?

KING OF BANDIT JING (C) 熊倉裕一 講談社

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