中華オカルト量子論系ロボットアニメ?!「重神機パンドーラ」今更レビュー!

重神機(じゅう・しん・き、と読みます)パンドーラ、2018年夏から秋にかけて2クール展開されたアニメです。
タイトルからするとファンタジー風味?ところが出て来るメカデザインは「河森正治」氏。そう、あのマクロス、エウレカセブンで有名な巨匠河森氏。
スマッシュヒットの要素は色々あったんですがシブめの結果に終わった本作。個人的には色々思う所があっただけにもったいない作品だったので知って頂くだけでもと思い一筆書かせて頂きたく。

異色すぎる?正統派ロボ物語

一見して「分からない」通り、何かのメカ物?という程度しか分からないタイトルですね。私も最初はファンタジー風味なのかも?と思ったくらいでした。

ざっくりこの作品の概要を説明すると…
「何かすごい謎技術でエネルギー改革しようとしたら世界がぶっ壊れました。世界には機械と合体した新種の生命が大発生したが、人類は死に絶えてはいなかった!」 というワイルドな世界の中、謎技術の開発者にしてその全容を解き明かそうとする科学者のお兄ちゃんを主役に、アットホームな職場で研究とドンパチと中華料理と時々猫が飛び交う中華オカルト科学技術巨編なのです。

物語の軸は「謎技術の謎が明らかになっていく所」なので、メカやアクションを期待するとちょっと物足りないかも…。

(C) 2017 重神機パンドーラ Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media

中華オカルトと量子論の親和性

この作品、結構前面に量子論ネタを押し出してくるので本職の方には色々怒られそうではあるのですが、SFの物語としてはかなり真面目に作り込んでいます。
謎のタイトル「重神機」というのも、SF界隈の量子論ネタではよく扱われるエヴェレット解釈に基づく「多重次元」(パラレルワールド)という構造を取り入れる事で、「別世界の自分を重ね合わせてエネルギーを引き出す」という仕掛けを表しています。作中では余り触れられないのですが、決してタイトル倒れではありません。 

難しい理論として天才キャラが理屈をこねくり回すだけでなく、戦闘という結果へはっきり訴求出来る要素として可視化して見せたのは、斬新とは言わないまでも技ありの領域だったのではないでしょうか。

更に、前半から何となく漂う中華オカルト要素…明確には陰陽二元論から八卦へ至る易経の世界観を量子論の対称性や量子ゆらぎの観点と組み合わせたお話として展開されます。
こうした要素が破綻無く…とまでは言わないものの、単なるお飾りでもない、物語を語る上できちんと収まっている丁寧さは中々興味深いものとなっていました。

(C) 2017 重神機パンドーラ Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media

人型ロボット論争へのアプローチ

この作品で最もセンセーショナルだったと言えるのが「人型戦闘メカなんて意味無い」とよく指摘を受ける昨今において「作中で」その意味に触れたという部分です。 と言うのも、この世界では戦闘メカとして描かれるのは車両、もしくは航空機型に準ずる物が基本であり、変型するにも精々が亜人間型という状況…人型なんて有り得ない世界です。

ところが、主人公が完成させた機体はその謎技術によって見事な人型(作中ではテラロイドと呼ばれる)に変型します。
当初は謎の変型でしかなかったこの形態が、戦いを経る内にその意味…搭乗者である人間と同一化からの進化、即ち世界に撒き散らされた新種の生命と似た存在へ移行しつつある結果、という物語の主題へ繋がるというアプローチを見せました。

戦闘兵器に過ぎない機体の形状へ物語的なアプローチをきちんと見せる運びは、その「本来の設計には入っていないはずのプロセス」であるはずの人型変型を実現している事と相まって、中々の衝撃を与えてくれました。

(C) 2017 重神機パンドーラ Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media

総評

昨今2クールアニメというもの自体がやや珍しくなっている中で、総集編無しで破綻無く26話きっちりやりきったアニメという点だけでも、何気にすごいのではないかと言えます。中国の資金力恐るべし…。

物語と設定で見せるアニメ、というものの中では侮れないクオリティで仕上がっていましたので一見の価値はあります。
OP・ED担当はBUMP OF CHICKEN。何時ものように物語とのリンクを感じさせる作詞作曲が巧みなのも安心して見られるポイントです。


Writing by 入門・にゅうもん

最近ライティング始めました。まだまだ趣味程度ですが。
カバー範囲は広く浅くなインドア系です。

(C) 2017 重神機パンドーラ Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media

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